July 2010 NEWS TOPICS INFORMATION


第15回関西アマチュア無線フェスティバルKANHAM 2010開催される

 7月17日・18日の2日間、大阪府池田市の池田市民文化会館で、第15回関西アマチュア無線フェスティバルKANHAM2010が開催されました。

 KANHAM2010のテーマは「ものづくりのおもしろさ再発見」

 関西地方をはじめ、各地から2日間でのべ6,000人(17日3,500人、18日2,500人)が来場し、来場者の方々は恒例のメーカー、販売店、クラブ等による展示コーナー、フリーマーケットのほか、数々の講演、落語、記念局をはじめとしたさまざまなイベントを大いに楽しんでいたようで、来場者の会場での滞留時間も長かったようです。

●パネルディスカッション「JARLそこまで言うて委員会」

 17日には、JARLの理事や監事の方々が参加して、アマチュア無線に関するさまざまな話題を討論するパネルディスカッション「そこまで言うて委員会」が開催されました。
 当日は、原 昌三会長(JA1AN)、稲毛 章副会長(JA5MG)、長谷川良彦関西地方本部長(JA3HXJ)、糠澤富子中国地方本部長(JA4FRV)、坂井紀久男監事(JA3ATJ)、宮川香枝子九州地方本部長(JF6MIT)がパネラーとして出席。アマチュア無線の交信・運用のマナーについて、JARLの法人改革にかかる「定款・規則等改正審議委員会」による検討の状況について、青少年育成への取り組みやARISSスクールコンタクトに関することなどを語り合い、来場者の注目を大いに集めていました。

●臨時国家試験に受験者殺到!

 KANHAMの開催に併せて日本無線協会近畿支部は、池田市カルチャープラザで第三級・第四級アマチュア無線技士の臨時国家試験を開催しました。

 右の写真は受験申込みの行列のようすですが、受験希望者は高校生以下の若年層が極めて多く、特に17日に2回開催された4アマの国家試験は、当初予定の定員120人(60名2回)を上回る受験希望者が会場を訪れたようで90名以上が見事に合格、アマチュア無線家の仲間入りを果たしたそうです。

●KANHAM会場に「ミニSL」がやってきた!

 初の催事として「大阪府立今宮工科高等学校鉄道研究部」の協力で、池田市民文化会館の2階デッキにミニSLの乗車体験コーナーが設けられました。

 精巧に作り込まれた2機のミニSLが、白煙を上げながら走る姿は、小さいながらも勇壮で、来場の子供たちもさることながら、大人の方々の人気も大変上々で、童心に帰りながら体験乗車を楽しむ方も多かったようです。

乗車体験のようす(MP4形式、約5Mバイト、サイズが大きいのでダウンロード時は注意してください)】

●成長はとどまる所を知らず「子供たち向け科学啓発イベント」

 会場3階の「科学実験・製作・電波教室」は今年も大人気でした。

 子供たち向けイベントは昨年同等、身近な素材を使った数々のオモシロ科学実験、JA3CHS小永井貞夫さんによる「こな爺の電波教室」、各種工作教室(電子部品でメカ虫作り、発電機ラジオ、電磁石作り)などをそれぞれ、科学実験ポイントラリーのチェックポイントとして仕立て、ポイント達成者に対して夕刻に実施する抽選会で記念品をプレゼントするという形で実施されました。  会場の3階イベントスペースは常時大勢の子供たちであふれ、数々の楽しい科学実験や工作を賑やかに楽しんでいました。

 さて、これまでも評判が高かったKANHAMの子供たち向け科学啓発イベントですが、昨年は大人気のあまりに子供たちが集中的に会場を訪れる時間があった関係から、不本意ながら指導スタッフの過不足傾向が見られた時間帯があったようです。
 そこで今年のKANHAM、来場の子供たちにスムーズに楽しいイベントを楽しんでいただくために、子供たちのイベント参加スケジュールを管理して、参加申込みを受けることで、「常に指導スタッフの過不足なく充実した体験」を楽しんでもらうスタイルで運営されました。

 KANHAMの完成度が高い「子供たちを引きつける科学啓発イベント」の成長は、まだまだとどまるところを知らないようです。

●自作名人激集合

 KANHAM2010のテーマ「ものづくりのおもしろさ再発見」のテーマイベント「自作名人激集合」では、多くの自作愛好者が自慢の自作機器を持ち寄り、手作りの楽しさを語り合う姿が見られました。

