September 2015 NEWS TOPICS INFORMATION

北の大地のアマチュア無線の楽しいお祭りが約24年ぶりに帰ってきた
 第4回北海道ハムフェア、9月5日・6日に北海道札幌市で開催される

 平成27年9月5日、6日札幌市東区にある札幌卸センターで第4回北海道ハムフェアが開催されました。前回のハムフェアは1991年に開催され、実に24年ぶりの開催となりました。

 会場前のオープニングセレモニーには、北海道総合通信局長であられる安井様をはじめ、JARL山之内俊彦会長(JA7AIW)、JARD有坂芳雄会長(JA1HQG)、櫻井紀佳アイコム(株)顧問(JA3FMP)にご臨席いただき、テープカットがおこなわれました。

 オープニングセレモニーがおこなわれた会場の北口玄関には、北海道のみならず全国各地からたくさんの方々にお集まりいただきました。

 オープン直後の会場内は、通行もままならないくらい多くの来場者であふれ、皆様が待ちに待ったイベントであったことが分かりました。

 会場内には関係機関のブースやメーカーブース、クラブブースなど60を超える出展があり、アマチュア無線の祭典にふさわしく充実したものになりました。

 イベント会場では、山之内俊彦会長(JA7AIW)のこれからのJARLに関する講演や、櫻井紀佳アイコム(株)顧問(JA3FMP)によるアイコム社創業50年周年の歴史と変遷、JARD有坂芳雄会長(JA1HQG)による135KHzに関する講演、各メーカーの技術的な講演などがおこなわれ、ご来場の皆さんも熱心に耳を傾けていました。

 また、アマチュア無線家の女性シンガーソングライター渡部まいこさん(JJ0SDQ/1)のコンサートやオークションも開催され、イベント会場は大いに盛り上がりました。

 ハムフェアの楽しみにアイボールQSOにあります。1日目の夜、会場の地下食堂でおこなわれた「8エリア・アイボールミーティング」(懇親会)には、全国各地から多数の方にご参加いただき盛大に開催することができました。

 アイボールミーティング終了後は、2次会、3次会と親睦を深める方もいらしたようで、有意義な時間を過ごしていただいたようです。

 また、開催期間中、会場内のあちらこちらで数年ぶり、数十年ぶりにアイボールがおこなわれている姿をみかけることができました。

 2日間にわたっておこなわれた北海道最大のアマチュア無線の祭典は、約1,500名(関係者を含む)の皆様にご来場いただき盛況の内に終了いたしました。

 開催にあたりご協力いただきました関係各団体そして、実行委員・広報委員の皆様に心から感謝申し上げます。

 次回の北海道ハムフェアの開催時期については未定ですが、今回の開催によってできたアマチュア無線に対する盛り上がりや繋がりを消さないよう、今後も何らかの取り組みをしていきたいと思います。

レポート:第4回 北海道ハムフェア実行委員長
北海道地方本部長 正村琢磨(JH8HLU)

(9月24日)

「詳細」

平成26年度末(平成27年3月末)までのアマチュア無線従事者資格取得者数の推移

 総務省は、情報通信統計データベース上で、平成26年度末(平成27年3月末)までのアマチュア無線従事者資格取得者数の、年度別の推移を次のとおり発表しています。

資格平成17年平成18年平成19年平成20年平成21年平成22年平成23年平成24年平成25年平成26年
1アマ23,69724,68525,42726,06526,68327,40628,12729,13830,04130,837
2アマ73,70574,14774,46274,84675,22975,57376,12176,87277,53677,973
3アマ156,415169,149180,033188,545195,122201,390208,295214,552220,624226,666
4アマ2,938,9272,956,7332,974,5702,989,5333,002,9213,014,7743,026,9143,039,9583,054,1473,067,592
小計3,192,7443,224,7143,254,4923,278,9893,299,9553,319,1433,339,4573,360,5203,382,3483,403,068

(9月16日)

