March 2014 NEWS TOPICS INFORMATION


情報通信研究機構が記念局8J10NICTを運用

 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は、NICT創立10周年、NICT鹿島支所開設50周年等を記念して、特別コールサインの局「8J10NICT」を、2014年3月15日〜9月15日までの6カ月間、土日を中心に1.9〜1200MHzの各バンドで運用します。

 NICTはその前身である、郵政省電波研究所(旧・逓信省電気試験所、後の郵政省(総務省)通信総合研究所を経て、現在の独立行政法人情報通信研究機構NICTとなる)の時代から、短波帯標準電波局JJYの管理・運用、短波帯の伝搬状況を知るための有用な情報となる電離圏観測の情報を広く一般に提供していることもあり、アマチュア無線家にとって非常になじみが深い研究機関の一つです。

 なお今回の記念局はJARLが開設している記念局ではなく、NICTの職員有志を始め、無線通信に関連する企業や学校に所属するアマチュア無線家によって、開設・運用がおこなわれているものです。

 記念局実行委員会では8J10NICTの運用開始に当たって、「東京都小金井市を本拠地として、全国や全世界のアマチュア無線家と交信し、あるいはゆかりの地に無線装置を移動して、その地域のアマチュア無線家と交信する予定。また、展示会や科学イベントへの出展なども積極的に行い、アマチュア無線、無線通信研究の歴史、そしてその活動を支えるNICTを広くアピールする予定」と発表しています。

(3月17日)


「詳細」


第13回西日本ハムフェア盛大に開催される

 3月2日、福岡県京都郡苅田町新浜町の日産自動車九州椛フ育館ならびにゲストホールで、第13回西日本ハムフェアが開催されました。

 住み慣れた熊本県玉名郡長洲町のジャパンマリンユナイテッドKK有明事業所体育館から、新天地の会場への変更で、西日本ハムフェアの事務局は、多少の不安を抱えていたようですが、その不安はいっぺんに吹き飛んでしまったようです。
 九州地方はもちろんのこと、全国各地から約1,500名の来場があり、会場は熱気に包まれました。北九州方面での開催ということもあって、3エリアや4エリアからの来場者も目立ちました。
 「西日本ハムフェアの開催日は雨」というジンクスがありますが、今年は前日(3月1日)の夜中に降っていた大雨も止み、当日は曇り時々晴れという天候に恵まれ多少汗ばむほどでした。

 「アマチュア無線クラブのブース」をはじめ、「無線関連機器メーカー」、「電子パーツショップなどの販売店ブース」、「お隣韓国のハムの出展」など、多彩なブースがところ狭しと並びました。

 また今回の特徴としては、3エリアからの出展者が増加したことが上げられるでしょう。
 総務省九州総合通信局の電子申請の解説ブースは、相談窓口を増やすなどして対応に当たっていましたが、どの窓口も長蛇の列ができるほどでした。

 今回の会場は昨年までよりアリーナも広く、「ゆったりできるのではないだろうか?」という感じでしたが、一時は身動きが取りにくいほどの人混みとなり、その人混みはお昼近くまで継続していました。
 また当日用意したガイドブックは、11:時には底をついてしまうほどでした。
 講演会は体育館から多少離れたゲストホールでの開催でしたが『進化を続けるアイコム』(講師:高岡奈瑞さん)、『電磁波と地震電磁気の不思議・アース通信の可能性』(講師:國廣秀光さん)の講演に多くの方々が耳を傾けていました。
 子供たちに少しでもアマチュア無線に興味を持ってもらおうと『電子工作教室』も開催されました。作業に取りかかる前にスライド上映がおこなわれ、興味を少しでも高める手立てがとられていました。
 今回は自動車会社での開催でしたので、自動車の製造工程を見学してもらう計画もあったようですが、日曜日とあって工場が休みのため残念ながら実施できず、新車の展示場見学にとどまりました。

 初めての会場での開催で思わぬトラブルも発生しました。多数の出展ブースが集中して電源を使用したため、体育館の電力容量が不足してしまったのです。ハンダごてが使用できなくなったり、レジが開かなくなったり、ブースでのスライドが上映できなかったりしました。照明を消すなどの対処をしたのですが、完全には対応ができなかったとのことです。
 事務局では、このような事態を予想して、発電機や蓄電池などの予備電源を準備していたようですが、それを遙かに上回る電力消費量で、手も足も出ない状態だったようです。

 閉会前に毎年実施されている『お楽しみ抽選会』では、今年はビンゴゲームがおこなわれました。豪華賞品をもらって喜ぶ人、参加賞程度の景品で残念がる人などさまざまで、抽選会場は歓喜に包まれていました。

 西日本ハムフェアはアイボールの場でもあり、あちこちで仲間と出会う姿が多く見られました。

 西日本ハムフェアの事務局を務めるJE6ONQ井上 滋さんは「会場が変わればゼロからの出直しです。実行委員となってくれる協力者集めなどに苦労しましたが、皆さんが楽しんでいただいている姿を見たとき、そんな苦労も吹き飛んでしまいました」と語っています。