(7月20日)

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JCC-800アワードを発行開始

 JARLでは平成22年4月1日から、新アワードJCC-800の申請受付を開始していました。JCC-800は申請受付開始の時点で、すでに申請要件を完成している方も多いと考えられることから、JARLでは6月30日までの間に受け付けた申請について抽選で発行番号を付与することとしました。

 そして、6月30日時点で申請をいただいた件数は311件(SWL14件、外国局1件を含む)。7月10日にJARL事務局で発行番号のアワード委員会による厳正な抽選がおこなわれ、申請をいただいた皆様にJCC-800アワードを発行いたしました。

 JCC-800を獲得されたみなさん、おめでとうございます。

 申請を全体的に見ますと、なるほどという感じですが、ズバリ!
「バンドで言えば7MHz帯」
「モードで言えばCW」
の特記希望が多く見られたようです。

 なお、7月1日以降到着分のJCC-800アワードの発行番号については、 通常通り受付順の付与となります。

 JARLでは、今後も多くの皆様方のJCC-800の申請を心よりお待ちしています。

(7月15日)

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スイスとインドの超小型アマチュア衛星が誕生

 インド宇宙研究機関(ISRO)は2010年7月12日、インド南東部スリハリコタのSatish Dhawan Space Centre(SHAR=サティッシュ・ダワン宇宙センター)から、PSLV-C15ロケット(Polar Satellite Launch Vehicle=極軌道衛星打上げ用ビークル)で、インドの地球観測衛星CARTOSAT-2Bと4機の相乗り小型衛星の打ち上げに成功しました。

 4機の小型相乗り衛星は次のとおりで、2機が超小型アマチュア衛星です。

  • ALSAT-2A
     アルジェリアの宇宙機関の地球観測衛星
  • AISSat-1
     北極海域の航行船監視および科学観測のための、ノルウェーの超小型衛星
  • TIsat-1
     南スイス応用科学大学(SUPSI)の宇宙研究所の学生が中心となって製作した超小型アマチュア衛星です。ダウンリンク周波数は437.305MHz(CW ビーコン/パケット)で、コールサインはHB9DEです。
  • STUDSAT
     インドのニッテ・ミーナクシ工科大学の呼びかけで構成された「Team STUDSAT」に参加した複数の大学の学生によって製作が進められたアマチュア衛星です。ダウンリンク周波数は437.505MHz(CW ビーコン/パケット)です。

★        ★

 なお、4つの相乗り小型衛星のうち、AISSat-1とTIsat-1の2衛星については、カナダのトロント工科大学宇宙飛行研究所のサポートにより、それぞれNLS-6.1、NLS-6.2ペイロードとして、これまで多数のCubeSatの軌道投入成功で実績のある、同大学XPODを使用して宇宙空間に投入されたものです。

 7月13日現在では、超小型アマチュア衛星のTIsat-1とSTUDSATについて、「SUPSI」、「Team STUDSAT」の双方から、無事にビーコンの発射が確認されたことが発表されています。

▽インド宇宙研究機関(ISRO)の報道発表
http://www.isro.org/pressrelease/scripts/pressreleasein.aspx?Jul12_2010

▽TIsat-1の公式サイト
http://www.spacelab.dti.supsi.ch/index.html

▽STUDSATの公式サイト
http://www.teamstudsat.com/index.html

▽トロント工科大学宇宙飛行研究所のWebサイト
http://www.utias-sfl.net/

(7月13日)



情報通信研究機構(NICT)が平成22年度の施設一般公開を実施
 〜 無限の可能性!ニューテクノロジー! を体験しよう 〜

 標準電波局JJYの運用や、宇宙天気情報の配信をおこなっていることで、 アマチュア無線家の間でもなじみが深い、独立行政法人情報通信研究機構 (NICT) は、毎年7月、施設一般公開を実施していますが、今年も次の 施設の一般公開を実施します。

 数々の講演や研究成果の発表、科学実験の実演など、NICTの最先端研究 に関する、数々の興味深い展示や催事をご覧になることができます。
 チャンスがあればご友人やご家族連れで、見学に出かけてみてはいかが でしょうか。

