(平成16年4月6日掲載)
平成17年10月6日更新


 PLC(電力線搬送通信)の動向については、今後とも十分注意して見守る必要があります。
 最新の動向等については、これまでもJARL NEWSやJARL Webなどでお知らせしてきましたが、この動向に対するJARLの取り組みをご紹介します。


●新たな動きに対するJARLの取り組み●
 JARLではこれまで、(社)電波産業会(ARIB)との共同実験や、総務省の「電力線搬送通信設備に関する研究会」での実証試験への参加を通じて、PLCによる電波の漏えいについて警鐘を鳴らし続けてきました。これらの実証試験は、JARL電磁環境委員会(委員長 芳野赳夫氏・JA1XF)が主体となり、また、多くの会員の方々や、日本アマチュア無線機器工業会(JAIA)を中心とする各メーカーの参加を得ておこなわれ、PLCによる具体的なHF帯の電波の漏えいの事実を示してきました。
 その結果が、平成14年8月の同研究会の結論に大きく反映されています。
 当時の経過や実証結果などの詳細は、こちらに掲載しています。

●新たな実験への動き●
 前の「電力線搬送通信をめぐるこれまでの動き」にもまとめてありますが、昨年3月、PLCの高速化技術、既存システムとの共存技術の検証をおこない、日本国内でのPLCの早期実用化を実現することを目的とした「高速電力線通信推進協議会」(PLC-J)が発足しています。その事務局はARIB内にあり、平成16年6月30日現在26社が参加しています。PLC-Jの主な活動内容などはこちらのHPを参照願います。

  • PLCを利用するための技術基準(漏えい電磁界レベルなど)に関する検討
  • PLCを実現するための技術(漏えい抑圧技術など)及び実用化手段の検討
  • 既存無線システムとの共存方法の検討
  • 高速電力線通信の普及啓発

 PLC-Jでは、漏えい抑圧技術の開発や、既存無線システムとの共存方法の検討をおこなう上で、アマチュア無線や電波天文などとの共同実験が必要であるとしています。
 平成15年11月から、JARLとPLC-Jの間で、約1ヵ月ごとの定期的な会合をおこなっています。
 これまでの会合で、次のような点に関して具体的な打ち合わせをおこないました。

  • 共同実験についてはJARLでは電磁環境委員会で対応する点。
  • 電波暗室およびフィールドでの測定方法の検討について。
  • 電波暗室で得た値を基準として、今後のフィールド等での実験を評価することについて。
 そして、平成16年10月よりPLC-JとJARLの合同実験を開始することとなりました。
 10月末には第1回合同実験を実施。この実験は、今後実施される電波暗室およびフィールド測定評価実験のための予備的な実験です。
 なお、10月1日には測定に使用するANTのアンテナ係数を測定しました。

 PLC-Jとの合同実験は、HF帯アマチュア無線の運用に大きな障害を与える漏えい電波の抑圧技術等の開発という観点から、電磁環境委員会が主体となって参加しますが、JARLとしてはPLCの実用化については、その抑圧技術や漏洩電波の低減などについてPLC-Jとの共同実験を通じて、慎重に対応していきたいと考えています。

●PLCの今後の検討スケジュール等について(H16/12/22掲載)●
 電力配電線に情報を乗せて通信をおこなうという電力線搬送通信(PLC)の研究の動向につきましては、これまでもたびたびJARL NEWSをはじめ本ページ上でもお知らせしておりますが、10月末に鹿島の実験施設において、JARLと「高速電力線通信推進協議会」の合同で、電力線搬送通信の漏洩電波の低減技術を評価する際の予備実験がおこなわれたところであり、まだ、測定方法も評価方法も未定の段階です。
 今後も引き続き各種の実験をおこなって、詳細なデータを収集する必要があると認識されておりますので、さる12月21日付けの日経新聞に記載された「2006年解禁へ」との内容については、まだそのように決定されておりません。
 なお、総務省から、平成17年1月から同省主催による、JARLも含めたPLCに関する研究会を発足する予定との連絡は受けておりますが、研究内容、メンバー、スケジュール等は未定です。

●高速電力線搬送通信に関する研究会(H17/04/01掲載)●
 「高速電力線搬送通信に関する研究会」は、総務省総合通信基盤局長の研究会として設置されています。
 この研究会は、電力会社、情報通信機器メーカー、情報通信関係の技術者・研究者、情報通信関連団体の代表者、そして短波帯無線通信の利用者等の関連団体などから選出された研究者や技術者などの委員によって構成されています。
 PLCの漏洩電波の低減技術の確認や、既存無線システムとの共用の可能性、共存の検討等についての検討が本年10月までをめどとして開催される予定です。
 JARLからは芳野赳夫電磁環境委員長(JA1XF)が構成員として本研究会に参画しています。

【これまでの会合】
 これまでの会合の開催日は次の通りです。
●第1回 平成17年1月31日
●第2回 平成17年2月23日
●第3回 平成17年3月18日
●第4回 平成17年4月14日
●第5回 平成17年5月24日
●第6回 平成17年6月14日
●第7回 平成17年7月29日
●第8回 平成17年8月18日
●第9回 平成17年9月26日
●第10回 平成17年10月4日
 なお会合の詳細は、総務省の次のホームページをご参照ください。
★研究会の目的、検討事項など
http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050125_2.html
★会議資料、議事録等
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/kosoku_denryokusen/index.html



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