電波で遊ぼう アマチュア無線

開催レポート

 8月23日(土)、24日(日)、東京都江東区有明の東京ビッグサイト西2ホールで、ハムフェア2008が開催されました(写真右:テープカットのひとこま。左から塩畑一男日本アマチュア無線機器工業会 (JAIA)会長、松野博一文部科学副大臣、JARL原 昌三会長(JA1AN)、ティム・エランIARU副会長(VE6SH)、マイケル・オーエンIARU第三地域議長(VK3KI)、ハン・ジョン・フーンKARL会長(HL2AGG))。

 ハムフェア2008には両日で、のべ29,000名(初日18,000名、2日11,000名)が来場し、さまざまな展示や催事を楽しみました。

 今年のハムフェアは「電波で遊ぼう アマチュア無線」をキャッチフレーズに開催され、スタンプラリー、イベントコーナーの電波教室など「電波で遊ぼう!」をテーマとした楽しい催事をはじめ、大変興味深く役立つ楽しい講演、フォーラムなども開催されました。

 またアマチュア無線関連機器の機器展示、メーカーや販売店の即売、クラブコーナーの各種展示・発表・不要品販売なども大盛況でした。

 なお来年のハムフェア2009は、8月22日(土)、23日(日)の2日間、今年と同じ東京ビッグサイト西2展示ホールで開催の予定です。

 それではみなさん、「来年も東京ビッグサイトでお会いしましょう」

【開催前のご案内はこちら】


電波で遊ぼう アマチュア無線
スタンプラリーを開催

 今年のハムフェアでは、「電波で遊ぼう アマチュア無線」のキャッチフレーズに併せた企画催事として、会場にご来場いただいた子供たちに、ハムフェア会場内の見学を楽しみながら参加していただけるイベントとして、難易度別のスタンプラリーを実施しました。

 この催事は、スタンプラリーのへ参加を通じて、初級クラスでは子供たちに「できるだけ多くのブースを回って、さまざまな展示を楽しんでもらうこと」、そして上級クラスでは「FMラジオという身近な素材を使って、電波の面白さを体験してもらうこと」を目的として企画しました。

 テーマイベントとしての開催ではありますが、「電気の散歩道」のコーナーや「工作教室」のコーナーと同様、ハムフェアにおけるJARL青少年育成活動の一つとして位置づけての開催となりました。

 今回のスタンプラリーの開催に当たっては、JAIAコーナー、ビジネスコーナーに出展の、13企業の協力をいただいて、各ブースにスタンプを配置。
 初級クラスでは特別記念局8J1Aブースを含む全14のブースを、多くの元気な子供たちが巡り歩きました。子供たちが保護者の方を引き連れて、親子でブースを巡り歩くケースも多々見られました。

 そして上級クラスは、FMラジオを使ったFOXハンティングに近い型式で実施。
 参加者は、来場者や出展者に扮し微弱電波のFMトランスミッターを持った3人の秘密のスタッフを、FMラジオを片手に熱心に探し歩いていました。

 スタンプラリーブース担当者の話によれば、当初、初級クラスは「小学生以下を対象」、上級クラスは「中高生を対象」としていましたが、上級クラスへの参加を希望した小学生も多く、急遽、小学生への上級クラス参加も認めることにしたそうです。

 なお、今回スタンプラリーに参加者してくれた子供たちは、初級276名、上級90名でした。

 また余談ですが、FMラジオを片手に楽しそうに歩き回る子供たちを見てか、「大人も参加できないんですか?」という問い合わせが、何件もブースにあったとのことです。

 ちなみに、3つのFOXが送信していたキーワード(秘密の合い言葉)は、それぞれ、「来年も」、「遊びに」、「来てね」で、スタンプラリーに参加していた子供たちには、このメッセージを受けて来年のハムフェア2009にも、ぜひ遊びに来ていただきたいものです。

▲初級クラス参加の子供たちのひとこま

▲上級クラスに参加の子供たちのひとこま

アマチュア衛星フォーラム
/D-STAR FORUMを開催

 ハムフェア2008では2日目の8月24日、2つのフォーラムを開催し、それぞれのテーマについて参加者は有意義なディスカッションを交わし合いました。

【アマチュア衛星フォーラム】

 アマチュア衛星の最新の動向や最新情報を語り合っていただく「アマチュア衛星フォーラム」を開催しました。このフォーラムは「UNISECにおける大学衛星開発と金星ピギーへの相乗りミッション」を副題として開催され、最近誕生したばかりの日本大学SEEDS、東京工業大学のCUTE1.7+APD2の運用状況の報告はもとより、現在宇宙を周回中の日の丸アマチュア衛星の動向、平成20年度に打ち上げが予定されているアマチュア衛星開発状況ほか、東京大学、創価大学ほかが開発を進めているアマチュア衛星の開発・運用の現状に関する興味深い発表がおこなわれました。