■情報通信研究機構 (本部)

  • 所在地:東京都小金井市貫井北町4-2-1
  • 公開日:平成22年7月23日(金)及び24日(土)
  • 時 間:10:00〜16:00(受付は15:00まで)

■鹿島宇宙技術センター

  • 所在地:茨城県鹿嶋市平井893-1
  • 公開日:平成22年7月31日(土)
  • 時 間:10:00〜16:00(受付は15:00まで)

■神戸研究所 未来ICT研究センター

  • 所在地:兵庫県神戸市西区岩岡町岩岡588-2
  • 公開日:平成22年7月24日(土)
  • 時 間:10:00〜16:00(受付は15:30まで)

 なおNICTでは「けいはんな研究所」(京都府相楽郡精華町光台3-5 )と「沖縄亜熱帯計測技術センター」(沖縄県国頭郡恩納村字恩納4484)の施設一般公開については、秋を予定しているとしています。

(7月7日)

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無線従事者国家試験会場への計算尺の持ち込みが禁止になります
 (平成23年4月の国家試験から)

 平成23年4月の無線従事者国家試験から、国家試験場への計算尺の持ち込みが、 禁止されることとなりました。

 なお、日本無線協会は7月6日付けで「無線従事者国家試験においては、 これまで試験場に計算尺の持ち込みが認められてきたところですが、受験される 皆様の公平性を確保するため、平成23年4月の無線従事者国家試験から、試験場 への計算尺の持ち込みが禁止されることとなりましたので、ご注意ください」 と発表しています。

(7月7日)

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愛知県尾張旭市の旭学舎の子供たちが国際宇宙ステーションと交信に成功

 6月23日22:01、愛知県尾張旭市の旭学舎(あさひまなびや)の活動に参加している子供たちが、国際宇宙ステーションに長期滞在の女性宇宙飛行士のトレーシー・カードウェル・ダイソン宇宙飛行士との交信に成功しました。このスクールコンタクトは国内で46例目ですが、東海地方では3例目、愛知県内では2例目、女性宇宙飛行士との交信は4例目の実施となります。

 旭学舎は尾張旭市の生涯学習団体の一つで、青少年の育成を目的として活動をおこなっています。
 旭学舎では、「上の学年の子供たちが下の学年の子供たちを指導する」という学習スタイルが守られ「教える楽しみ」と「学ぶ楽しみ」の同時体験を主体とした学習活動のほか、学習の合間には「遊び感覚でさまざまな体験ができる」テーマの課外活動を実施しており、各活動を多数の市民ボランティアによる指導隊の協力でおこなっています。今回のスクールコンタクトも、この課外活動の一環として計画されたもので、東海地方本部のスタッフが、旭学舎のボランティア活動に加わる形で準備が進められてきました。

●「日本語の交信」から「英語の交信」への転換

 2008年の春、若田光一宇宙飛行士の国際宇宙ステーション長期滞在が決定し、ARISS Japanでは「日本人宇宙飛行士との日本語による交信」を希望する実施団体の募集を積極的に進めました。その結果、国内のかなり多くの学校や団体等からお申込みをいただきました。

 しかし、日本人宇宙飛行士の国際宇宙ステーション長期滞在期間中のARISSスクールコンタクトの実施可能な回数には、自ら限界があります。
 若田光一宇宙飛行士・野口聡一宇宙飛行士の運用により、各地で「日本語によるスクールコンタクト」がおこなわれました。すでにARISS Japanに実施申込みがおこなわれている一部の学校や団体分を実施できましたが、「日本語の交信にこだわった学校や団体」の「順番待ちの行列」は、依然として長く続いているのが現状です。

 さて旭学舎のスクールコンタクトは、当初「日本人宇宙飛行士との交信」を目標として、ARISS Japanへの申請がおこなわれ準備が進められていたものです。
 旭学舎は計画・申込みの当時から「日本語による交信」にこだわりを持ちつつ、長い待ち行列で並び続けていましたが、「日本語にこだわって、これ以上日本語の順番を待ち続けると、子供たちのモチベーションを維持することが難しくなる」という判断から、比較的交信のスケジュールが取りやすい、日本人宇宙飛行士の長期滞在がない期間の「アメリカ人宇宙飛行士との英語の交信」に転換して実施することになりました。

