February 2012 NEWS TOPICS INFORMATION


マリー・ヴィソツキー島(R1M)が消滅エンティティーに

 アメリカの連盟ARRLはロシアの北西に位置するマリー・ヴィソツキー島(R1M)を2012年2月17日付けで消滅エンティティーとしました。

 ARRLの発表では「フィンランド運輸通信省によれば、フィンランド−ロシア間のサイマー運河協定が2012年2月17日に発効したが、マリー・ヴィソツキー島(R1M)は、このたびの協定には含まれていないため、同日付でDXCCリストから削除し、消滅エンティティーリストに加えた」としています。

(2月24日)


「詳細」


アマチュア無線に472-479kHzの新規分配

 2012年1月23日〜2月17日、スイス・ジュネーブにおいて開催された国際電気通信連合 (ITU)の世界無線通信会議(WRC-12)において、アマチュア無線に472-479kHzの7kHz幅を 2次分配することが承認されました。

 会議においては、日本をはじめ多数の国がこの周波数帯のアマチュア無線への2次分 配を支持しましたが、一部の国々では航空無線航行用の無指向性電波標識(NDB)あるいは 船舶との通信をこの周波数帯で運用しているとして分配に反対する意見もありました。 このため、分配をおこなう国においてはアマチュア局の最大送信電力を1W EIRP (等価等方輻射電力)とする制限が課せられましたが、これらの国々(下記、50音順)から800km 以上離れた地域においては、送信電力の制限値を5W EIRPまで増加してもよいとされています。

 アゼルバイジャン、アラブ首長国連邦、アルジェリア、イエメン、イラク、 イラン、ウクライナ、ウズベキスタン、エジプト、オマーン、カザフスタン、 カタール、キルギスタン、クウェート、コモロ、サウジアラビア、ジブチ、 シリア、スーダン、ソマリア、中国、チュニジア、バーレーン、ベラルーシ、 モーリタニア、モロッコ、ヨルダン、リビア、レバノン、ロシア

 世界無線通信会議は、国際的な周波数の利用方法、無線局の運用手続、 技術基準等を規定する無線通信規則(RR: Radio Regulations)の改正をお こなうための会議で、通常3〜4年に一度開催されます。

 それぞれの国の電波主管庁は、世界無線通信会議での無線通信規則の 改正に基づいて、国内の法令改正をおこなう必要があり、結果が反映される までには時間がかかります。

(2月22日)



南スーダン共和国のプリフィックスが決定

 2011年7月9日、スーダン共和国から分離独立した「南スーダン共和国」の誕生、7月14日の国連加盟から約7カ月経て、ITU(国際電気通信連合)は2012年2月21日付けで、「南スーダン共和国」の国際呼出符字列に「Z8A〜Z8Z」を使用すると発表しました。

 これにより今後、南スーダン共和国の電波主管庁から同国の無線局に与えられるコールサインのプリフィックスには「Z8」が使用されます。

 なお今回の決定を受けて、アメリカの連盟ARRLが定めている「DXCC List」にも、「南スーダン共和国」のエンティティーのプリフィックスとして、「Z8」が明記されました。

●ITUが発表している国際呼出符字列分配表
 Table of International Call Sign Series (Appendix 42 to the RR)

http://www.itu.int/online/mms/glad/cga_callsign.sh?lang=en
 (2012年2月21日付けで更新となっています)

●ARRL Webで発表のDXCC List(PDF形式)
http://www.arrl.org/files/file/Awards/DXCC/2011e%20DXCC%20Current.pdf
 (南スーダンのプリフィックスZ8が明記されました)

(2月22日)


