August 2021 NEWS TOPICS INFORMATION

福岡県福岡市の西南学院高等学校で国際宇宙ステーションと交信に成功

 2021年7月22日、福岡県福岡市の西南学院中学校・高等学校でARISSスクールコンタクトが実施され、同校の生徒が国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の星出彰彦宇宙飛行士(KE5DNI)との交信に成功しました。

■無線部OBの総力を結集、卒業生企画イベントとして開催した西南学院スクールコンタクト
 西南学院高等学校(福岡県福岡市早良区)にはクラブ局JA6YAVが存続しています。今や珍しくなった高校の無線部や一般の生徒に対して、無線や科学技術への興味や関心をより持ってもらおうと、無線部OB企画イベントを開催することになりました。いくつかの素案を検討した結果、「アマチュア無線は科学研究者への登竜門」をコンセプトとすることに決定。プログラムを練り上げる過程で、イベントの目玉としてスクールコンタクトを組み込みました。

 7月22日、イベント開始。まず卒業生で無線部OBの国立情報学研究所教授の高倉弘喜さん(元部長1アマ)に来校していただき講演、さらにNASA研究所に勤務する九州大学客員准教授の岩下友美さん(元部長3アマ)にもカリフォルニアからライブ中継による講演をしていただきました。お二人には高校時代無線部の思い出、その後の進路、現在の研究の紹介、生徒に対するメッセージ等を入れていただきました。
 その後、40年以上にわたって顧問をしている先生を交えてのパネルディスカッション、物理教師による講義、そしてメインイベントのARISSスクールコンタクトと繋がる、2時間半を超える一大イベントとなりました。


▲高倉さん(右)、顧問の先生(左)。岩下さんはカリフォルニアからライブ中継

▲物理教師による講義

 当日はJARL尾会長、中村九州地方本部長、井上福岡県支部長に出席いただきました。講演などのメイン会場は西南学院中高のチャペルを使用。コロナ禍のため会場での参加生徒を100名に制限し、その他の参加生徒は学校より配布されているiPad(質問可)視聴によるハイブリッド開催としました。保護者、一般向けにライブ配信も実施しました。長時間のイベントにもかかわらず、ライブでの視聴者は260名、24時間後までの視聴者は1600名超。生徒に対してアマチュア無線をアピールし、宇宙や科学技術について夢を広げるまたとない機会になりました。
 なお、当日の様子はHPからもご覧いただけます。コールサイン「8N6SW」を検索してください。

■メインイベントとしてのスクールコンタクト
 イベントのトリを飾るスクールコンタクトは生徒が部室へ移動し実施、その模様を中継しました。7月22日18時14分から25分まで最大仰角31.1°。交信相手は星出宇宙飛行士。申請時より生徒は英語での交信を希望していたので、そのまま英語で質問し英語で答えていただきました。質問予定の生徒は14人。各質問に対する返事が非常に丁寧にいただいたため、最後のひとりは残念ながらタイムオーバーとなり交信できませんでした。後日、この生徒に対して星出さんから何らかの対応をしていただけることになりました。


▲交信生徒の紹介。このあと部室に移動

▲部室から交信中

■交信の設備
 今回使用した設備は、アンテナ11エレクロス八木(CY144-211 、F9FT社製)、サテライト用ローテーター:八重洲G-5500, PC Software: Calsat32, 無線機: IC-9700。バックアップとしてGPアンテナとIC-9700を別途用意しました。

▲アンテナと架台。ステーやアンカー不要
 今回の装備で特記するとすれば、アンテナ据え付け架台を使用したことでしょう。本来はBSパラボラの取り付けを想定した業務用商品ですが、ブロックを重りにすることでステーやアンカーが不要です。仮設だけでなく常設も可能、多少の屋根勾配にも対応しマストを垂直に設置することができます。今後スクールコンタクトを予定されている方におすすめです。

■結びと謝辞
 交信のみではなく、総合的・多元的に関連するプログラムも同時に実施することで、アマチュア無線に対する訴求効果上げることができ、ひとつの実施スタイルを提示できたと考えます。これもひとえに無線部OBを中心に学校、同窓会の皆さんやたくさんの方々からのご理解とご協力の賜物です。紙面をお借りし御礼申し上げます。また、企画段階からご助言いただき、当日は遠路福岡までお運びいただいた関西ARISSの皆さまに心より感謝申し上げます。

[レポート:西南学院スクールコンタクト実行委員会 鐘ヶ江 重宏(JE6DNN)]

(8月20日)

 




ハイチの地震で非常通信(混信を与えないように注意してください)

 8月14日にハイチでマグニチュード7.2の地震が発生し、日本でも報道されていますように現地で大きな被害が出ています。
 この地震発生を受け、国際アマチュア無線連合・第2地域(IARU-R2)は、ハイチでの非常通信をサポートするために、南北アメリカのアマチュア無線家に対して、3750kHz、7150kHz、および14330kHzの周波数をクリアーに保つよう要請を発しました。

 日本でもこれらの周波数付近での運用で非常通信に混信を与えないよう注意してください。

(8月17日)




新スプリアス規格への移行期限の延長が決定

 総務省は新スプリアス規格への移行期限の延長についての意見募集をおこない、当連盟も賛成の意見を提出しておりましたが、令和3年8月3日付で、無線設備規則の一部が改正され、即日施行されました。
 この改正により、新スプリアス規格への移行期限を令和4年11月30日とする経過措置が当分の間、延長されることが決定しました。

 なお、無線局免許状に令和4年11月30日までとする旨条件が付されているものは、その条件が付されていないものと見なされ、令和4年12月1日以降も他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り、使用することができるとの条件が付されたものと見なされます。

▽総務省の行った意見募集結果のURL
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban12_02000130.html

▽令和3年8月3日付の官報のURL
https://kanpou.npb.go.jp/20210803/20210803h00546/20210803h005460002f.html

(8月5日)




   
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