三重県の津市立南が丘小学校ARISSスクールコンタクトで国際宇宙ステーションと交信に成功

JARL三重県支部運営委員 JR2XUH浅田 寛

【始まりは、2024年6月】

これまで、東海地方(静岡,岐阜,愛知,三重)では、いくつかのARISSスクールコンタクト事業を実施し、いずれも成功させていましたが、三重県では、まだ実施できていませんでした。

そこで、津市立南が丘小学校に実施を打診したところ、すばらしい事業で子どもたちにぜひ体験させたいとの理解が得られ実施することとなりました。

実施にあたって、これまで何度かARISSスクールコンタクト事業を成功させているJARL東海地方本部ARISSスクールコンタクトサポートチームの磯氏(JARL愛知県支部長)の協力をお願いすることにしました。

2024年8月に実施に係る申請書をARISS事務局に提出し、NASAから実施日の決定を待ちました。

【実施までの児童の興味関心を高める取り組み】

実施日が決まるまでに数年かかると言われていましたので、それまでに児童の宇宙に対する関心と宇宙飛行士との交信への意欲を高めるために以下の取り組みを実施しました。

1 宇宙に関する講演会と天体観察

宇宙に関する講演会と天体観察に参加した児童と保護者

2025年2月5日、当時三重大学教育学部長であった伊藤信成氏を招き講演会と天体観察を実施しました。大変寒い日ではありましたが、150名を超える児童と保護者の参加があり大盛況に終えることができ、子どもたちの宇宙への関心が高まりました。

2 電波に関する教室と無線交信の体験運用

2025年7月24日、南が丘小学校児童を対象にJARL三重県支部が、アマチュア無線家による無線技術の話と実際のアマチュア無線機を使っての体験運用を実施しました。子どもたちの無線交信への興味・関心を高めることができました。

3 JAXA職員による講演(授業)

JAXA職員による講演を聞く児童

2025年12月11日、JAXA職員の関根敦氏に南が丘小学校にお越しいただき、児童を対象に講演(授業)をしていただきました。

「有人宇宙活動の今と未来」というテーマで、主にISS(国際宇宙ステーション)での宇宙飛行士の活動や生活について子どもたちに分かりやすくお話をしていただきました。

講演のあと、全校児童を対象に「宇宙に関する絵画と作文のコンクール」を実施し、作品はISSとの交信当日、会場に掲示されました。

【交信実施に向けての準備】

2026年3月にARISS JAPAN事務局より、2026年5月末ころ実施との連絡があり、交信する6年生児童10名を決定し、交信に向けての準備が始まりました。

1 質問内容の決定

 全校児童が考えた質問内容から20問を選定し、交信する児童がそれぞれ2問ずつ選びました。

2 英語ボランティアさんによる交信児童への英語指導

放課後、5回ほど質問内容を英語で練習した結果、英語ボランティアさん(地域の方や保護者)の熱心な指導もあって、練習のたびに流暢に話せるようになっていきました。

3 交信のマイク操作の練習

交信児童への英語指導と並行して、JARL三重県支部メンバーの指導により、無線機のPPTを押してから話し、オーバーと言ってPTTを離すことを繰り返し練習しました。何回か繰り返すごとにうまくなっていくことが実感できました。

南が丘小学校屋上に設置したアンテナ

【本番前の機材準備】

実施日が2026年5月28日に決まり、アンテナの設置を5月21日に行いました。屋上から体育館ステージまでのケーブルの引き込みラインの確認も並行して行いました。

【いよいよ当日】

1 イベントの開始

ARISSスクールコンタクト当日の南が丘小学校体育館

午後6時よりセレモニーを開始し、ARISSスクールコンタクトIN南が丘小学校実行委員長 平松有吾校長とJARL東海地方本部長(JARL副会長)木村時政氏の主催者あいさつ、津市長 前葉泰幸氏や津市教育長 伊藤雅子氏より祝辞がありました。

その後、JARL磯愛知県支部長により、参加された児童・保護者・地域の方々にアリススクールコンタクト事業の概要や国際宇宙ステーションについての講演がありました。

2 交信の開始

交信会場で質問する児童と関係者 2026年5月28日のISS軌道コース

南が丘小学校体育館に開設したアリススクールコンタクトJARL三重県支部局JJ2YJCからコントロールオペレーターの磯氏がISS側のアマチュア局OR4ISSへ向けてJack Hathaway宇宙飛行士に呼び出しを開始し、その後、子どもたちの交信が始まりました。

ISSが午後8時24分に南が丘小学校から約2千キロ離れた中国の北京上空付近の入感地点に達し、約800キロ離れた九州南部上空付近を通過、最後は約2千キロ離れた小笠原諸島の父島・母島上空付近でフェードアウトしました。

約10分間の交信状況は、たえず大変クリアで安定し、児童10名で20の質問について、宇宙飛行士さんから回答を得ることができ、大成功でした。

【最後に】

ARISSスクールコンタクトに参加した児童と関係者

今回のアリススクールコンタクトにチャレンジした10名の児童にとって、一生忘れられない宝物になったと思います。そして、この体験により宇宙や科学技術、アマチュア無線に興味を持って未来を切り拓き、夢を拡げてもらうことを期待しています。

また、会場に足を運んだ児童や保護者、地域の方々からは、「すばらしい取り組みをありがとう、感動しました」といった声をたくさんいただきました。

また、主催したJARL(三重県支部、東海地方本部)と学校、地域(学校協働委員会)が一丸となった取り組みとなり成功裏に終えることができました。

最後に、JARL三重県支部の運営委員の皆さん、JARL東海地方本部ARISSスクールコンタクトサポートチームの皆さん、翻訳を担当していただいた保護者や地域の皆さんの活躍や当日に会場付近で移動監視していただいた総務省東海総合通信局監視課の皆さんに心より感謝申し上げます。

児童の交信内容(最初の10問/1周目のみ)
質   問回   答
水はどこからもってきているのですか?お水と空気は全部リサイクルしています。お水はすごく重いから地上から宇宙に持っていけないのでお水はすべてステーション内でリサ イクルしています。
宇宙でテレビやラジオを視たり聞いたりできますか?テレビやラジオをリアルタイムで見ることはありませんが、インターネットでダウンロードした映画などを見ることがあります。
どうして宇宙飛行士になったのですか?冒険と宇宙と飛ぶことがすごく好きだったので 宇宙飛行士になりました。
宇宙では、どんな研究をしていますか?人々の体の変化、生物学、物理学、 科学など。
微小重力下で起こる様々なことを研究していま す。
宇宙食はどのようなものですか?
宇宙食は美味しいですか?
すべてフリーズドライのごはん(食事)で、水を加えたりレンジで温めたりして温かいものを食べています。かなり美味しいです。地上の調理したごはん(食事)が食べられるのが待ち遠しいです。
宇宙ステーションの中の暮らしで「快適だな」と思うことは何ですか?浮遊していて立たなくてよいことです。
宇宙に行ったら、天の川が見ることができますか?ステーションからよく見ることができますよ。地球からでも正しい方角から見れば、とても美しく見えます。
どのくらいの期間で宇宙に慣れましたか?人によって異なりますが、私の場合は、通常に感じて心地よくなるまでに数週間かかりました。
どんな勉強をしたら宇宙飛行士になれますか?自分の興味のある勉強を突き詰めていくと良い ですよ。私に関してはパイロットと生物に興味がありました。
宇宙では野菜や果物は育てられるのですか?はい、育てることはできます。月や火星に行くための研究でもあるので、現在も多くの研究を重ね育てています。