「詳細」


第11回西日本ハムフェアを熊本県玉名郡長洲町
 「ユニバーサル造船有明事業所体育館」で開催

 JARL九州地方本部は3月4日、熊本県玉名郡長洲町の「ユニバーサル造船有明事業所体育館」で、「第11回西日本ハムフェア」を開催します。

 準備もいよいよ大詰めに入っています。九州地方をはじめ、各地からのご来場を心よりお待ちしています。

  • 日時 3月4日(日)09:30〜15:00
  • 会場 ユニバーサル造船有明事業所体育館(熊本県玉名郡長洲町)
  • 最寄り駅 JR鹿児島本線長洲駅(駅から会場まで真っ直ぐ一本道ですが、徒歩ですと30分前後かかります)
  • おもな内容
     さまざまな催事の詳細は、第11回西日本ハムフェアのWebサイトをご参照ください。
  • 西日本ハムフェアに鉄道利用で来場を予定されている方にお知らせ
     西日本ハムフェア会場の最寄り駅はJR鹿児島本線(在来線)「長洲駅」です。
     九州新幹線ご利用で、長洲駅をアクセスする場合、新大牟田駅や新玉名駅 での在来線への直接連絡がないため、博多方面からですと久留米駅もしくは 筑後船小屋駅、鹿児島方面からですと熊本駅で乗り換えが必要となります。
     博多方面からのアクセスの場合、筑後船小屋駅への停車本数が少なく、 在来線快速は大牟田、または荒尾止まりが多いため、久留米駅で在来線 に乗り換えでも、大牟田または荒尾で再度乗換が必要となるケースが多い ようです。
     また九州新幹線全線開通の2011年3月12日以前に運行されていた、長洲 駅停車の特急「リレーつばめ」は、すでに運行を終了しておりますので、 博多方面からのご来場の場合は、特急料金のかかる九州新幹線の利用は 不利で、時刻表を参照し十分時間に余裕を持って出発してJR在来線快速を ご利用のうえ、大牟田や荒尾まで出て、長洲駅停車の普通電車に乗り換え ることをお勧めします。

(2月22日)


「詳細」


ヨーロッパのアマチュア衛星8機が打ち上げられる

 2012年2月13日、ESA(欧州宇宙機関)のヴェガ・ロケットで、ヨーロッパの学生が製作した8機のアマチュア衛星が打ち上げられました。8機の衛星はCubeSatタイプの衛星です。
 興味をお持ちの方は、各打ち上げ団体のWebサイトを参照のうえ、受信に挑戦してみませんか?

 また今回、打ち上げられたアマチュア衛星のうち、ポーランドのPW-Satには430MHz帯FMアップリンク、144MHz帯DSBダウンリンクの中継器が搭載されているようですので、日本上空で衛星の動作が確認できたら交信に挑戦してみるのも楽しいかも知れません。

衛星名国名周波数・モード
AlmaSat-1イタリアダウンリンク:437.465MHz 1200bps FSK、2407.850MHz
E-St@rイタリアダウンリンク:437.445MHz 1200bps AFSK
Goliatルーマニアダウンリンク:437.485MHz 1200bpx AFSK
MaSat-1ハンガリーダウンリンク:437.345MHz GFSK 625/1250bps、CW
PW-Satポーランドアップリンク:435.020MHz FM、ダウンリンク145.900MHz DSB
Robustaフランスダウンリンク:437.325MHz 1200bps FMテレメトリー
UniCubeSatイタリアダウンリンク:437.305MHz 9600bps FSK
XaTcobeoスペインダウンリンク:437.365MHz FFSK with AX.25

(2月20日)



高知学園高知中学校の生徒たちが国際宇宙ステーションとの交信に成功

 2月13日、高知県高知市の「高知学園高知中学校」で、ARISSスクールコンタクトが実施され、高知中学校の生徒たちが国際宇宙ステーションに長期滞在中のESA(欧州宇宙機関)のオランダ人宇宙飛行士であるアンドレ・カイパース宇宙飛行士(PI9ISS)との交信に成功しました。

 四国地方でのスクールコンタクトの実施は、2005年7月4日の「高知県高知市立横浜小学校」以来で約6年半ぶり。今回が2例目です。

 過去国内でおこなわれた外国人宇宙飛行士との英語による交信は、大部分がNASA(アメリカ航空宇宙局)のアメリカ人宇宙飛行士の方々によるものです。

 これまでNASA以外の宇宙飛行士との英語の交信をおこなったケースは、

  1. 西東京市立保谷小学校
    (2009年9月26日、ロバート・サースク宇宙飛行士(VA3CSA)、カナダ人、カナダ宇宙庁)
  2. 西堀榮三郎記念探検の殿堂
    (2011年2月22日、パオロ・ネスポリ宇宙飛行士(IZ0JPA)、イタリア人、欧州宇宙機関)
 の2例しかなく、高知中学校のスクールコンタクトはこれらと同様、珍しいケースの一つとなりました。