 また、平成22年度の打ち上げが発表された、アマチュア衛星としては初め て金星に向かう、大学宇宙工学コンソーシアム(UNISEC)のUNITEC-1 (UNIsec Technological Experiment Carrier - 1)のアマチュア無線ミッシ ョンに関する興味深い内容についても発表されました。

 当日は、UNISECから大学アマチュア衛星を関係者や学生をはじめ、JAMSAT(日本アマチュア衛星通信協会)のメンバーを初めとしたアマチュア衛星通信愛好者約40名が会場に集まり、アマチュア衛星通信愛好者からは、「今後、アマチュア無線家が活用できる中継器をぜひ大学衛星にも搭載してもらいたい」などの意見の交換もおこなわれました。

アマチュア衛星フォーラムのご案内パンフレット(PDF型式)

【D-STAR FORUM】

 D-STARテーマは、海外におけるD-STARの動向とグローバルネットワークシステムです。
 日本生まれのデジタル通信システムD-STARが、アメリカやヨーロッパのアマチュア無線家の間でどのように活用されているのか、日本国内との違いや相互接続に関する考察について数々の意見交換の場となりました。

 当日は約60名が参加。日本のネットワークの実情をはじめ、アメリカとドイツから、D-STARのネットワークシステムの構築の中心となって活躍しているユーザーを招いて、各国でのネットワークシステム運用の状況の報告がおこなわれました。
 そして国際間を結ぶGlobal D-STAR Network確立のための考え方や、その運営のあり方などについて語り合いました。

若田光一宇宙飛行士(KC5ZTA)から届いた
スペシャルビデオメッセージを上映

 2009年2月から3か月間、国際宇宙ステーションに日本人初の長期滞在クルー(第18次)として若田光一宇宙飛行士が搭乗します。  今回の長期滞在ミッションは、日本の宇宙実験棟「きぼう」の船外実験設備組み立て作業を主とするものです。

 若田宇宙飛行士は、アマチュア無線を学生時代の趣味の一つとしていた経験があります。

 NASAは若田宇宙飛行士の長期滞在のミッションの中に「日本の各地の学校等との日本語によるARISSスクールコンタクト」の実施を組み込んでおり、若田宇宙飛行士との多数のARISSスクールコンタクトの実施が期待されています。

 またその後、2009年後半から2010年前半にかけて、6カ月間の長期滞在が予定されている野口聡一宇宙飛行士の滞在期間にも、同様に日本の各地の学校等とのスクールコンタクトが組み込まれています。

 ハムフェア2008では、NASAJAXAの協力で現在NASAで長期滞在の訓練中の若田宇宙飛行士から、ハムフェア会場にご来場の方々に、スペシャルビデオメッセージをいただき会期中の2日間上映をおこないました。

 このスペシャルビデオメッセージには、日本の宇宙実験棟「きぼう」プロジェクトと長期滞在について、国際宇宙ステーションでの若田宇宙飛行士の仕事に関する紹介、長期滞在期間中のARISSスクールコンタクトの実施に関すること、をはじめとした、アマチュア無線家の方々に大変興味深い内容が盛り込まれていますが、ハムフェア2008にご来場いただけなかった方にも、若田宇宙飛行士のメッセージをご紹介しましょう。

ハムフェア2008来場者への若田宇宙飛行士のビデオメッセージ
(写真はビデオメッセージの一部より)

 ハムフェア2008にご来場のみなさん、こんにちは。来年2月打ち上げ予定の、スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗し、第18次長期滞在クルーとして国際宇宙ステーションに滞在予定の、KC5ZTAの若田光一です。

 現在、「きぼう」日本実験棟は、組み立て第一便として、この3月に土井宇宙飛行士が船内宇宙保管室を国際宇宙ステーションに取り付けました。
 第二便は、星出宇宙飛行士が船内実験室・ロボットアームを運び、組み立ても成功に終わり、締めくくりの第三便として、私が船外実験プラットフォームや船外パレットなどの残りの「きぼう」組み立てを完成させる仕事が待っております。
 最後まで気が抜けない、宇宙飛行になると思います。

