広島県三次市の3小学校の児童が
国際宇宙ステーションと交信に成功

 11月3日、広島県三次市川地地区の3校(青河小学校、川地小学校、志和地小学校)の小学生たちが、ARISSスクールコンタクトで国際宇宙ステーションとの交信に成功しました。
 広島県初・国内で17例目、世界では200例目の実施となります。
 くしくも前日の11月2日は、国際宇宙ステーションに宇宙飛行士が搭乗し始めてから、ちょうど5年目となります。

【スクールコンタクトへの取り組みから実施まで】

 今回のスクールコンタクトのとりまとめをおこなった、JA4HCG前川一麻さんによれば、3校のスクールコンタクトへの取り組みは2004年6月頃、川地小学校の長尾利文校長との雑談で「小学校のうちから英語に興味を持たせたい」という一言を聞いたときから始まったそうです。
 ARISSへの申込を済ませて川地地区の小学校3校から、国際宇宙ステーションとの交信を希望する児童を募ったところ、33名の児童が参加することになりました。
 地元を初め多数のハム仲間の協力で、8月には実施会場となる、川地小学校でアンテナ(写真右)や設備の準備を進める一方、子供たちはスクールコンタクトの模擬練習をしたり科学の勉強をしたり宇宙の勉強をしたそうです。

 また1月ごろからは本格的に子供たちの英会話の練習を開始したとのことです。
 英会話の練習は、英会話が堪能な地元の吉崎晴雄さんと、三次市教育委員会英語指導助手のメリッサ・フィダックさん、エミリー・シェルトンさんの協力で、ゲームを楽しみながらおこなったそうです(写真上の3枚)。

【緊張が高まる会場で】

 そして当日、会場の川地小学校体育館に、ご両親や子供たちはもとより、多数の来場者が集まりました。
 このときの会場のようすを、前川さんは次のように語っています。
 「約100人の観客と三次市長を始め14人の来賓の方々、広島県で2校目のスクールコンタクト実施を計画している東広島市の板城小学校校長先生などたくさんおいでいただいているので、失敗は許されません。来場した皆さんも緊張して、ISSが上ってくるのを待ちました。テレビ局5社、新聞社3社の方々も緊張しながら、カメラを構えていました」(写真下の2枚)

【子供たちの夢……宇宙に届く!】

 そして16:46、いよいよ本番です。
 今回のスクールコンタクトのために、臨時に開設した社団局は8J4ISS。コントロールオペレーターの前川さんが、国際宇宙ステーションのアマチュア局NA1SSをコールすると3回目のコールで、NA1SSのオペレーター、ビル宇宙飛行士(KC5ACR)からの応答があり、約9分間で19名の子供たちが交信に成功。
 無事に交信に成功し、場内は拍手の渦に包まれました。

 交信終了後、今回のスクールコンタクト実施のきっかけを作った、川地小学校の長尾利文校長は、「交信の成功、おめでとう!みなさんの声が、電波を通じて宇宙まで届いたね。11か月かけて、英語や科学の学習をしてきた成果です。また、たくさんの地域のみなさんに支えられたからこそ成功したものでもあります。今回のスクールコンタクト体験は、きっと皆さんの一生の宝物になるでしょう。これからも、夢や目標に向かってねばり強く挑戦してください」と、子供たちに対して祝福の言葉を語っていました。

(TNX JA4HCG)