■周波数別の楽しみ方

 アマチュア無線で運用できるバンドには周波数ごとにさまざまな特徴があります。
 ここでは、バンド別の特徴について簡単に紹介しましょう。
 このページでは運用者の多い1.9MHz帯〜1200MHz帯までを代表として紹介していますが、1.9MHz帯より低い周波数帯に135kHz帯と475kHz帯、1200MHz帯を超える周波数には、2.4/5.6/10.1GHz帯をはじめさらに高い周波数にもアマチュアバンドの割当があります。
 1.9MHzバンドは周波数の分類上は中波帯(MF)に属していますが、便宜上HF帯の項で紹介します。

※各バンドのタイトルに➀➁➂➃とあるのはそのバンドで電波を発射することができるアマチュア無線の資格で、➀は第1級、➁は第2級、➂は第3級、➃は第4級アマチュア無線技士をさします。



HF帯



●1.9MHzバンド➀➁➂➃
 1.8MHz帯(1,800〜1,875kHz)の部分と、1.9MHz帯(1,907.5〜1,912.5kHz)の部分に分かれています。電信モード(A1A)は第3級アマチュア無線技士以上の資格がないと使用できません。
 昼間は地表波による伝搬が中心で、夜間から早朝にかけて電離層反射による伝搬をします。
 夜になると、遠くの放送が聞こえてくる中波放送(AMラジオ)の電波の飛び方と非常に似ています。

 なお、このバンドより低い周波数帯のアマチュアバンドに、長波帯の135kHz帯と中波帯の475kHz帯がありますが、これらのバンドについては、4アマで運用できるのは、狭帯域デジタルモードのみです。
●3.5/3.8MHzバンド➀➁➂➃
 3.5MHz帯と3.8MHz帯は別の周波数帯ですが、周波数も近く飛びの性質もよく似ています。先に紹介した1.9MHz帯と同様に夜間によく飛ぶバンドで、日本国内局との比較的安定した交信が可能です。また海外局との交信も可能です。
 このバンドを運用する上での難点は、都市部や住宅密集地のハムには、とても設置できないほど長くなってしまうアンテナでしょう。そんなみなさんが、「どうしても運用してみたい」という場合には、長いアンテナが設置できる広い空き地や河川敷など、フィールドでの移動運用を考えてみてはいかがでしょうか。
●7MHzバンド➀➁➂➃
 海外交信ももちろんOKですが、特に国内交信のメインストリートともいえるバンドです。バンド内を聞いているとSSBやCWで1日中、日本のどこかの局が聞こえています。このバンドは運用局数に比べるとバンド幅が狭めなので、バンド内はいつも賑やかです。
 このバンドを運用する際には、混信の中から相手局のシグナルを確実に聞き分けるテクニックと、できるだけ短時間で交信を済ませるコツを身につけましょう。
●10MHzバンド➀➁
 第2級アマチュア無線技士以上の資格で運用できる電信と狭帯域データ通信に特化したバンドです。バンド幅が狭いのですが、安定した遠距離交信が可能です。
●14MHzバンド➀➁
 海外交信のメインストリートともいえます。海外交信を楽しむハムが毎日のように、さまざまなモードでにぎやかに交信を楽しんでいます。
 DXペディション(後述)局や珍しい局も必ず運用するバンドですので、海外交信局数を稼ぐには欠かせないバンドといえます。
 このバンドで運用するには、第2級アマチュア無線技士以上の資格が必要です。
●18MHzバンド➀➁➂
 14MHz帯に比較的近い電波の飛びの性質を持った国際バンドです。海外とも安定した交信が可能なバンドですが、14MHz帯と比べると運用者が少ないようで穴場のバンドともいえます。第3級アマチュア無線技士以上の資格で運用できます。
●21MHzバンド➀➁➂➃
 これからHF帯をはじめようという方々にはぜひ一度挑戦してみて欲しいバンドです。電離層の状態によって、国内交信も海外交信も快適に楽しめます。現在は、あまりコンディションに恵まれていませんが、今後コンディションが上昇してきますので期待のバンドです。
●24MHzバンド➀➁➂➃
 先に紹介した21MHz帯と後述の28MHz帯の中間的な性質を持ったバンドです。この周波数では21MHz帯のような電離層反射に加えて、突発的に発生する電離層(スポラジックE層=Eスポ)のおかげで、思いがけない遠距離の局との交信が楽しめるケースもあります。
●28MHzバンド➀➁➂➃
 HF帯の中で唯一FMモードによる運用が許可されるバンドです。28MHz帯FMの熱心なファンも数多くおり、モービル運用も盛んです。
 また28MHz帯は太陽活動が活発になって、コンディションが上昇すると快適にDX交信が楽しめるバンドです。夏季にはEスポ(スポラディックE層)発生でより、思いがけないDX交信も楽しめます。