 このスクールコンタクトは、前回の「高知市立横浜小学校」で実施のスクールコンタクトと同様、JA5GSG大村育子さんが中心となって、高知県支部のメンバー他の協力を得て準備が進められたものです。

 JA5GSG大村さんに、準備から成功に至るまでの貴重なレポートをいただきましたのでご紹介いたします。

★           ★

 高知中学校生徒11名が、オランダ人宇宙飛行士のアンドレ・カイバース宇宙飛行士と無事交信し成功裏に終了することができました。今回のARISSスクールコンタクトは、昨年末にキャンセルが出たため決まったもので、軌道条件の関係で短期間の準備で実施することとなりました。

●短い準備期間の壁

 ARISSスクールコンタクトが高知でおこなわれるのは、2005年7月に「高知市立横浜小学校」で実施以来2回目です。ARISS Japanから「キャンセルがあったので高知県内でスクールコンタクトを実施しませんか」という打診があってから、すばやく対応し高知県支部主催とする旨を役員会で決定しました。前回の横浜小学校以外の学校を選定するため、近郊の南国市や香美市の教育委員会を訪ねて、前回のアルバムや急ごしらえの資料を提示しながらスクールコンタクトの説明をし理解を求めると共に、市内の各小学校の実施意向の打診について協力をお願いしました。

 返答には日数を要しましたが「3学期は卒業式など行事が多く先生方はとても忙しく、良いお話だけど実施は難しい」と実施を希望する学校がありませんでした。

 そこで対象を私立の「高知学園高知中学校」に定め直して、同校の高橋啓明校長先生にお目にかかりました。資料を提示してスクールコンタクトの説明を終えると「ちょうど今、中学3年生が宇宙の授業をしているので、授業の一環として取り組もう」と快諾をいただきました。実施校が決定したこのときは、安堵と同時に計画の一歩が踏み出せた喜びで勇み足になったものです。

 衛星の追尾システム、音響設備などはARISS運用委員の安田 聖さん(7M3TJZ)の助言をいただいて「関西ARISSプロジェクトチーム」の支援を受けることにしました。

 そうこうしているうち師走に入ってしまったのですが、学校側は冬休みを控えて期末試験、新年度入学試験の準備などで多忙を極め、また学校内ではインフルエンザが猛威をふるい1週間の学級閉鎖になるなどのやむを得ない事情も重なって、2011年内の準備はそれほど進展のないままに新年を迎えることになりました。

●年明け、刻一刻と近づく実施日に向かって

 年明け早々の松も取れてない1月6日に、初めてのスタッフ会議をおこないました(写真右)。
 この日の会議では、まず次のようなことを決定しました。

  • スタッフの連絡と意思の疎通をスムーズにおこなうためにメーリングリストを作成する。
  • 生徒たちの勉強会については毎週木曜日におこない、冬本番さなかの2月は日暮れが早いので下校時の安全を確保するため午後4時45分に終了する。
 この会議のさなか、一部のスタッフは寒風が吹きすさぶ屋上で、アンテナ設置場所の確認やステーが張れるかなどの確認をおこない、また同軸ケーブルの長さの調査や電源の位置、必要な道具のリストアップするなど調査に奔走しました。

 その後も、計画表に従いながら学校側と微調整を繰り返す日々が続きました。

 1月12日には、ARISS Japanから交信可能な6つの候補日程が届きました。学校側の要望を考慮して、第一希望に2月17日を選んで返信しました。

 続いて高知県に、今回のスクールコンタクトの後援依頼の文書を提出し後援をいただきました。
 1月17日には四国総合通信局に直接出向き、臨時に開設する社団局の開設申請書を提出しました。臨時局のコールサインは「8N5KOCHI」を要望し、同時に実施当日の監視をお願いしました。
 臨時局8N5KOCHIの免許状は約1週間で届きました。

