May 2010 NEWS TOPICS INFORMATION


H-IIAロケット17号機が打上げられる(3機のアマチュア衛星宇宙へ)

 平成22年5月21日06:58:22(JST)に、種子島宇宙センターから、H-IIAロケット17号機が打ち上げられました。

 H-IIAロケット17号機には、金星探査衛星「あかつき」のほか、JAXAの小型ソーラー電力セイル実証機(IKAROS)、大学等が製作した小型副衛星4機が相乗りしましたが、このうち、UNISEC(大学衛星コンソーシアム)の「UNITEC-1」、創価大学の「Negai☆″」、早稲田大学の「Waseda SAT」は、アマチュアバンドの送信機を搭載したアマチュア衛星として打ち上げられました。

 5月26日時点の各アマチュア衛星の打ち上げ団体の発表によれば、UNITEC-1については、日本上空の最初のパスでテレメトリーがUNICECの管制局やアマチュア無線家によって受信確認された模様です。

 また、Negai☆″については正常な動作が確認され、現在順調に運用中とされています。

 なお、各衛星の詳細については、次をご参照ください。

【UNISEC「UNITEC-1」】
http://www.unisec.jp/unitec-1/

【創価大学「Negai☆″」】
http://kuro.t.soka.ac.jp/main.html

【早稲田大学「Waseda SAT」】
http://www.miyashita.mmech.waseda.ac.jp/Waseda-Sat2/index.htm

(5月26日)




平成21年度第4四半期(平成22年3月末)のアマチュア局数

 総務省は統計データベース上で、平成21年度第4四半期(平成22年3月末)のアマチュア無線局数は470,846局と発表しています。
 なお地方別の内訳は次のとおりです。

北海道42,783 東 北46,733 関 東128,543 信 越19,941
北 陸12,914 東 海64,869 近 畿56,283 中 国33,131
四 国20,761 九 州42,232 沖 縄2,656 全国総数470,846

(5月21日)


「詳細」


2010年6月・7月に南アフリカ共和国から運用しませんか?

 ワールドカップ・サッカーの開催中に、南アフリカ共和国を訪れるハム は、自分のコールサインの前に「ZS10/」をつけて、南アフリカ共和国 から運用できます。

 南アフリカ共和国のアマチュア無線連盟(SARL)は、2010年6月・7月 に南アフリカ共和国を訪れる免許を持つすべてのハムに、事前の登録を 前提に南アフリカ共和国での運用を許可するように、南アフリカ共和国の 独立通信委員会と交渉して、合意に達しました。

 登録様式は次のサイトからダウンロードできます。
http://www.amateurradio.org.za/worldcup.htm

 記入を済ませた様式に、パスポートの写真を含むページのコピーおよび 自国のアマチュア無線免許のコピー(日本の場合は、地方総合通信局が発行 する英文証明)を添付して、次の宛先にE-mailしてください。

worldcup(アットマーク)sarl.org.za
※上記E-mailアドレスは、スパムメール防止のため、「@」を(アット マーク)と表記しています。

 南アフリカ共和国で運用する際には、メールに添付した様式のコピー と本人のアマチュア無線免許状(英文証明のコピーを含む)を携帯して ください。

 なお南アフリカ共和国のアマチュア無線に関する詳細は、南アフリカ 共和国のアマチュア無線連盟(SARL)のWebサイトをご参照ください。

▽SARLのWebサイト
http://www.sarl.org.za

(出典:May-2010 IARU E-letter)
(5月17日)

「詳細」


中華人民共和国西部の青海省大地震での非常通信が終了

 4月14日、中華人民共和国西部の青海省チベット族自治州玉樹県を襲った マグニチュード7.1の大地震では、2,000人以上が死亡し、家を失った被災者 の救援活動が現在も続いている模様です。
 中国の連盟CRSAは、世界のアマチュア無線家に向けて、「アマチュア無線を使用した非常通信が実施される可能性があるので、被災地の救援活動を円滑に進めるために混信や妨害を与えないように協力して欲しい」と要請していました。

 先ごろ、CRSAのコーディネーターであるファン・ビン氏(BA1RB)、IARU Region 3非常通信委員会および同委員会議長のジム・リントン氏(VK3PC)の連名で、アマチュア無線家の協力による救援活動とそれにともなう、非常通信が2010年5月9日をもって終了した旨のレポートが届きましたので、日本のアマチュア無線家の皆様にもお知らせします。