 なお、前日(3月1日)におこなわれた懇親会(前夜祭)は、過去最大の参加があり、地元の苅田町長や振興課長なども出席していただき夜遅くまで歓談が続きました。

(3月14日)




東京都羽村市立武蔵野小学校の子供たちが若田光一宇宙飛行士と交信に成功

 2014年3月1日、東京都羽村市の羽村市立武蔵野小学校で、ARISSスクールコンタクトが実施され、同校の児童(同校に近接する羽村市立第三中学校の生徒を含む)22名が、国際宇宙ステーションで長期滞在中の若田光一宇宙飛行士との交信に成功しました。

 武蔵野小学校のスクールコンタクトは5年ほど前に、同校の学校医(歯科)でアマチュア無線家でもある森谷尊文さん(JS1DPV)の提案に、当時の同校の愛甲慎二校長が賛同しスタートしたプロジェクトで、森谷さんと当時の愛甲校長が中心となって準備を進めて来たものです。

 森谷さんは、計画の当初について『まずは、このプロジェクトへの協力者を集めることからスタートしました。その結果、幸いなことに武蔵野小学校のPTAの方々、そしてアマチュ無線の関係では地元アマチュア無線クラブの「福生アマチュア無線クラブ」、「羽村ARCハムラーズ」のメンバーをはじめ、多くのアマチュア無線家の協力が得られることとなりました』と語っています。
 そうして集まった協力スタッフは、最終的には約40名を数えました。

 これと前後して森谷さんは、2010年5月5日に日本ボーイスカウトアマチュア無線クラブ(東京都三鷹市)が実施したスクールコンタクトの見学を経て、実施までのより具体的な構想をまとめていったそうです。

 その後2012年の春、プロジェクトのもう一人の中心人物である愛甲校長が、羽村市立第二中学校に転出となったそうです。そして、愛甲校長の後任として就任した中村 匠校長も、夢いっぱいのこのプロジェクトに賛同して、プロジェクトを引き継ぐ形で中心人物の一人となりました。
 そして中村校長は、自らもアマチュア無線の世界を体験するために免許を取得されたそうです。

 アンテナの設営は、実施スケジュールがおおよそ内定した2月11日ごろにおこなったそうです。会場の同校体育館に近接している「羽村市立第三中学校」の協力で、中学校校舎の屋上に敷設されることとなり、この設置作業にも多数のスタッフが協力したそうです。
 実施当日も30名を超えるスタッフや同校の教職員の方々が、午前中から会場準備に当たりました。
 また当日は関東総合通信局の協力もあり、子供たちの交信に支障がないように規正局が出動・待機し、監視活動が実施されました。

 今回の交信に挑戦するのは、4〜6年生の児童たち22名(中学生を含む)です。15:00ごろから、交信に挑戦する子供たちが集まって数回のリハーサルが実施されました。
 森谷さんは『羽村市は横田基地が近く、英語にも接しやすい土地柄ですから当初は英語でのスクールコンタクトを想定して準備を進めて来ましたが、偶然にも若田宇宙飛行士との日本語の交信の順番に当たって、大変ラッキーだったと思っています』と語っています。

 16:00ごろには、見学の児童や保護者の方々、来賓の方々が続々と会場に集まって来ました。
 開会の16:30ごろには、会場の体育館は協力スタッフを含め300名をゆうに超える来場者で埋まっていました。
 羽村市長、教育長ほか数々の来賓の方々の中には、立ち上がり当時のこのプロジェクトを森谷さんとともに進めて来た、愛甲前校長(羽村市立第二中学校校長)も列席し子供たちの交信のようすを見守りました。

 今回のスクールコンタクトのために臨時に開設した社団局は8N1MA。定刻の少し前から、コントロールオペレータの福岡謙二さん(JA1PSE)が、国際宇宙ステーションのアマチュア局NA1SSのコールを開始。数回のコールの後、若田宇宙飛行士からのコールバックがあり、子供たちの質問が開始されました。
 途中ノイズ混じりで時々、若田宇宙飛行士からの回答が聞き取りにくい状況ではありましたが、22名の子供たちが質問でき、福岡さんが送ったファイナルで、武蔵野小学校のスクールコンタクトは無事終了しました。

 なおスクールコンタクト実施校の「学校長や教職員であるアマチュア無線家」が中心となって準備が進められ実施に至ったケースは、下表のように過去にも複数例ありますが、「学校医のアマチュア無線家と学校長」がキーマンとなった今回の武蔵野小学校のスクールコンタクトは、これらにかなり近いケースの一つと言えるかも知れません。

【参考】アマチュア無線家の先生(学校長)が中心になって準備が進められたスクールコンタクト
岐阜県関市立武芸川中学校(2009/07/11)宮城県塩竃市立第二中学校 (2010/03/25)長野県小諸市立小諸東中学校(2010/05/14)長野県松本盲学校(2011/07/08)鹿児島県鹿児島市立草牟田小学校(2012/02/11)長野県小県郡長和町立和田小学校(2012/08/16)茗溪学園高等学校・中学校科学部無線工学班(茨城県)(2012/10/23)

(2月18日)



   
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