 木曜日の生徒たちの勉強会では英語のレッスンや個人指導をおこない、マイクの使い方は藤戸高知県支部長自ら丁寧に説明してマイクの使い勝手を覚えてもらいました。

 そして交信順位を決めて質問時間を計りながらの練習ですが、生徒たちは回を重ねるたびに著しく成長する姿を見ることができました。

 実はこのころ、学校全体にスクールコンタクトの意義が伝わったようで、高知中学校に隣接する姉妹校の高知学園高知小学校の校長先生から4名の小学生メンバーを加えてもらえないかという申し出を受けました。
 しかしすでに交信メンバーは中学生だけで満員状態です。残念ながらご希望に添えない旨を了承していただく事となりましたが、意欲のある小学生たちを迎えることができなかったことは少し残念です。

●実施日決定は直前の週末!!

 そして実施日直前の2月10日に、正式にスケジュールが確定しました。しかし事前に知らされていた候補日のうち希望順位5番目だった2月13日に決定したというのです。

 ARISS運用委員の安田 聖さんからは「宇宙飛行士の船外活動のスケジュールのためです」と説明を受けました。やむを得ない事情ということでした。

 交信時間が19時以降になること、中には遠くから通学している生徒たちもいるので、保護者の方々への連絡を学校に依頼しました。

 実施日正式決定の2月10日は金曜日、翌日2月11日は建国記念日の祝日、そして日曜日と休みが続いています。学校やスタッフ間の連絡などで一度に気ぜわしくなりました。

 またこの週末は天気も下り坂の予報でした。支援をお願いした「関西ARISSプロジェクトチーム」が当日準備する機材設営作業についても心配しつつ、いよいよ交信の当日を迎えることとなりました。

●本番の時、近づく

 そして交信当日は2月13日は予報通りのあいにくの天気「雨」でした。午後「関西ARISSプロジェクトチーム」のメンバーが機器一式を持参し、学校正面玄関に到着したころ学内は授業の真っ最中です。
 関西の応援メンバーは雨の屋上でルーフタワーへアンテナの設置を進めますが、屋上の養生シートは雨をたっぷり含んで、スタッフの靴の中はびしょびしょ、上着もずぶぬれでした。作業終了後、ストーブの傍に立ったメンバー衣服からは湯気が勢いよくたち昇るほどでした。

 一方、交信場所の地質学教室では、同校の増田先生はじめ数人の先生方が、週末返上で作成した立派な仕上がりのステージに驚きとても感動しました(写真右上)。新居浜の博物館まで買いに出かけた宇宙食のサンプル数種類も展示されていました。その熱意に生徒たちも、スタッフ一同も良い雰囲気の中に浸りながら最終確認作業を続けました。

 17:00には開講式をおこないました。まず主催の藤戸高知県支部長の挨拶。来賓として高知県の私学・大学支援課課長、高橋校長先生の挨拶がありました。

 式典の終了後、生徒たちは最終の練習をおこない本番の時を待ちました。

●緊張の本番

 刻々と時間は迫ってきた交信10分前に、交信に挑戦する生徒たちがステージに上がり、タイムキーパーの指示を待ちました。

 そして定刻になり、タイムキーパーのキューを出す指先を見てNA1SSをコールしました。1回目のコールでは応答がなかったのですが、2回目にコールバックがあったので、19:18:09より交信を開始しました。国際宇宙ステーションからは、アンドレ・カイバース宇宙飛行士の生真面目で丁寧な回答がクリアに返ってきました。

 交信は四国総合通信局の監視体制のおかげで、妨害も受けず順調に進みましたが、11名の質問で時間切れ、フェードアウトとなりました。

 予定していた全員の質問が出来なかったのは少し残念でしたが、参加した生徒たちにとって、宇宙との距離をぐっと縮めた10分間であったことは間違いないことでしょう。

●ご協力をいただいた皆様方に

 今回のスクールコンタクト実施に際して、多くの方々にご支援、ご協力をいただきました。高橋校長先生をはじめとした高知中学校の教職員の皆様、スクールコンタクトの運用に関するさまざまなアドバイスをいただいたARISS運用委員の安田 聖さん、準備に奔走してくださった高知県支部メンバーの皆様、および多大な支援をいただいた「関西ARISSプロジェクトチーム」のメンバーの皆様、そして当日144MHz帯の監視に協力してくださった四国総合通信局電波監理部様ほか、ご協力をいただきました全ての皆様にこの場を借りて心より御礼申し上げます。


