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JARL南極局8J1RL「こどもの日の特別運用」
体験運用を含め子どもたち11名がD-STARで交信
南極・昭和基地に開設されたJARL南極局8J1RLが、日本国内の小・中・高校生、高専生のアマチュア無線家と優先して交信をおこなう「こどもの日の特別運用」が、南極地域観測隊のご協力をいただき、2025年も5月5日(月・祝)の「こどもの日」に開催されました。
当日は事前応募で選ばれた小学校4年生から高校3年生までの11名(3アマ6名、4アマ2名、無資格者3名)とその保護者が、東京都豊島区のJARL本部に集合し、JARL中央局のJA1RLから南極局8J1RLとの交信にチャレンジしました。
2023年に施行されたアマチュア無線の制度改正で「アマチュア無線の資格を持たない者の体験運用」の条件が大きく緩和されて「体験運用」が可能になったことから、昨年と一昨年に続けて今年も、無資格者が3名(小学校5年生2名、中学校2年生1名)参加。アマチュア無線と、南極・昭和基地との交信を一度に経験する貴重な機会となりました。
 ▲森田JARL会長 |
 ▲参加された皆さん |
 ▲南極地域観測隊 近藤隊員 |
16:25、交信会場となったJARL会議室では、JA5SUD 森田耕司JARL会長の挨拶から会が始まり、JA1RL運用委員会委員、JLRS(Japan Ladies Radio Society)と南極OB会アマチュア無線クラブの紹介と、当日集まった子どもたちの自己紹介などがおこなわれました。
続けて、第66次南極地域観測隊(夏隊)として今年4月に帰国されたJG3PLH 近藤巧さんが、南極観測と観測船「しらせ」についてや昭和基地での生活、今日8J1RLからの交信に参加する予定の越冬隊員の皆さんのご紹介などをお話いただきました。
 ▲新谷JA1RL運用委員 |
 ▲JA1RL運用委員の皆さん |
 
▲JLRSの皆さん/南極OB会アマチュア無線クラブ 小林様 |
また、JA1RL運用委員の7K2GMJ 新谷一徳さんからは、JARL南極局8J1RLとの具体的な交信方法についての説明やQSLカードの交換についての説明がありました。
17:28、JA1RL運用委員が21MHz帯SSB(出力200W)で8J1RLの呼び出しを開始。しかしコンディションが悪く応答がなかったため、昨年交信に成功した28MHz帯に移り、再び8J1RLを呼び出しましたが、こちらも応答がありませんでした。そこでアンテナをロングパス伝搬の方向に向けてみたり、念のため14MHz帯にも移ってみましたが、やはり双方とも信号の確認ができませんでした。
この交信チェックの途中、昭和基地の上空に前夜から大規模な「オーロラ」が発生中で、そのために短波帯の伝搬状態が悪化していて、少し待ってみても交信は厳しいだろうという情報がもたらされました。
そのため短波帯での交信を諦め、D-STARのゲート越え通信で8J1RLと交信をおこなうことになりました。JA1RL側はハンディトランシーバーで最寄りのD-STARレピータにアクセス、一方の8J1RL側はインターネットに直接接続する「ターミナルモード」でD-STAR網にアクセスし、18時32分に双方が無事につながりました。この瞬間、会場内にはホッとした雰囲気に包まれました。
18:35、まず3アマの6名から交信をスタート。続いて4アマの2名、最後に体験運用の3名の順番で8J1RLとの交信が進みました。D-STAR経由なので8J1RLの信号はとてもクリアで、子供たちは自分の名前を伝えるとともに、1交信ごとに交代する昭和基地側のオペレーターの名前を真剣に聞き取っていました。また8J1RLからは交信の最後に「現在の気温はマイナス12度です」「昨夜はオーロラがきれいでした」といった情報も伝えていただきました。
その後は森田JARL会長から参加した子どもたち1名ずつに「交信記念証」が手渡され、全員で記念写真を撮影。最後にJG1DKJ 澤田倉吉JARL東京都支部長(JA1RL運用委員会委員長)からの挨拶があり、交信に成功した子どもたちは、保護者の方と共に笑顔で交信会場を後にしました。
なお8J1RLは、JA1RLとの交信終了後、大阪・関西万博の会場に設置されている特別記念局(8K3EXPO)の運用コーナーで待機していた、体験運用の子供たち5名ともD-STAR経由で交信をおこないました。
運営にご協力いただきました第66次南極地域観測隊(越冬隊)の皆さま、南極OB会とJLRSの皆さま、関係者の皆さま、報道関係の皆さま、そして暖かく見守ってくださいましたアマチュア無線家の皆さまに厚く御礼申し上げます。
(5月9日)
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