■南極リポート(第8回) 『日照が長い夏に向かって』

 ずいぶんと日が長くなりました。わずか1.5ヶ月ほどの極夜が明けたときはあれほど懐かしがったお日様ですが、すでに起きたときには日は昇り、夕食も明るいうちに食べるようになりました。
 気温も上がり、−15℃程度で風のない時などは外で作業をしていると汗ばんできます。かといって着ている物を脱ぐとやっぱり寒く、服装に注意しないと体調を崩しそうです。暖かくなると動物も活動を始め、皇帝ペンギンやアザラシも昭和基地付近に現れるようになりました。ただ、こうした懐かしい生き物が昭和基地を訪問するときに限って仕事で外に出ることが出来ず、皇帝ペンギンも豆粒のような姿を通信室から眺めただけでした。
 そのかわり寒いと思っていたシャックのある管理棟1階もずいぶん過ごしやすくなりました。寒さに少し慣れたようなのですが、今年の日本の猛暑を考えると、来年日本に帰ったときちゃんと暮らしていけるか少し不安です。

 日が延びると共にコンディションも変わってきて、21MHzのR.JAPANも10時LTからきれいに聞こえるようになり、19時LT頃にはヨーロッパ方面のアマチュア無線の電波が入感するようになりました。ただ、ノイズは相変わらずで、こちらの電波は届いているようなのですが相手側のコールサインさえ聞き取ることができず30分もすると疲れ果ててしまいます。
 最近は10MHz帯から24MHz帯までのんびりとCQを出しますが日本語の交信が聞こえるとほっとします。SSTVもCQを数回出してみたのですがこちらの方は全然だめで、帰るときまでになんとか交信できればと思っています。

 上記のとおり、動物の写真は今回も撮れませんでした。今回は雪上車(SM100型 写真はSM109及びSM112、自重11.5トン・運用最低温度−60℃・最高速度21Km/h・全長約6m・幅約3.5m・高さ約3.2m HF・VHF・UHF各無線機とレーダ・GPSを装備)です。10月は野外調査の手伝いに出ますのでそのときに。
(第45次日本南極地域観測隊通信担当 藤本 2004/10/8)
 

▲野外調査などに使用する雪上車3台

協力:国立極地研究所