 来年2月から5月末まで、地球に帰る約3カ月半、国際宇宙ステーションに滞在します。

 私は1992年に「きぼう」の組み立て、検証要員として、宇宙飛行士候補者に選ばれました。これまで2回の宇宙飛行を経験して、訓練を始めて16年が経った今、宇宙飛行士になったときから、目指してきた目標の仕事が近づいてきていることを感じます。
 初めての経験となる、国際宇宙ステーション長期滞在飛行を、確実に遂行できるよう、これまでの宇宙飛行士としての飛行や訓練の経験を生かして、充実したミッションにしたいと思います。
 8月からは宇宙実験が始まり、来年からはさらに本格的な宇宙実験を始め、宇宙利用が始まりますので、みなさん期待してください。

 さて、今回の第18次長期滞在において、NASAの教育プログラムの一つとしてのミッションが課せられています。
 ARISSスクールコンタクトで「国際宇宙ステーションから全世界の、できるだけ多くの子供たちとアマチュア無線で交信して、子供たちに宇宙や科学、そして無線について興味や夢を膨らましてもらおう」というものです。

 NASAのこのプログラムに、私は以前から大変興味がありました。
 実は私自身も、子供のころアマチュア無線を楽しんでいた経験がありますので、宇宙ステーションからのアマチュア無線運用には大変興味があり、ちょっとワクワクしています。

 今回私が滞在することで、日本語で交信ができますので、多くの学校と交信できたらと思っています。
 また、会場のアマチュア無線家の皆様には、できるだけ多くの子供たちに、交信に参加してもらえるように、各地の学校等へのARISSスクールコンタクト実施の呼びかけや、子供たちの交信のサポートなどをぜひお願いいたします。

 そして、もし余暇などでチャンスがあれば、ARISSスクールコンタクト以外にも、日本のアマチュア無線家の方々に向けて、国際宇宙ステーションからCQを出してみたいと考えています。

 アマチュア無線家の間では、「お空でお会いしましょう」という言葉を良く使いますが、お空のさらに上、「宇宙」からの私のCQが聞こえていましたら、ぜひ応答をお願いします。

 「それではみなさん、宇宙でお会いしましょう」

(協力:NASA・アメリカ航空宇宙局、JAXA・宇宙航空研究開発機構)

 なおARISS Japanでは、若田・野口宇宙飛行士とのARISSスクールコンタクトの実施を希望する学校や団体を広く募集しています。
 募集の詳細は、ARISS Japanまでお問い合わせください。

大好評のうち終了
イベントコーナー

8月23日(土)

8月24日(日)


「こな爺の電波教室」
(「こな爺とらじお君の電波教室」)
アマチュア無線 in Big Sight

 JA3CHS小永井貞夫
 (アシスタント:JA3ARJ大串龍生)


「カリブ海のニューエンティティー、
Saint Barthelemy島DXペディション」


 JR2KDN吉田雄一


「富士山頂からのマイクロ波帯
・準ミリ波帯電波伝搬調査」

 YAMA会
 マイクロ波帯
 電波伝搬研究プロジェクト
 プロジェクトマネジャー 横尾富夫


「海外のD-STARの動向と
自作で楽しむD-STAR」



 7M3TJZ(AD6GZ)安田 聖


「ソーラーサイクル24と宇宙天気について」

 情報通信研究機構(NICT)宇宙環境計測グループ
 研究マネージャー 亘 慎一


アマチュア無線のプロモート・ARRLの方法

 ARRL会員・養成部長 NN1Nデーブ・パットン
 (通訳:通訳:JE2EHP堤 善昭)


【JAIAタイム】
 「スペックの読み方大研究
 アンテナ・周辺機器編」

 JAIA技術委員会
 第一電波工業(株)松崎茂樹


【JAIAタイム】
「可能性は、∞(無限)。
D-PRSとこれからのD-STAR」

 JAIA普及推進委員会
 アイコム(株)高岡奈瑞


表彰式


 自作品コンテスト

  • 絵画コンクール
  • ALL ASIAN DXコンテスト

 総務省・JARL


表彰式


 関東UHFコンテスト



 JARL関東地方本部

※両日16:00ごろから、「若田光一宇宙飛行士(KC5ZTA)からのビデオメッセージ」を上映。


入賞おめでとうございます!

