〜アクシデントを乗り越えて再チャレンジに成功〜 「大西船長との交信体験は私たちの宝物です!」 2025年5月29日(木)18:23JST 山形県米沢市立第五中学校は今年3月末に61年の歴史を終えて閉校となり、近隣の米沢一中と統合されました。 生徒たちに閉校する母校の思い出を残して欲しいとの願いからARISSスクールコンタクトを企画しました。 実施主体となる米沢アマチュア無線クラブは、「チャレンジ精神」・「地域貢献」をモットーに、記念局や体験局の開設、子供向けの電波教室の開催など地域に根差した活動を展開してきました。 2023年の初めに、このプロジェクトに賛同した3名で実行委員会を立ち上げて準備に取り掛かりました。 米沢五中の校長は、昔アマチュア無線の経験があり関心が高く、とても協力的で、話は順調に進みました。 ![]() ▲2025年2月18日の結団式 ◆閉校メモリアル記念局の開設 交信機材の製作・購入、動作確認、調整などに時間を費やし、2024年3月に申請書の提出に至りました。 閉校まであと1年と迫り、ARISS-JAPANの安田様からは期限について助言がありました。 閉校までの残りの期間、スクールコンタクトの実施を待つ間の6〜11月に記念局8N7Y5JHを開設して市内の祭りやイベント会場で公開・体験運用を行い、米沢五中の閉校を地域の方々に周知する活動を続けました。 ◆スクールコンタクトの実施決定 2024年11月の半ばになって、安田様から3月下旬に実施予定との連絡を受けました。閉校にぎりぎりで間に合ったとホッとする間もなく、本格的な準備に取り掛かりました。 まず東北総合通信局に記念局8N7Y5JHで交信できるように使用期限を延長してもらうこと、次に中学校に参加希望生徒の募集と宇宙飛行士への質問の公募をお願いしました。 また我々のシステムの最終チェックのため、(2025年)1月29日に京都下賀茂中学校のスクールコンタクトの受信に挑戦したところ、良好な結果を得る事ができました。 ◆結団式で質問続出 (2025年)2月18日に交信に参加する生徒15名が集合して「結団式」を行い、イベントの概要を説明しました。生徒たちからは次から次へと様々な質問が出され、回答に苦慮する程でした。参加生徒の期待と強い意気込みを感じたことから、3月15日に希望者を対象に交信機器の操作や無線交信を体験させる機会を設けました。 そのとき体験運用の相手をしてくれた福井県のハムからは「貴重な経験だから是非楽しんで!」と、あたたかい激励を受けました。 ◆いよいよ実施本番へ・・・しかし ![]() しかし、予期せぬトラブルの為、ISSとの交信は不成立となってしまいました。事前に記念局のコールサインへ変更したことが正しく伝わっていなかったこと、何らかの原因でアップリンクを拾ってもらえなかったことなどが重なり失敗に終わりました。宇宙飛行士との交信を楽しみにしていた生徒たちには、本当に申し訳ない気持ちで一杯でした。(これで終わったら悔いが残る) ![]() ▲3月28日の交信チャレンジ ◆再チャレンジに向けて ところが、生徒たちの「もう一度挑戦したい」との願いが叶い、4月に入ってから5月に再チャレンジできるとの連絡が入り、生徒たちにすぐ連絡しました。後日、交信相手がISS船長の大西卓哉宇宙飛行士と決定します。 さっそく準備再開に取り掛かり、まず米沢五中が既に閉校となったことから交信会場を近くの米沢興譲館高校セミナーハウスに変更し、交信に使用するコールサインを社団局のJE7ZCTに戻すことにしました。 ◆直前に入院・・・交信は ところが本番1週間を前にして、実行委員の一人が突然入院することになり、二人での運用を強いられることになりました。急遽オペレーションを見直し、役割を組み直して各々が練習を繰り返し、本番に臨みました。 5月29日、いよいよ交信当日を迎えました。カウントダウンからAOS予定の18:23に呼出を開始したところ、すぐに大西船長から応答があり、とりあえず一安心です。その声を聴いて安心した生徒たちは練習の成果を発揮して滑らかな英語で質問を続けると、大西船長からは一人一人に丁寧な回答が返ってきます。このまま順調に進行するかに思えましたが、 ![]() ▲5月29日 再チャレンジの交信スタート ![]() ▲生徒皆さんの交信の模様 交信予定時間は刻々と進み、あと一人というところでLOSとなり、生徒全員の交信は叶いませんでした。とても「交信成功!」という晴れ晴れとした気持ちになれずに 後々までこのことが大変心残りでしたが、後日JAXAから連絡があり、この生徒へは大西船長がISSの日本実験棟「きぼう」で後日収録した「回答映像」が届きました。 ★生徒たちの笑顔でフィナーレ 6月7日に「解団式」を行い、大西船長へ感謝のビデオメッセージを撮影してプロジェクトを終了しました。 生徒からは「一生に一度の機会」「素晴らしい体験」「大西さんとの交信に感動」「私の宝物です」「無線の資格を取って交信したい」などの声が寄せられました。 いろいろとアクシデントがありましたが、最後は生徒たちの喜びにあふれた笑顔で締めくくることができました。 この活動では関係者の方々からのご支援だけでなく、地域の皆さまからも様々な場面で応援・激励をいただき心より感謝申し上げます。ありがとうございました。 ![]() ▲6月7日の解団式
米沢スクールコンタクト実行委員会 |