「詳細」

豊中市立東丘小学校の児童が、油井亀美也宇宙飛行士と交信に成功

 8月18日大阪府豊中市立東丘小学校でARISSスクールコンタクトが実施され、同校の小学4年〜6年生の15名の児童たちが、国際宇宙ステーションに7月23日から5か月間長期滞在される、油井亀美也宇宙飛行士との交信に成功しました。今回のスクールコンタクトは日本では81回目、大阪府では8回目となります。

 会場では宇宙から届く油井宇宙飛行士の生の声に、約600人が聞き入っていました。交信は、国際宇宙ステーションが大阪を通過する20:42:30秒から約10分間の予定でおこなわれました。

 昨年12月に、ARISS運用委員の7M3TJZ安田 聖さんからの紹介で、関西ARISSプロジェクトチームの田中 透代表(JR3QHQ、大阪府支部長)らが、同校に話を聞きに行きました。実は同校では、5年生の児童が「ariss.jpのホームページ(ARISS運用委員の安田さん制作の、スクールコンタクト情報ページ)」を見ていて、内容を印刷して校長先生に渡していたことから、スクールコンタクトの内容についてはすでに知っていたようで、すぐに申請書を提出することになったそうです。
同校ではこのときすでに、やる気満々のようでした。

 3月末には、8月17日の週の油井宇宙飛行士との交信スケジュール枠に入ったことがわかり、学校に連絡しました。4月に入ると、校長先生が代わられたということで、あらためてスクールコンタクトの説明にでかけたそうです。このとき、PTAのお母さんたちには、これまで実施したスクールコンタクトのビデオを見てもらい、大張り切りのようすだったそうです。

 そして、本番に向けての大まかなスケジュールが決まってきました。

  • 6月に創立50周年の式典でARISSのPRをする。
  • 町内会でもPRする。
  • 毎日放送の取材が決定している。
  • 7月初めに子どもたちと質問を決める。
  • 7月中旬に勉強会を開催。
  • 8月初めに2回目の勉強会を開催。そして本番

 7月13日には全校児童に対して、ARISSや宇宙・アマチュア無線についての授業をおこないました。

 7月15日には交信する子どもたちへのレクチャーとリハーサルをおこないました。

 7月17日は台風が近づく中、関西アマチュア無線フェスティバルの準備に池田市民文化会館へ行き、関西ARISSのメンバーとの昼食のときに、田中代表から「島村さんにコントロールオペレーターをやってほしい」と言われました。「なんで自分なのか?」について何度もいろいろな方に聞いてみましたが、自分にも「一度はやってみたい」との思いがあり引き受けることにしました。

 猛暑が続く8月10日09:00から、メンバー8名で体育館近くのプールの更衣室屋上に、6mのルーフタワーとクロス八木アンテナを設営しました。アンテナ設置の当日は、豊中市の取材もあり、後日その模様は市のホームページに掲載されました。予備としてナガラ電子のQFHアンテナも体育館の近くにひとまず仮設しました。

 「本番の日程は8月11日の朝に決定する」と聞いていましたが、実際の発表は夕刻となり、8月18日に決定しました。ちょうどこのころ、「油井宇宙飛行士搭乗のソユーズロケット打上げや、油井宇宙飛行士の6年間の訓練のようす」をNHKが特集していたので、大きな興味を持って見ました。交信の前に、油井宇宙飛行士の声などを知っておくことが重要だと感じたからです。

 当日は、14:00に関西ARISSプロジェクトチーム、高槻クラブ、JAMSAT、ARISS運用委員の安田さん、茨木工科高校の学生ら約20人が集まり準備を開始しました。

 軌道情報からISSの飛行ルートの登りはじめのところに、高層マンションがあることがわかりました。計算では、最初の2分間は繋がらない可能性が高いのです。対策として体育館の北端に円偏波無指向性のQFHアンテナを移設して、無線機の所でオペレーターがアンテナを切り替えることにしました。