(レポート:JA5GSG・大村育子さん)

(2月16日)
(2月17日更新)



鹿児島市立草牟田小学校の児童たちが国際宇宙ステーションとの交信に成功

 2月11日、鹿児島県鹿児島市の「鹿児島市立草牟田小学校」で、ARISSスクールコンタクトが実施され、同校の児童たちが国際宇宙ステーションに長期滞在中のダニエル C. バーバンク宇宙飛行士(KC5ZSX)との交信に成功しました。九州地方でのスクールコンタクトの実施は今回が3例目で、鹿児島県内での実施は初めてとなります。

 同校のスクールコンタクトは、熱心なアマチュア無線家である同校の和田廣一郎校長先生(JE6GXH)が準備を進めてきたものです。そして当日は、その和田校長先生自らがマイクコントローラーを務めて、児童たちの交信をサポートしました。

 アマチュア無線家の先生が自校の子供たちのために、中心となってスクールコンタクトの準備を進めたケースは、これまで国内で4例ありますが、アマチュア無線家の校長先生が実施の中心人物になって準備を進め実施に至ったケースは、今回の草牟田小学校が初めてといえます。

 なお、アマチュア無線家の校長先生がマイクコントローラーを務めたケースは、実は過去に1度だけあります。2007年3月24日に長野県上伊那郡辰野町で実施された「たつの宇宙少年団」のスクールコンタクトで、当時辰野町立川島小学校の校長先生だったJA0AWK栗林良裕さんがマイクコントローラーを務めましたが、実施の全体準備を進めたのは地元のアマチュア無線家の方々で、今回の草牟田小学校のケースとは少し事情が異なっていました。

 中心となって準備を進めた和田廣一郎校長先生から、準備から成功に至るまでの貴重なレポートをお送りいただきましたのでご紹介いたします。

★           ★

 平成24年2月11日(建国記念の日)19時34分、鹿児島市立草牟田小学校の5・6年生40名が、ARISSスクールコンタクトで国際宇宙ステーションに第29期長期滞在中のダニエル・C・バーバンク宇宙飛行士(KC5ZSX)との交信に成功しました。

 このスクールコンタクトは、学校長の私がハム歴33年のアマチュア無線家(JE6GXH)でオペレーターを務めるという珍しいケースで進められました。平成23年12月にキャンセルが出たとのことで、九州地方本部長ならびに鹿児島県支部長を通して本校に打診がありました。かねてからスクールコンタクトに強い関心を抱いていた私は、二つ返事で引き受けました。

 今回は、準備期間が2カ月と短かかったにもかかわらず、実施時期が2月の第2週とわかっていたため学校行事との調整がスムーズにできました。
 時間帯が夕方から夜にかけての実施ということで、学校行事ではなく校長が主宰する課外活動として実施しました。冬休み前に、授業で英語を学習する5・6年生から希望を募り43名が参加することになりました。宇宙飛行士への質問を考えてくることを冬休みの課題として与えました。

 3学期が始まって、考えてきた質問を出し合わせ最終的に28の質問を作りました。英語に訳した後、英語授業で来校したネィティブのAEA(英語指導助手)に範読をお願いし、練習用CDに録音したものを全員に配布しました。英語学習を始めていると言っても、本格的な英文となると児童にとっては大きな壁になりましたが、昼休みを利用して発音やマイクの使い方などの練習を重ねて来ました。

 機材は、ARISS運用委員の安田 聖さんに全面的に協力をいただきました。安田さんは事前学習会と当日の2回、九州地方本部長と遠路鹿児島まで駆けつけてくださいました。