 現地では中国各地から集まったアマチュア無線家たちが、救援活動に幅広く参加し被災地への救援物資の輸送を支援したほか、直接の救援活動にも参加しある北京のアマチュア無線家のグループは6名の被災者の命を救うなどの活躍を見せた模様です。
 標高が高いために、9割のアマチュア無線家が高山病になったそうですが、救援活動中に怪我をしたメンバーはなく、CRSAによれば「2008年の四川大地震の際の経験と教訓が生かされ、救援活動におけるアマチュア無線活動は実用的なレベルだった」としています。

 なお、レポートの送付文には「青海省大地震におけるアマチュアバンドを使用した非常通信は2009年5月9日をもって終了した。救援活動で貢献した、中国のアマチュア無線家をはじめ、円滑な非常通信をおこなうために周波数をクリーンにしてくれた、世界のアマチュア無線家の皆さんに感謝する」と記されています。

(5月17日)



南極昭和基地8J1RLが国際宇宙ステーション長期滞在の野口聡一宇宙飛行士と交信に成功(国際宇宙ステーションとの交信世界最南端記録)

 4月29日、昭和の日、国際宇宙ステーション長期滞在の野口聡一宇宙飛行士が南極昭和基地(8J1RL)とクルーQSOにより、交信に成功しました。

 「昭和の日にアマチュア無線でおこなわれた、昭和基地と国際宇宙ステーションとの交信」という、アマチュア無線の世界にとっても楽しいニュースです。

 この交信が計画されたきっかけや、実際の交信、その内容などについて、国際宇宙ステーション搭乗中の野口宇宙飛行士と8J1RLをオペレートした南極昭和基地の第51次越冬隊員の方々から次のようなレポートをいただきましたので皆様にお知らせしましょう。

 なお本レポートは、JAXA、国立極地研究所のご厚意、およびARISS運用委員の安田 聖さん(7M3TJZ)のご協力(写真提供はNASA、国立極地研究所)により、特別にご提供いただいたもので、紹介にあたって関係者の皆様方に厚く御礼いたします。

【野口宇宙飛行士からのメッセージ】

(写真提供:NASA)

 JAXA宇宙飛行士の野口聡一です。昨年12月から国際宇宙ステーションにて長期宇宙滞在中ですが、今回南極の昭和基地と無線交信することができ、とてもうれしく思います。秒速8kmで進む宇宙ステーションと南緯69度に位置する昭和基地との交信は難しいかと思いましたが、びっくりするほどクリアな音声が聞こえてきました。

 文字通り天と地ほども離れているのに、まるで隣の部屋と話しているかのようでした。交信時間は約3分。お互いに歴史的な交信を楽しみました。各国の飛行士が集まる国際宇宙ステーションでも、南極との直接交信成功は非常に話題になりました。

 今回のコンタクトは、直線距離で2,000km、迎角はわずか1.5度。
 ちなみにISSでの最南端交信新記録に関しては、NASAの担当者から以下のように連絡がきています。恐らくシャトル、ミール、それ以前の有人宇宙計画を含めても最南端記録でしょう。

Please note that this is the most southerly contact recorded via ISS amateur radio system (previous was Peter Island during Exp 12). Our orbit projections volunteer calculated the range at TCA on this pass at 2006 km (1246 statute miles).

 12年目を迎える国際宇宙ステーションでも最南端の交信記録となりました。宇宙ステーションと南極基地、極限環境に挑む日本の最前線基地同士ということでこれからも仲良くしていきたいですね。

 最後に、今回の交信成功にあたりご協力いただいたJARL、ARISSの皆様に感謝申し上げます。

国際宇宙ステーションにて
野口聡一


【南極昭和基地第51次越冬隊8J1RLからのメッセージ】

■工藤 栄第51次越冬隊長からのメッセージ

 南極昭和基地、第51次越冬隊長の工藤 栄です。このたびの国際宇宙ステーションと南極昭和基地との交信が成功裏に実施できたことをうれしく思います。

 アマチュア無線の資格を取ってから数十年。当時は友人との簡単なコミュニケーションツールとしての運用だけで、宇宙との交信ができるとは考えてもいませんでした。

 今回の交信は時間的な制限はあったものの、野口さんのクリアな声と遅延のない会話を楽しむことができ、あらためてアマチュア無線の楽しさを味わうことができました。

 宇宙ステーションと南極の基地での活動はそれぞれ文明社会から孤立し、活動するうえでもさまざまな制約があるため、身体への影響や食事環境の向上などをテーマに共同で研究しています。今回、南極と国際宇宙ステーションにそれぞれが出発する直前に、相互に関わりを持っていたのですが、このたびの交信でより身近に感じるようになりました。余暇の過ごし方の一つとしてアマチュア無線があり、限られた人数しかいない宇宙ステーションや南極の基地から全世界の人々とのコミュニケーション・会話を楽しむ窓として有効に活用できていると思います。

