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福井県福井市の森田中学校で中学生たちが国際宇宙ステーションと交信に成功
2020年1月22日、福井県福井市の森田中学校の生徒の皆さん15名が、国際宇宙ステーションに長期滞在中のルカ・パルミターノ宇宙飛行士とARISSスクールコンタクトで交信に成功しました。国内でスクールコンタクト成功は99例目、福井県内での実施は2例目となります。
森田中学校のスクールコンタクトのサポートに当たったJR9AXJ佐々木 正盛さんに、当日の実施レポートをお送りいただきましたのでご紹介します。
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このスクールコンタクトは、福井県で2例目・北陸地方で3例目になり、中学校での開催は初めてになります。2016年5月に町内のイベント企画会議でARISSの話をしたことがきっかけで始まりました。私の娘が中学校に在籍しており、うまくいけば一緒に交信できるのではと思っておりました。
私は衛星通信の経験や設備もなく、自動追尾などやったことがなかったので、申請する前に経験者を探しお願いするか、自前で準備して開催するか迷っておりました。2017年6月に福井市にあるハムショップの中部特機産業(株)に相談に行ったところ、衛星通信のエキスパートがいらっしゃるとお聞きしました。そこでご紹介していただいた方が、JA9BOH前川 公男さん(JARL北陸地方本部長)でした。後日、連絡して相談したところご快諾いただきました。
メンバーが増えて前川さんと知り合いのベテランOMで、私の高校の先輩や福井高専・福井工業大学の現役の先生方もメンバーに加わりました。前川さんや先輩OMのご指導のもと、交信の練習をおこない、着々と準備を進めていきました。また、福井宇宙通信愛好会も立上げ、JARL福井県支部の登録クラブにも登録しました。
数カ月練習し、衛星通信やISSの自動追尾などができるようになったので申請の準備に入りました。当時、森田中学校のPTA役員に知り合いがおり中学校での開催について相談させていただきました。相談を進めるうちに学校行事との調整や準備など、先生やPTA役員の方々が大変忙しくなることが予想されました。提案だけでは実現は難しいと思っておりました。
そんな時、当時のPTA会長から「自分自身もPTA役員になれば、事業がやりやすくなる」との入会のお誘いを受けまして、PTA会員からPTA役員になりました。
森田中学校PTAに参加後は、月に一度の役員会で進捗などを報告しました。申請書はJA9BOH前川さんと相談しながら作成しました。森田中学校の校長先生と教頭先生からサインをいただき、2017年7月28日付けでARISS Japanに申請しました。
2018年3月にARISS運用委員の7M3TJZ安田さんから交信のスケジュールについて連絡がありました。このときは残念ながら、学校行事や福井国体の開催など、学校とPTAの都合がつかず、2018年度はキャンセル(延期)させていただきました。
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2018年12月に福井県児童科学館・エンゼルランドで「ふくい宇宙博」が開催されました。福井宇宙通信愛好会と福井高専無線研究会のメンバーで移動運用サービスをおこないました。ふくい宇宙博には、金井 宣茂 宇宙飛行士が来られ、ミッション報告会がおこなわれました。
2019年2月に,ARISS JAPANから予定日の連絡があり森田中学校は7月頃のスケジュールで準備に入りました。全校生徒に募集のチラシを配布しましたが英語での交信とのことで、すぐには生徒が集まらず学校の先生から声かけなどをしてもらい、予定していた15人が集まりました。
同年6月に福井市で、第32回宇宙技術および科学の国際シンポジウム(ISTS)福井大会が開催されました。新聞でJAXAの古川 聡 宇宙飛行士が講演されるとの記事を見て、交信予定の生徒にも聴いてほしいと思い、聴講を申し込みました。講演は90分間で「宇宙の今と未来〜君も宇宙へ行こう」と題し、自身の経験や宇宙のことについて語られました。生徒は真剣に聴いているようすでした。質問タイムでは、参加した一人の生徒が古川宇宙飛行士に質問をしました。古川宇宙飛行士はマイクを持って近くまで来て、笑顔で対応してくれました。
その後6月、7月は特に連絡もなく、また延期かと思っておりました。仲間のPTA役員からは心配の声が聞こえてきましたが、私は気長に待つことにしました。質問の確認やいろいろ準備しながら待っていたところ、10月にARISS JAPANから2020年1月後半で交信可能かと連絡がありました。中学校の先生やPTA役員と相談し、実施したいとお願いしました。
12月に入ると書面で通知が届きやっと決まったと安堵の気持ちと、1月なので雪が降らないか懸念されました。JA9BOH前川さんは“雪が降ったらみんなで除雪しましょう”と言われ、屋上で除雪は寒いだろうなと思っておりました。
保護者の方から英語で発音のビデオがほしいとの要望があり、ALT(外国語指導サポート)の先生にお願いして15人分の質問ビデオを作りました。編集したビデオをDVDにコピーして、生徒に渡しました。保護者の皆さまからは自宅でも練習できるから助かると好評でした。
会場は当初体育館を使う予定でした。屋上のアンテナから無線機まで距離があるので無線機(IC-9100M)とアイコムのリモートコントロールソフト(RS-BA1)を使って遠隔操作をする予定でした。ところが学校の都合で体育館が使えなくなり、屋上に近い教室へ変更になりました。同軸ケーブルも直接、教室に引き込んで無線機に接続しました。PTT操作はパソコンでRS−BA1を使用しリモートで送受信しました。このソフトはスプリット運用にも対応するので、スプリット運用が前提となるスクールコンタクトの交信でも使用可能です。
年も明けて1月に入ると忙しくなりました。
ARISS運用委員の安田さんに準備状況の報告や、関係者で校舎の屋上にクロス八木アンテナを設置、ALTを交えての交信練習、やることが山ほどあり大変でした。1月15日に安田さんから、1月22日(水)の17時に決まったとの連絡がありました。
当日は会社を休んで、朝から中学校へ行き、準備に入りました。天気も冬には珍しい快晴です。16時からセレモニーが始まり、17時ちょうどからNA1SSを呼び始めました。トラブルもなく15人の生徒が質問し交信は大成功で終えることができました。開催に当たりまして、たくさんの方のご協力とご尽力を賜り心から感謝申し上げます。
[レポート:福井市森田中学校PTA副会長 佐々木 正盛(JR9AXJ)]
(2月17日)
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