 アンテナ設置や撤去、会場設営等はJARL鹿児島県支部および鹿児島県電波適性利用推進員協議会のメンバーにお願いしました。屋上にアンテナを設置し、3階の多目的室(普通教室の2倍程度でステージ付き)でおこないました。特に、県支部長の松木さんには臨時免許の申請や作業の手配などお世話になりました(臨時に開設した社団局は8J6SMT)。学校は、西南戦争の最後の戦場となった城山の北側を開いて作られた団地の中の最も高い場所にあります。4階建ての屋上からは360°上空が開けており恵まれたロケーションです。

 交信当日は、午後6時から開会セレモニーの後、安田さんに「国際宇宙ステーションとアマチュア無線」について講話をしていただきました(右の写真)。その後、機器等の最終チェックをおこない、予定時刻10秒前からサブオペレーター田中さんの合図で全員によるカウントダウンをおこないました。
 会場には、50インチモニター2台を準備し、ISSの現在地と屋上のアンテナをリアルタイムで映し出し、参加者にも臨場感を味わってもらうようにしました。また、素晴らしい天気であったため、見学者は移動するISSを肉眼でも確認できました。

 午後7時34分7秒、NA1SSを呼ぶといきなり強い信号が返ってきました。最初、英語に不慣れな私が勘違いしてサブチャンネルに移動したりしたため、2分近くロスをしてしまいましたが、最初の児童がバーバンク船長に質問を送信してからは、明瞭な返事が返ってきました。

 11人目まではクリアに届いた返事も12人目で途絶えてしまいましたが、その後も送信を続け準備していたすべての質問を終えました。

 交信を終えると、会場からは大きな拍手があがり、スクールコンタクトの成功を保護者や地域の方々共々喜び合いました。児童も、興奮したようすでしばらくはざわめきが収まらない状態でした。

 交信の後、通訳担当の池上さん(JA6NKA)がAEAのケンさんらと日本語訳の確認をし、宇宙飛行士からの回答を1つ1つ日本語で紹介しました。その後、閉会セレモニーで安田さんの講評、参加児童の記念撮影を経て終了しました。

 県内で初めてということもあり、テレビや新聞など8つのマスコミが取材に訪れ、交信した児童や保護者、関係者は取材に引っ張りだこになっていました。
 翌日の新聞で社会面の真ん中に「宇宙から桜島噴火見えますか?」と児童の質問を引用して大きく紹介されたりTVニュースで流れたりして、大きな反響を呼びました。

 今回のスクールコンタクトという貴重な経験をしたことで、子どもたちの意識の中に宇宙開発や無線通信に関する興味関心が芽生えてくると思われます。翌日、無線の講習会のことを聞きに来た児童もいました。また、英語での質問を練習する中で英語に興味を持ちもっと深く勉強してみようと言っているという保護者もいました。
 いずれにしても、これから成長していく中で、今回の経験が将来の職業選択に何らかの影響を与えるのではないかと考えると、思いきって実施してほんとに良かったと思います。

 今回、2カ月という短い期間で交信にこぎ着けることができたのは、ARISS運用委員の安田 聖さんや宮川九州地方本部長、松木鹿児島県支部長ならびに支部員の方々のご協力のおかげであり、この場を借りて感謝申し上げます。

 私は今年3月で定年を迎えますが、教師生活の最後に大きなプレゼントをいただいた気分です。退職後は、この経験を生かして他の学校にも働きかけ、もっと多くの児童がスクールコンタクトを経験できるよう取り組んでいきたいと思います。

 なお、今回のスクールコンタクトのようすは、学校ホームページにも紹介しています。

http://keinet.com/soumutas/index.htm

(文責)鹿児島市立草牟田小学校校長 和田廣一郎(JE6GXH)

(2月14日)
(2月16日更新)


「詳細」


関西ハムシンポジウム2012開催される(兵庫県支部・大阪府支部)

 兵庫県・大阪府支部では、1月29日に尼崎リサーチ・インキュベーションセンターで「関西ハムシンポジウム2012」を盛大に開催しました。

 今年のシンポジウムは 一気に来場者も増えて、主催者発表で1,200名の大イベントになりました。来場者のみなさんは、さまざまなイベントや講演を十分に楽しまれたようです。

