兵庫県小野市のボーイスカウト小野第1団で<br> 国際宇宙ステーションと交信に成功

兵庫県小野市のボーイスカウト小野第1団で
国際宇宙ステーションと交信に成功


 2021 年8 月11 日、兵庫県小野市のボーイスカウト小野第1 団のスカウト(小・中学生)14名が国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中のロバート・S・キンブロー宇宙飛行士(KE5HOD)と星出彰彦宇宙飛行士(KE5DNI)と交信、ARISS スクールコンタクトに成功しました。日本での交信は103 例目になります。

◆当日までの流れ

  • コロナ禍のためClosed なイベントにするか判断に迷いましたが、多くの子ども達とのイベントにしたかったため、地元の神戸新聞に一般の子ども達の質問者・見学者募集の掲載をしました。
  • ARISS International Chair のKA3HDO Frank から「テントを使用するという計画は良いものであり、屋外での実施はCOVID-19 を抑止する非常に革新的な方法です」とメールが送られました。夜空のISS を見ながらおこないたいという思いだったのですが、コロナ対策にも有効な手段だったのは想定外でした。
  • コールサインは8J3ONO 「ボーイスカウト小野第1団 臨時ARISSスクールコンタクト・体験局」。地域に根差しサフィクスはONO としました。

◆ARISSスクールコンタクト当日

▲なにもない芝生の公園にアンテナ、テント、機材を設営
 交信時間までの時間、今回残念ながらISS と交信することのできない子ども達に体験運用をしてもらいました。自分で考えたISS の宇宙飛行士への予定質問に対して、JL3JRY屋田さんが宇宙飛行士役となって質問に回答しました。
 当日のパスは、北西〜 ISS がモンゴルあたりから見え始め、兵庫県を北から南へ横断し太平洋側へ抜ける〜南東、仰角が83度の条件です。
 予定時刻となり「こちらはNA1SSS、クリアに聞こえています。星出さんも一緒にいて、二人とも準備できています」とロバート宇宙飛行士から通信がありました。
 星出さんも質問に英語で答えてくれる嬉しいサプライズに沸き、ARISS スクールコンタクトが始まりました。

▲面白い回答に会場は爆笑の渦に包まれた

▲コントロールオペレーター
を務めた高田さん

8J3ONO:無重力で”そろばん”を使うとどうなりますか?(※そろばんは小野市の特産物)
ロバート宇宙飛行士:いい質問だ。これまでに聞いたことがないし、まだ宇宙で見たことがない。話をしているんだけど、一カ所に止めておくことが機械的に難しいので、宇宙ではうまく機能しないと思う。

8J3ONO:どうして宇宙飛行士になったのですか?
星出宇宙飛行士:子どもの時にお父さんがケネディ宇宙センターにロケットを見に連れて行ってくれたこと。それと宇宙戦艦ヤマトや機動戦士ガンダムなどのサイエンスフィクションの大ファンだった。これらが結びついて宇宙に行こうと思ったんだよ。

8J3ONO: 45分ごとに昼と夜が入れ替わるISSの中で、”ひまわり”の花は咲きますか?(※ひまわりは小野市の花)
ロバート宇宙飛行士:宇宙でも植物を育てている。あるときは野菜だったり、別のときは花だったりする。宇宙船の中には人工照明装置があって、これを太陽の代わりにするので、ちゃんと育つ。

 ≪無事に14名のスカウトの質問が終わり、星出宇宙飛行士の「ありがとうございました。こちらも楽しかったです!」という日本語のメッセージで交信が終わりました。≫

◆まとめ
 新型コロナウイルス、緊急事態宣言に伴う影響、日本語から英語での交信への変更、屋外での実施のため天気の心配等、多くの困難にも関係者全員で知恵を出し合いながら立ち向かい、なんとか成功に導くことが出来ました。
 スカウトたちも、ロバート宇宙飛行士と星出宇宙飛行士が質問に答えてくれたことは一生の思い出となることでしょう。
 ご協力してくださった無線関係の方々、ありがとうございました。

▲英語のカンペ

▲左からJE3PPG、JG1RNL、JO1PGG、JI1VHV、7M3TJZ、
JN3AIR、JO3TND

[レポート:足立 太郎(JO3TND)]