自作品コンテスト/絵画コンクール/ALL ASIAN DXコンテスト受賞者のみなさん




ハムフェア2008自作品コンテスト絵画コンクール入賞作品はこちら

特別記念局8J1A

 特別記念局8J1Aは、今年も、各周波数帯でアクティブに運用されました。

 また、8月1日から会期前のPR運用もおこないました(写真は、ハムフェア2008開幕後、来賓の方々を迎えて記念局を運用する原会長)。

 ハムフェア会場での運用受付は、例年通り午前中早々に、受付を締め切る人気ぶりでした。

 V/UHF帯では会場内から、ハンディートランシーバーで特別記念局をコールする多くの来場者の方々も多かったようです。

DXCCデスクはデーブ・パットン氏(NN1N)が申請受付を実施

 今年はARRL(アメリカのアマチュア無線連盟)からNN1N、デーブ・パットン会員・養成部長が来日し、DXCC申請の受付をおこないます。パットン会員・養成部長は2001年、2002年のハムフェアに来日されていて、今回が3度目の来日です。

 同氏の協力を得て、ハムフェア前の8月21日(木)と22日(金)の両日も、東京・巣鴨のJARDハム教室でDXCC申請受付を実施しました。

 また、8月24日のイベントコーナーでは、パットン氏による「アマチュア無線のプロモード・ARRLの方法」と題した講演も実施されました。

 なお、ハムフェア事前申請受付の2日分も含めて、240件以上の申請を受け付けました。

人!人!人!熱気あふれる
クラブコーナー・ビジネスコーナー

 ビジネスコーナー、JAIAコーナー、クラブコーナーは今年も大変な混雑ぶりでした。初日(8月23日)お昼ごろの各コーナーの大混雑ぶりは特筆もので、身動きが取れなくなることもしきり。

 上の写真は、初日13:30ごろのビジネスコーナー、クラブコーナーのようすですが、ご覧のように「人!人!人!」で大変な人混みです。この時間帯に、写真のコーナー付近を歩いていらっしゃった方は写っているかもしれませんね。心当たりの方は探してみてください(笑)。

 気になる新製品をチェックする人、ハムフェア特価品を探し回る人、ハム仲間との久々のアイボールを楽しむ人など、会場での楽しみ方は人それぞれですが、ご来場いただいた皆様は十分にお楽しみいただけましたでしょうか。

アイボールQSOパーティー

 8月23日(土)17:30から、東京ビッグサイト西2展示ホール正面のニュートーキョーで、約180名が出席しアイボールQSOパーティーが開催されました。

 パーティーは原会長の開会の挨拶、総務省総合通信基盤局竹内芳明移動通信課長の祝辞がありました。

 竹内移動通信課長は「アマチュア無線家の皆様方のより一層の利便性をはかるために、今後も電子申請システムの操作性の向上などをはかっていきたい。手狭だった3.5MHz帯のバンド拡充をおこなった。アマチュア無線家の皆様方には拡張されたバンドをぜひ有効に活用していただきたい。また、来年の3月30日に7MHz帯のバンド拡大を実現したい。拡大される7MHz帯の7100-7200kHz、現在は放送が使用しているが、この周波数をアマチュア無線家の皆様に活用していただけるよう、総務省においても関連法令の整備などについて、日々検討を進めている」(要旨)とのべ、ほか「今後のアマチュア無線への期待」などを語りました。

 続いて祝辞をいただいた、元参議院議員・元国家公安委員長の小野清子先生(7M3URU)から「竹内課長は良いことをお話になる」と、7MHz帯のバンド拡大に歓迎の挨拶をいただきました。

 その後、JAIA井上副会長の乾杯の音頭でスタートしました(写真上)。

 途中、海外から迎えた多数の来賓を代表して、IARU(国際アマチュア無線連合)副会長のティム・エラン氏(VE6SH)、海外からの来賓を代表して挨拶を述べ、盛会のうちに終了しました。


▲開会挨拶をするJA1AN原会長

▲祝辞を述べる総務省総合通信基盤局竹内芳明移動通信課長

▲祝辞を述べる、7M3URU小野清子先生(元参議院議員・元国家公安委員長)

▲海外からの来賓を代表して挨拶をする、ティム・エランIARU副会長(VE6SH)

【ハムフェア2008開催要項】 【自作品コンテスト実施要項】 【絵画コンクール実施要項】


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