 シンポジウムの詳細レポートをJL3JRY屋田純喜さん(兵庫県支部)から、お送りいただきましたのでご紹介いたします。

★        ★

 1月29日、兵庫県尼崎市の尼崎リサーチ・インキュベーションセンター(エーリック)で、恒例のJARL兵庫県支部・JARL大阪府支部共催による、関西ハムシンポジウム2012が盛大に開催されました。

 エーリックは、「関西アマチュア無線フェスティバル」開催初期の頃の 開催会場の一つだった場所です

 KANHAMの会場が池田市民文化会館に移った後、「関西ハムシンポジウム」は新春の親睦アイボール会として企画され、エーリックで開催されることになりました。シンポジウムの開催当初は300人規模のイベントでしたが年々人気を集め、今年は全国から多くの来場者(主催者発表1200名)が会場に押し寄せました。

 朝早くから開場を待つ全国からの来場者が集まり、開場直後の人気のジャンク市会場はすぐに超満員となりました。昨年、多くの来場者からジャンク会場が手狭というご意見をいただき、今年は昨年比4倍の大ホールへと変更しました。

 「会場が広くなりすぎて閑散とするのでは」という心配もあったのですが、昨年同様の会場では混乱を招くほどの来場者の嬉しい状況に、スタッフ一同思い切った今回の会場変更を喜び合いました。

 さて、今年の「関西ハムシンポジウム」では、「災害時における非常通信」そして「違法・不法局の実態と対策」という普段とは違ったテーマを題した講演を開催しました。近く予想される災害に対してアマチュア無線がどう活用できるか、JR3QHQ(JARL大阪府支部長)の先の東日本大震災など本音で語る経験談は、組織だけでは機能しない非常通信のあり方を参加者と一緒に考える内容となりました。

 また午後からの近畿総合通信局電波管理部の担当官をお招きした講演では、違法・不法局の取締の実態など普段聞くことができない貴重な講演となりました。聞くところによるとこのような講演は全国で初めての試みということです。

 また、関西ハムシンポジウムではジャンク市だけでなく会議室では午前・午後と合計6つもの各種の講習会もおこなわれており、どの講座も満席で人気を集めていました。

 イベントは屋内だけではなく、屋外では近畿総合通信局による電波監視車(デューラス)の展示実演、8J3H(ARISS臨時局)運用のための自作磁界ループアンテナやサテライト用コンパクトアンテナの実演、軽量インバーター発電機の比較実演など屋外ならではの来場者を飽きさせない、さまざまなイベントが工夫され開催されていました。

 最後に、関西ハムシンポジウム恒例の新春のパーティーでの抽選クイズ大会をご紹介します。
 恒例のクイズの今年のお題は、「LC共振回路の周波数当てクイズ」。LC並列回路の製作はJA3NDM(JARL兵庫県支部長)。ガラエボ基板にバリコンを使った完璧なこだわりの仕上がりで(写真右)、プロジェクターを使ったスペアナ(GigaSt)での測定発表に大いに盛り上がりました。このクイズネタは今年の「KANHAM」会場でも(!?)

 関西ハムシンポジウムが、

  • 普段電波でしか会わない方とアイボールできた!
  • お宝のジャンクに出会えた!
これからもそんな出会いの場に成長していくことを期待しています。

 寒い時期にも関わらず会場は最後まで熱気に包まれていました。

(レポート:JL3JRY屋田純喜さん)

(2月7日)



九州総合通信局および日本無線協会九州支部の所在地表記の変更について(平成24年4月1日から)

 熊本県熊本市の政令指定都市化(平成24年4月1日)に伴い、総務省九州総合通信局と日本無線協会九州支部の所在地表記が、平成24年4月1日から次のように変更となります。
 平成24年4月1日以後に、申請書等の郵便物を送付される方はご注意ください。

【総務省九州総合通信局】

  • 平成24年3月31日まで:熊本県熊本市春日2-10-1 熊本地方合同庁舎
  • 平成24年4月1日から:熊本県熊本市西区春日2-10-1 熊本地方合同庁舎

【日本無線協会九州支部】

  • 平成24年3月31日まで:熊本県熊本市辛島町5-1 日本生命熊本ビル
  • 平成24年4月1日から:熊本県熊本市中央区辛島町5-1 日本生命熊本ビル

(2月2日)



   
| 2011年のNEWS |