 来年2月までの越冬期間中、この南極という場所と優秀な各隊員の能力とチームワークを生かし、アマチュア無線のさらなる可能性に挑戦してみたいと思っています。

第51次日本南極地域観測隊
越冬隊長 工藤 栄

■大谷祐介隊員からのメッセージ

 第51次越冬隊通信担当で8J1RLの運用責任者の大谷です。NA1SSと8J1RLの交信について当日の記録をもとにレポートします。

●4月25日

 最初に設定されたスケジュール。昭和基地からの最大仰角1.5度。昭和基地の天候はブリザード。最大瞬間風速41.5m/sを記録した猛吹雪のため屋外への外出は制限されており、もちろんアンテナの設置はできません。

 予定の時間になり、無線機には既設のモービル用コリニアを接続しスタンバイしました。スケルチをはずしたノイズの中に何か信号があるのがわかり、こちらからも何度か呼びましたが交信には至りませんでした。

 あとでわかったことですが、野口さんにはこちらの呼びかけが微弱ながら理解できていたとのことです。

●4月29日

 計算上の最大仰角1.9度、昭和基地の天候は曇りで気温は、−12℃でしたが風がない絶好のコンディションです。基地の倉庫で眠っていた10エレ八木を組み立て、北向きに開けた地上高5mに設置。偏波面は垂直で真方位の0度に向けました。

 基地の中のシャックはアンテナの設置場所からは遠いため、屋外の作業小屋に移動して運用。室温はヒーターをつけても−6℃です。

 AOSになり8J1RLからNA1SSを呼びました。3度目の呼びかけに野口さんの元気な応答が返ってきました。とても直線距離2,000km離れた宇宙からの信号とは思えないほどクリアな音声でした。

 レポート交換のあと国際宇宙ステーションの生活や昭和基地での天候や気温について話をし、アマチュアらしくアンテナや伝搬特性の話をしたところでLOSとなり終了しました。

 途中、偏波面の変化によると思われるフェージングがありましたが、終始良好な通信をおこなうことができました。

 なお、この模様を撮影していたビデオを後から見ると、うわずった声で喜びながら交信している自分が映っており見ていられません。

●4月30日

 当初予備日としていたこの日も野口さんの計らいで交信できました。計算上の最大仰角2.0度と昨日よりも良く、ウィンドウも30秒ほど長く、昭和基地の天候も前日と同様で問題ありません。

 昨日までの経験から4アマでも運用できる20W機に変更し、他の隊員も交信できるようにしてスタンバイ。

 AOSになると野口さんからの呼びかけが聞こえ、こちらの音声も届き本日も良好な交信ができました。

 工藤越冬隊長から天候や国際宇宙ステーションからの景色についての話、大気観測の増永隊員から南極上層の空や夜行雲の話をし4分間にわたる交信はLOSとともに終了しました。

 今回はグランドプレーンを設置して無指向性アンテナでの受信にも挑戦し、TCAを中心とした約2分の間、NA1SSの音声を明瞭に受信することができました。電波を出せば普通に交信できたと思われます。

 今回の交信は国際宇宙ステーションが交信した最も南の局との交信という記録になりました。これまでの記録はピーター1世島(南緯68度50分 西経90度35分)の「3Y0X」でしたが、これを南緯にして10分ほど上回ったようです。この新しい記録が日本人宇宙飛行士と日本の南極基地との間で成立したことをたいへん嬉しく思います。

 昭和基地からは今後もアマチュア無線に与えられた可能性を生かすべくさまざまな周波数やモードでの運用はもちろんのこと、新しいデジタル技術を使った月面反射通信などにもチャレンジしてみたいと考えています。

 最後に今回の交信機会を作ってくださったKD5TVP・野口宇宙飛行士、さまざまなサポートをくださった7M3TJZ・安田OM、N5VHO・Kenneth、JARL、JAXA、そして第51次越冬隊のメンバーに謝意を表します。

第51次日本南極地域観測隊
通信担当 大谷祐介(JE5XYT)