VHF帯



●50MHzバンド➀➁➂➃
 50MHz帯の電波は普段見通しへの伝搬が中心となります。50MHz帯愛好者に移動運用のファンが多いのはそのためでしょう。
 太陽活動が盛んになってくると、異常伝搬などでとてつもなく遠くの海外局との交信ができたりするのもこのバンドのオモシロイところです。それも、何の前触れもなく地球の裏側や南太平洋の島々の局の声が聞こえてくるのですから本当にスリル満点です。
 また、Eスポによる遠距離交信も期待でき、偶然性に満ちたスリリングなバンドといえるでしょう。
●144MHzバンド➀➁➂➃
 430MHz帯とともにハンディートランシーバーが普及しているバンドで、ニューカマーの方からベテランの方まで多くの人が楽しめるバンドです。
 また、144MHz帯は次に紹介する430MHz帯と組み合わせて衛星通信を楽しむ周波数でもあります。


UHF帯



●430MHzバンド➀➁➂➃
 ご近所のハム仲間とのラグチュー(おしゃべり)をはじめとして、レピータ交信、デジタルデータ通信など、さまざまなスタイルで運用されているバンドです。小さなハンディートランシーバー+とても短い付属のホイップアンテナでおしゃべりが楽しめる手軽さが魅力です。
 また、430MHz帯はD-STARをはじめとしたデジタル音声通信も盛んにおこなわれています。先にも紹介しましたとおり、430MHz帯は144MHz帯と組み合わせて衛星通信を楽しむ周波数でもあります。
●1200MHzバンド➀➁➂➃
 40MHzもの広大なバンド幅を持つ1200MHz帯の電波の飛びは、非常に直進性が強く、ビル反射や山岳回折なども頻繁に起こります。
 この反射や回折による複数方向からの電波の干渉などで数センチ動いただけで信号強度が変化したりするなど、UHFバンドではありますが、 マイクロ波帯の持つ特有の性質を実体験することも可能です。
 また、430MHz帯と同様全国各地にレピータ局が設置され、デジタルデータ通信、画像通信の運用も行なわれています。


●それ以上の周波数のアマチュアバンド➀➁➂➃


 2.4/5.6/10.1GHz帯を筆頭にさらに高い周波数にもアマチュアバンドの割当があります。現在、2.4GHz以上の周波数では大手無線機器メーカーによる無線機の販売もほとんどないため、運用するには無線機やアンテナを自作するしかないのが難点です。
 これらのバンドについては、さまざまな可能性を秘めていますので、新たな通信方式や実験・研究にも期待したいところです。





■アマチュア無線でよく使われる運用モード

 ひとことで“電波”と言っても、その種類は実にさまざまです。周波数による飛びの性質の違いもありますが、運用モードによってまったく違う種類の電波になってしまいます。
 アマチュア無線でよく使用されている各モードの概略は次のとおりです。