 また当日は、近畿総合通信局のDEURAS-Mにより今回も電波監視をしていただきました。

 準備を終えてオペレーター(私)と質問する児童15名が参加して、リハーサルをおこないました。私自身、国際宇宙ステーションとの交信は初めてです。「すべて日本語でOKかな?」と思っていたのですが、NA1SSはアメリカの局なので「繋がるまでは英語で」というレクチャーを受け、英語はあまり堪能とは言えないので、カンペを作り覚えることにしました。しかし、練習を繰り返していて、「子どもたちよりも声が小さい」と、メンバーからダメだしを食らいました。最悪なことに緊張してシドロモドロになったりして、メンバーからは「どうなることか?」と心配してもらいながら、刻々と時間が迫ってきました。

 本番の時刻を前にして、会場には続々と人が集まり。観衆は報道陣含め約600人。小学校のセレモニーの後、最終リハーサルが入念におこなわれました。これは余談ですが、リハーサルの際に交信のお相手をする「ニセ宇宙飛行士」(!?)の、ユニークな回答が子供たちに受けていたようです。このとき「ニセ宇宙飛行士」は2名待機していましたが、1号はしゃべり過ぎで交信が長くなるので、2号に選手交代して入念なリハーサルをおこない本番に臨みました。

 そしていよいよ定刻がやってきました。先の「ニセ宇宙飛行士2号」によるアナウンスでカウントダウンをおこない、20:42:30から呼び出し開始しました。

「NA1SS This is 8N3HO. How Do You Copy Over?」

 ところが、応答がありません。

 このとき使用中のアンテナはQFHアンテナです。ブレークタイムをあけて、何度も呼んでも応答がありません。約2分が経過したころ、どこからか「アンテナを切替えよ」との神の声が聞こえてきたので(!?)、急遽切り替えたところ、2度目の呼びかけで、かすかに油井宇宙飛行士の声が聞こえてきました。

 「NA1SS This is 8N3HO. 油井さん、こんばんは、初めまして。聞こえますか?」
「よく聞こえま〜す、本日はよろしくお願いしま〜す!」

 待望のスクールコンタクトが始まりました、そして、油井宇宙飛行士のてきぱきとした回答のおかげで、子供たち全員がスムーズに質問ができ大成功に終わりました。

 最後に油井宇宙飛行士から、「また地上で会いましょう。大阪、大好きです」とメッセージをいだきました。

 油井宇宙飛行士と日本の子供たちとのアマチュア無線による初交信ということもあって、多くのマスコミが取材に駆けつけてくれたようです。取材があったテレビ局は、毎日放送、朝日放送,関西テレビ放送、よみうりテレビ、テレビ大阪で、新聞関係は共同通信を通じて全国へ、朝日新聞などの大阪地区版に掲載されていました。

 なお、今回のスクールコンタクトをサポートしていただいたスタッフの皆さん、ありがとうございました。

レポート:JM3DUR島村隆久さん
(NPO 日本アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)理事))

(9月2日)


第23回世界スカウトジャンボリーのARISSスクールコンタクト成功(詳報)

 山口県山口市きらら博記念公園で7月28日から8月8日までおこなわれた第23回世界スカウトジャンボリーの会場に設営された臨時のアマチュア局8N23WSJのイベントの一環として、ARISSスクールコンタクトが7月31日20:29(JST)から約10分間おこなわれました。

 当初、5月27日に打ち上げられる予定の油井亀美也宇宙飛行士を含む第44次クルーが滞在していることを前提として、大会期間中に実施することとしてスケジュールが組まれましたが、ロシアのプログレスの打ち上げ失敗に伴い、打ち上げが延期されました。

 第44次クルーが滞在しないことには、ロシア人宇宙飛行士を除けばアマチュア無線の資格を持つ宇宙飛行士がいなくなることから、大会期間中の実施が危ぶまれましたが、7月23日に油井宇宙飛行士たちが乗ったソユーズが無事打ち上げられ、7月31日の実施にこぎつけることができました。