【用語解説】

  • 8J1RL: 昭和基地のアマチュア無線用呼出名称
  • NA1SS: ISSのアマチュア無線用呼出名称
  • シャック: アマチュア無線室(アマチュア無線用語)
  • 屋外の作業小屋: 管理棟横の「木工所」
  • モービル用コリニア: 車載用アンテナの一種
  • AOS: 衛星が観測者の可視範囲に入ること(Acuisition of Signal)
  • LOS: 衛星が観測者の可視範囲から出ること(Loss of Signal)
  • ウインドウ: 衛星が見えている時間(アマチュア無線用語)
  • TCA: 衛星と観測者がもっとも接近する時刻(Time of Closest Access)
  • 3Y0X: ピーター1世島で運用したアマチュア無線局の呼出名称
  • KD5TVP、7M3TJZ、N5VHO、JE5XYT : それぞれの個人のアマチュア無線用呼出名称
  • OM: 敬称(Old Man:アマチュア無線用語)

【ARISSの交信形態について】

 ARISS(国際宇宙ステーションのアマチュア無線)には、次の三つの運用形態があります。

  1. 日時を決めておこなう学校交信:スクールコンタクト(Scheduled School Contact)
  2. 宇宙飛行士の希望する相手との交信(Crew QSO)
  3. 一般交信(General QSO)

 このうち、1のスクールコンタクトがARISSにおいて最も運用のケースが多いスタイルです。特に日本人宇宙飛行士の長期滞在が開始された、昨年から、交信を希望する団体も増え、運用頻度もかなり高くなっています。

 そして今回の南極昭和基地と国際宇宙ステーションの交信は、野口宇宙飛行士の希望による2のクルーQSOのスタイルで、南極昭和基地との交信スケジュールが組まれて、交信がおこなわれたものです。

 また3の一般交信については実施されたケースが1、2に比べると少なく、日本上空で実施されたケースは2006年1月14日・15日(UTC)に、ビル・マッカーサー宇宙飛行士が430MHz帯で運用をおこなって以来、残念ながらありません。

(5月13日)



南極昭和基地8J1RLと交信しよう!
JA1RL「こどもの日」特別公開運用に30名を越える子供たちが集まる

 南極昭和基地のアマチュア局8J1RLは毎年5月5日のこどもの日に、「みんなの夢を電波にのせて」をテーマと題し、日本国内の小中高生を優先して交信をおこなう特別運用を実施しています。今年の8J1RLも、第 51次日本南極地域観測隊により「こどもの日」運用が計画されました。

 この特別運用に併せて、アマチュア無線の資格を持った、多くの子供たちに、東京・巣鴨のJARL事務局資料室に開設しているJARL中央局南極昭和基地との交信を体験してもらうことを意図して、5月3日〜5月5日に東京都支部の協力で特別公開運用を実施し、南極との交信予定日の5月5日には、宇宙や南極に関する子供たち向けの記念講演などを実施しました。

 5月5日当日には、30名を越える子供たちや同伴の保護者、そして一般見学のアマチュア無線家が会場のJARL事務局資料室に集まり、講演やJA1RLの公開運用を楽しみました。下の6枚の写真は運用した子供たちの一部ですが、初めての交信に戸惑いながらも嬉しそうに交信を楽しむ子供たちもいれば、一方でベテランオペレーターさながらのてきぱきとしたオペレートで交信局数を稼ぐ、猛者も見られたようで、交信終了後はどの子供たちからも嬉しそうな表情が見られました。

 今回の大目標だった南極昭和基地との交信については、昭和基地側のコンディションに日本方面へのオープンが見られなかったようで、残念ながら大目標の達成はできませんでしたが、楽しそうに家路につく子供たちの笑顔から見ると、JA1RLの運用を通じて子供たちにアマチュア無線の楽しさを味わっていただくという、今回のイベントの目的の6〜7割程度は達成できたのではないでしょうか。

(5月6日)



日本ボーイスカウトアマチュア無線クラブ(JA1YSS)のメンバーが
 野口宇宙飛行士と交信に成功

 2010年5月5日00:13、公益財団法人ボーイスカウト日本連盟の「日本ボーイスカウトアマチュア無線クラブ」JA1YSSメンバーの15名のスカウトたちが、国際宇宙ステーションに長期滞在中の野口聡一宇宙飛行士との交信に成功しました。

 このスクールコンタクトは国内44例目ですが、子供たち全員がアマチュア無線の資格を持った形で実施されたのは、国内で4例目となります。

■JA1YSSのスクールコンタクトへの初取り組みは、第20回世界スカウト・ジャンボリーのスクールコンタクト

 JA1YSSのスクールコンタクトへの取り組みへのきっかけは、ARISS運用委員の安田 聖さん(7M3TJZ)から、JA1YSSメンバーで熱心なスカウトの指導者の一人である足立太郎さん(JO3TND、兵庫・小野1団)に、約8年ほど前の2002年、「スカウトのメンバーに宇宙飛行士との交信をさせてあげませんか」と呼びかけがあったことに端を発するそうです。