●FM(Frequency Modulation=周波数変調)
 無線にあまり詳しくないみなさんが、「FM」と聞くと「ああ、FM放送のことね!」と思うでしょう。確かにそれも間違いではないのですが、FMとは放送の種類を表わすものではなく、電波の型式を表わす記号なのです。
 FMは周波数変調のことで、送信したい音声によって基準となる周波数の電波(搬送波)の周波数を変化させ(変調)信号を伝送するものです。
 FM方式の特徴は、品位の高い音声が送れること、比較的ノイズに強いことですが、半面、広い占有帯域幅(アマチュア無線の場合一般に20kHz幅)を必要とする弱点があります。
 また、FM方式の電波は混信すると、弱い信号がつぶされてしまう特徴があります。
 144/430/1200MHz帯のハンディートランシーバーやモービルトランシーバーの多くは、このFM方式で電波を送受信するようになっています。

●AM(Amplitude Modulation=振幅変調)
 FMと同様に無線にあまり詳しくないみなさんが、「AM」と聞くと「ああ、AM放送のことね!」と思うでしょう。確かにこれも間違いではないのですが、AMとはFMと同様、放送の種類を表わすものではなく、電波の型式を表わす記号なのです。
 AMは振幅変調のことで、送信したい音声によって基準となる周波数の電波(搬送波)の振幅を変化させ(変調)信号を伝送するものです。
 AM方式の特徴は、FMにくらべて狭い周波数帯域幅(6kHz帯)で音声が送れることですが、音質が若干落ちる、ノイズに弱いなどの弱点があります。
 また、AM方式の電波は混信しても、双方の信号が聞き取れる場合があります。
 アマチュア無線の世界でこのAM方式が使われるケースは少なくなりましたが、50MHz帯や7MHz帯の熱心な愛好者もいます。

●SSB(Single Side Band=振幅変調単側波帯抑圧搬送波)
 SSBの電波は基本的には先に紹介したAMと同様に振幅変調によって作られる電波ですが、SSBでは搬送波のエネルギーと変調波のエネルギーの半分をカットして信号を送ります。
 SSB方式の特徴としては、無信号時に不要なエネルギー送信しない点や占有帯域幅が狭い点(3kHz帯)などが上げられますが、音質やチューニングが難しいなどの弱点もあります。
 なお、SSBには変調波のエネルギーのカットの仕方によって、USB(UpperSide Band=搬送波と搬送波より低い周波数の成分をカット)とLSB(LowerSide Band=搬送波と搬送波より高い周波数をカット)があり、アマチュア無線の交信の際には7MHz帯以下のバンドではLSB、14MHz帯以上のバンドではUSBを使用することになっています(10MHz帯はSSBによる運用はできません)。

●電信 (CW=Continuous Wave)
 CW(電信)は電気通信の世界で最も伝統的な通信モードです。
 搬送波の断続でモールス符号を送信するもので、アマチュア無線はCWによる通信を覚えることによって,いっそう楽しく味わい深いものになります。
 CWは古い通信技術ではありますが、もっとも新しい技術であるコンピューターも同じ原理で成り立っています。電信は「長点」と「短点」を約束にしたがって組み合わせてあり、これはコンピューターの基本的な原理である、電流が流れて「いる」「いない」の「0」と「1」に置き換えているのと同じなのです。
 電波の「ある」「なし」で「長点」と「短点」さえ聞き分けられれば通信ができるということは、雑音の中から音声を聞き取るよりもはるかにやさしいはずです。無線電信は雑音よりも4デシベルくらい信号が弱くても了解でき、無線電話はこの逆に雑音よりも7〜10デシベル信号が強くないと内容が了解できないといわれています。SSBと比較するとS/N比がよく、アマチュアにとってCWは有効な通信手段の一つです。占有する周波数幅も狭く、しかも同じ電力なら電話と比べてはるかに遠くの局と交信できるのです。アマチュア無線家のなかにはたいへん熱心なCW愛好家がたくさんいます。

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