思いがけないところから発生する電波障害

 思いがけない機器からノイズが発生し,テレビやラジオ,アマチュア無線に与える電波障害とその対策の例を紹介します。

■ガス機器がアマチュアバンドに与えるノイズ

 ガス機器から発生するノイズがHF帯のアマチュアバンドに混入する、という申告がJARL事務局に多く寄せられていますので、その事例を紹介します。
 事例1のようにこれから対策をおこなうものや、事例3のように、これから電波障害相談員を派遣して調査をおこなうものもあります。

【事例 1】湯沸かし器が出すノイズ

 最近自宅を新築しましたが、ロングワイヤーアンテナでHF帯を受信してみたところ、7MHz帯から28MHz帯にかけて約20KHzおきに妨害キャリアが受信されました。信号の強さのピークは14MHz帯で、一部のAM放送にも影響がありました。
 小型の短波帯受信機を使って発生場所を探したところ、自宅の中型湯沸かし器付近であることが判明しました。この湯沸かし器のACコンセントをはずしてみるとノイズがなくなるので、原因はこの湯沸かし器であることがわかりました。
 対策は、ガスの工事会社を通じてガス会社に調査を依頼します。

【事例 2】24時間風呂が出すノイズ

 長年運用している14MHz帯で、最近ある方向にアンテナを向けると24時間ノイズが入るようになりました。携帯用の短波帯ラジオでノイズの発生場所を探したところ、近隣で最近設置した24時間風呂の設備が原因であることが判明しました。
 該当するメーカーに対策を依頼した結果、その設備の制御回路から発生したノイズがACラインに漏れていたことが原因でした。

【事例 3】集中検針装置が出すノイズ

 近隣からテレビへの電波障害があるとの申告がありましたが、このところ仕事が多忙のためアマチュア無線を運用していなかったので、不思議に思い原因の調査をおこなっていました。
 この結果、隣のお宅に最近ガスの集中検針装置が取り付けられ、この装置からノイズが出ていることが推測できました。
 このケースの場合は、近々JARL監査指導委員会の電波障害相談員が現地に行って、原因の調査をおこないました。

■都市ガスの制圧器から輻射されるノイズ

 湯沸かし器や風呂釜、集中検針装置など、ガス関連機器から発生するノイズがHF帯のアマチュアバンドに混入する事例のほか、「都市ガスの制圧器」から同じようなノイズが発生して困っている旨のレポートもあります。
 この制圧器には、動作状態のデータを記録するシステムがあり、以前は係員がそれぞれの制圧器を巡回してデータを回収していましたが、平成8年12月頃から電話回線を使ってテレメーターでデータを送るようなシステムになったようです。
 ところが、このテレメーターから「ザック」「ザック」「ザック」というノイズが、HF帯の14MHz〜28MHzの広範囲に約200kHz〜300kHzごとに、帯域幅50kHzで強力(強いところではSにしてS9+)に飛び込むそうです。中心周波数は21MHz帯にあるようですが、28MHz帯でモービル運用していて同様なノイズが混入するとき、近辺を見回すと多くの場合、金網に囲まれた「制圧器」があるといいます。
 このような制圧器は、各町々に設置されていますので、このノイズで悩んでいる方も多いはずです。レポートをいただいた方は、関係会社や関係機関にこの問題を届けてきましたが、一部改善されたものの相変わらずノイズで悩んでいるとのことです。

■吸水ポンプからHF帯ローバンドにノイズが発生!!


  「1.9MHz帯〜7MHz帯の広範囲でアマチュアバンドに、断続的にノイズが混入して困っています。特に、朝と夕方に発生頻度が高いのですが」というお問い合わせのケースです。対策をおこなうには、ノイズを発生する機器を特定する必要があるので、携帯用短波ラジオなどを使って近隣の調査をしていただくようにお願いしました。
 アマチュア局が自宅付近を携帯用短波ラジオで探索した結果、最近新築されたマンションがあり、そこで使用されている給水用のポンプのモーター付近からノイズが発生していることが判明しました。このため、マンションの管理会社に事情を説明し、ポンプのメーカーに対して対策を依頼しましたが、管理会社に内容を理解してもらえず対策は先に進まなくなってしまいました。
 その後、アマチュア局から何回か管理会社に問い合わせをおこなったところ、マンションの所有者を紹介され、その結果、ようやくポンプのメーカーが判明し対策を依頼することになりました。



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