 相手をしていただける宇宙飛行士は、今回の交信が各国のスカウトを含めて交信することから、使用言語を英語としたので、油井宇宙飛行士ではなくチェル・リングリン(KO5MOS)宇宙飛行士に決まりました。

 7月31日午前中からクロス八木アンテナの組み立てを、会場内のサイエンスモジュールのテント内でおこない、午後にはサイエンスモジュール内に設営されている8N23WSJをサポートしている各国スカウトの協力を得て、テントの外にタワーとローテーターを設営。さらに交信会場の設営を手分けしておこない、夜の交信に備えました。

 世界スカウトジャンボリーには、14歳から17歳のスカウトが参加していることから、この世界ジャンボリーに限り小中学生でなく世界ジャンボリーに参加している14歳から17歳のスカウトに限り、無免許での交信が特例で認められたことから、各国のスカウトから交信メンバーを人選して交信に臨みました。

 スカウトの内訳は、日本を除く10カ国(メキシコ、スリランカ、米国、デンマーク、バングラデシュ、スイス、アイルランド、ハンガリー、インド、オーストラリア)から各1名、そして日本からの10名です。交信設備の設置と並行し、上記交信メンバーに対して交信方法の事前説明、交信の方法についての説明がおこなわれ、交信直前には、実際の交信場所で練習をおこない、本番に備えました。

 国際宇宙ステーションが会場から交信可能範囲に入った20時29分過ぎから、呼び出しを始めました。

 当初信号は受信できませんでしたが、数回呼び出しをおこなった後、国際宇宙ステーションからと思われる信号を受信。しかし音声が乗ってこなくて、その旨伝えると次からは音声が明瞭に聞こえるようになり、スカウトとの交信に移ることができました。

 交信は、先にご紹介した20名で外国のスカウト、日本のスカウトが交互に交信するという方法でおこなわれました。信号が弱くなることもありましたが、無事20名全員質問することができました。

レポート:7M3TJZ安田 聖さん(ARISS運用委員)

▽公式ビデオ
https://www.youtube.com/watch?v=AGhQ8OamfTY&feature=player_embedded

●第23回世界スカウトジャンボリーの記念局「8N23WSJ」について

 ボーイスカウトの世界大会「世界スカウトジャンボリー」の、日本での開催は44年ぶりの開催で、世界の国や地域から3万人を超える関係者が参加の国際イベントです。

 8N23WSJは「第23回世界スカウトジャンボリー」の開催に当たって、公益財団法人ボーイスカウト日本連盟(日本ボーイスカウトアマチュア無線クラブ)が開設した記念局です(JARLが開設した局ではありません)。

 8N23WSJの開設に当たって世界から参加する、アマチュア無線の資格を所有したスカウトが記念局の運用できるように告示の制定と、会期中のARISSスクールコンタクトの実施を視野に入れて、国際宇宙ステーションとの交信に際して、一定の条件の下であればアマチュア無線の免許・資格を持たない青少年でも、運用が可能となる告示(平成27年4月14日付け、総務省告示第166号)を受けました(告示の有効期限は平成27年8月9日まで)。

 世界スカウトジャンボリーの開催地である山口市は、中国総合通信局の管内ですが、中国総合通信局管内では通常割当られることがない文字列構成である、「8N23WSJ」のコールサインの割当について、中国総合通信局は次のように発表しています。

【「8N23WSJ」のコールサインについて】
  • 8N:行事等の開催に伴い、臨時かつ一時の目的のために運用するアマチュア局用に割り当てられます。また、我が国が免許した無線局であることも表しています。
  • 23:「第23回」の意を込めた「23」です。中国総合通信局管内ではこの数字部分の一文字目は必ず「4」となりますが、行事の規模と開催の意義を考慮して、通常割り当てない「2」を特別に割り当てました。
  • WSJ:「世界スカウトジャンボリー」の英語読み「World Scout Jamboree」の頭文字を割り当てました。

▽中国総合通信局の報道発表
http://www.soumu.go.jp/soutsu/chugoku/hodo_2015/01sotsu08_01000425.html

(9月2日)


   
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