 足立さんによれば、「そのときスクールコンタクトにはたいへん大きな興味を感じましたが、いざ実施までには踏み切れずにいました」と語っています。

 JA1YSSのスクールコンタクトに関する初の取り組みはその後、日本国内ではなく、2002年12月31日にタイ国で実施された「第20回世界スカウト・ジャンボリーのスクールコンタクト」で、見事に実を結ぶこととなります(写真右)。

 実は「第20回世界スカウト・ジャンボリーのスクールコンタクト」は、前出の足立さんと同様に熱心なスカウト指導者の一人である長田雅史さん(JI1CUJ、千葉27団)ほか、ジャンボリー参加のJA1YSSメンバーが中心となって準備・運営が進められ、タイ国の会場で無事、日本のスカウトを含む世界のスカウトたちと、国際宇宙ステーションに長期滞在中のドナルド・ペティット宇宙飛行士との交信を成功させたものなのです。

※JARLメールマガジン第105号(2010年5月7日号)では、「第25回アジア太平洋スカウトジャンボリーでビル・マッカーサー宇宙飛行士との交信」が初の取り組みと紹介しましたが、正しくはこの「第20回世界スカウト・ジャンボリーでドナルド・ペティット宇宙飛行士と交信」が初の取り組みです。関係者の皆様方にお詫びのうえ訂正いたします(JARL広報課)。

■スカウト活動の同志の野口宇宙飛行士との交信チャンスがバネに

 さて、みなさんは野口聡一宇宙飛行士が熱心なスカウト指導者の一人であることをご存じでしょうか。

 野口聡一宇宙飛行士は、兵庫県在住だった小学生のころからスカウト活動を始め、その後、熱心なスカウト指導者として後進のスカウトたちの指導をおこなってきた経験を持っています(右の写真はボーイスカウト日本連盟の機関誌「SCOUTING 2010年3月号」を飾っている野口聡一宇宙飛行士)。

 関係者の方々のお話によれば、JA1YSSが本格的にアマチュア無線クラブとして具体的な形でARISSスクールコンタクトの実施に取り組みを開始したのは、「日本人宇宙飛行士との日本語での交信」という要素もさることながら「熱心なスカウト指導者の一人である「野口宇宙飛行士」とスカウトたちの交信」という、極めて大きな素晴らしい目標が目前に設定できたことが、実施への強いバネの一つとなったようです。

■全国のスカウトの代表としての交信!

 今回のJA1YSSのスクールコンタクトは、5月4日の日本時間の深夜に実施(5月5日00:13)という、これまでにない異例の時間帯で実施されることとなりました。交信に参加するメンバーの募集は、スカウト組織内での公募によりおこなわれました。

 交信をおこなうメンバー15名と、交信時間に余裕があった場合に、追加質問をおこなうメンバー3名ほかが、保護者同伴で20:00ごろ会場のボーイスカウト会館(東京都三鷹市)に集まり、数回にわたりリハーサルを実施しました(上の写真2枚)。リハーサルのようすを見ていると、いかに全員がアマチュア無線の資格を持っているといえども、国内のスカウトを代表する質問となるこのビッグな交信が、スカウトたちに与えたプレッシャーは相当なものがあったようです。

■無事交信に成功

 そして23:00頃から、交信会場内に見学者等を含む約150名が集まって、開会式を実施しスクールコンタクトの開始を待ちました。

 日が変わって5月5日00:05ごろ、場内に緊張が走り始めました。

 今回のスクールコンタクトで、マイクコントロールをつとめたのはローバースカウト(18歳以上のスカウトのことです)の西尾拓真さん(JO3OMD、大阪11団)。西尾さんは定刻の少し前から、野口宇宙飛行士がオペレートする国際宇宙ステーションのアマチュア局NA1SSのコールを開始しました。

 その後、数回のコールで野口宇宙飛行士からの応答があり、15人のスカウトたちが順番に質問をおこない、残念ながら時間切れで追加質問のために待機した3名の回答までには至りませんでしたが、ファイナルでは交信に参加したメンバー全員で、偉大なスカウトの先輩の一人、野口宇宙飛行士に「イヤサカ」(スカウトの用語で万歳、おめでとうというような意味)を送るなど、参加したメンバーに大きな楽しい思い出を残し、スカウト活動に関する結束をより強めた形として終了しました。

(5月5日)


   
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