 そして「交信の練習」をはじめ、それまでおこなってきた準備の一部は、振り出しからの再スタートとなりました。

 今回の旭学舎のスクールコンタクトについて、取りまとめをおこなった、JG2GFX種村一郎さんに、計画から実施に至るまでの詳細なレポートをいただきましたので、ご紹介いたします。

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■旭学舎ARISSスクールコンタクト大成功…日本語から英語に

 JARL NEWS2008年秋号の「若田光一宇宙飛行士、野口聡一宇宙飛行士とのスクールコンタクト実施団体の募集」の記事により参加希望を募ったところ、愛知県下で3団体の呼応があり、2009年1月に申請書を提出致しました。
 この募集は、「日本人宇宙飛行士による日本語による交信」が最大の美点であり、参加する子供たちはもちろん、スタッフにとっても英語という大きなバリアが取り払われる、願ってもない機会であり、日本人宇宙飛行士との交信を関係者一同楽しみにしておりました。

 申請後約1年経過した2009年12月に、ARISS JAPANから「日本語による2010年内の交信は困難で、英語なら2010年6月ごろ実施できる」とのご連絡をいただきました。

 我々スタッフは「日本語で交信」を前面にPRして参加者募集を推し進めてきた関係上、「英語でお願いします」とは言い出し難く躊躇していたのですが、ともかく実施して頂くことを優先して、日本語による交信を断念し、「英語による交信」に切り替えていただき早期実現をお願いしました。

 そして、ついに5月27日に旭学舎の「スクールコンタクト実施のお知らせ」が届き、6月第4週の実施が決定しました。

 旭学舎は愛知県尾張旭市の青少年を対象にした市民活動団体ですが、メンバー以外にも広く市内の小学校にも広報の結果、多くの希望者が集まり、最終的に24名のチャレンジャー(参加者)が決定されました。

 さっそく、4回の勉強会スケジュールが作成され、質問の翻訳や中部大学講師のデビッド先生の英語レクチャー、本番さながらのリハーサルなどを経て準備はすっかり整いました。

■23名が交信に成功

 6月23日22:01、コントロールオペレーターの7L1FFN磯さんの「NA1SS this is 8N2OA」のコールに、KF5DBFトレーシー宇宙飛行士の美しい声での応答があり、会場の全員が思わず胸を撫で下ろしました。
 トレーシーさんの「I'm ready」に続き、次々とチャレンジャーが順調に質問をこなして行きました。
 24人目のチャレンジャーの質問後にフェードアウトしてISSからの応答が途切れましたが、実に23名ものチャレンジャーの交信が成功したのです。

 当初、「24名もの大多数の交信は到底無理だよ」と思っていたスタッフの危惧を横目に、子供たちはその流暢な英語とPTTを押さずに話すアクシデントも乗り越え見事なオペレーションで無事に成功させたのです。

 そして、今回の成功の影にはチャレンジャーの保護者の皆さんの活躍を見逃すことはできません。
 勉強会の準備をはじめ事前研究課題についてのチャレンジャーへのアドバイス、CDによる英語質問の家庭学習、そして当日のスタッフとしても大奮闘されました。

■多くの子供たちに貴重な体験をして欲しい

 ARISSスクールコンタクトは、スタッフにとって2005年愛知万博8N2AI以来の2度目のコンタクトでした。我々は実施までのプロセスを大切にすると共に成功の緊張感と喜びを子供たちと共有したいと考えています。

 この秋には名古屋市立船方小学校に続き豊田市でも実施が予定されています。
 今後もこの素晴らしいARISSスクールコンタクトを多くの子供たちに体験して欲しいと願っています。

(レポート:JG2GFX 種村一郎さん)

【参考】JARL NEWS2008年秋号掲載記事(PDF形式、約800kバイト)
  • ARISSスクールコンタクト準備から申請・実施まで…その実際(7M3TJZ安田 聖、ARISS運用委員)
  • 第18次長期滞在クルー若田光一宇宙飛行士および第20次長期滞在クルー野口聡一宇宙飛行士とのスクールコンタクト実施団体の募集

(7月6日)


   
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