第14回IARU（国際アマチュア無線連合）第3地域総会開催

　IARUの第14回第3地域（アジア・オセアニア）総会がさる10月12日から16日まで、ニュージーランドのクライストチャーチにおいて開催されました。
　この会議には日本（JARL）はじめアジア、オセアニアを中心にアメリカ（ARRL）、インド（ARSI）、中国（CRSA）、香港（HARTS）、韓国（KARL）、ニュージーランド（NZART）、インドネシア（ORARI）、シンガポール（SARTS）、オーストラリア（WIA）の10の加盟団体から代表が参加。JARLはJA1HQG有坂理事を団長に5名が参加しました。そのほかタイ（RAST）、イギリス（RSGB）、ベトナム（VARC）の３か国が委任によって出席しました。
　またIARU本部からVE6SHエラム会長、LA2RRガルスペタッド副会長およびW6RODスタッフォード事務局長、第1地域からPB2Tティマーマン会長とZS4BSグリーン事務局長そして第2地域からXE1KKサントヨ事務局長が出席、会議の出席者は約50名でした。

　総会ではまず開会式がおこなわれ、ニュージーランドの連盟NZARTの会長ZL2KHシモン氏が歓迎の挨拶をおこない、次にVE6SHエラムIARU会長、VK3KIオーウェン第3地域議長の挨拶があり、そのあと地元選出の女性国会議員であるワグナー氏が、アマチュア無線のこれまでの社会的な貢献を称えるとともに、今後の役割に期待する旨の祝辞を述べました。
　そして総会の全体会議の議長にZL3QLキャレル氏を選んで会議が始まりました。

　まず各国からの活動状況の報告がなされたあと「(1)政策、(2)運用および技術、(3)IARUモニタリング・システム（侵入電波対策）」の3つの分科会に分かれ、各国より提出された50以上の寄与文書の審議がおこなわれました。
　モニタリング・システム（MS）についての会議の関心は高く、アマチュア・バンドに混信を与えている侵入電波に対する対処手順を更新し、近代化することが必要であるとして、次のような事項を含む対策が採択されました。

• ３つの地域のIARU MSコーディネータ間のより多くの調整
• 侵入電波の情報を効率的に集め、それらへの対応を記録し、報告者を支援する情報を提供する統一されたウェブサイトの設置

　地域電気通信共同体（APT（アジア・太平洋電気通信共同体）など）の決定は、世界無線会議（WRC; 次回開催は2012年）に大きな影響がありますので、APTなどへの参加が重要であることを確認し、IARUメンバーの各連盟がそのような活動をおこなうことを奨励しました。

　NZARTは、電子教材の組み立てイベントや学校で使用する電波の理解を助ける教材作成など、地域の子供たちへの教育とアマチュア無線の普及活動をおこなっていることで賞賛を受けました。
　AMSAT-ZL（ニュージーランドのアマチュア衛星通信協会）はアマチュア衛星KiwiSATを開発中であり、2010年には打ち上げ準備が整うことが報告されました。
　アマチュア無線と非常通信についても多くの報告があり、インドネシア（ORARI）と中国（CRSA）の連盟の自然災害時の活動が賞賛されました。
　また、非常通信周波数について検討し、3.600、7.110、14.300、18.160および21.360MHzを第3地域のバンド・プランに含めることにしました。
　そのほか、ARDF、アマチュア・バンドのさらなる活用、BPL/PLT、EMC、外国からの訪問者への免許、各連盟と主管庁間の連絡、運用の倫理と標準、地域におけるアマチュア無線の開発支援などが検討されました。

　最後に役員などの改選が行われ、理事は投票により日本のJE1MUI遠藤氏をはじめ、VK3KIオーエン氏、ZL2AZレイク氏、VU2GMNマドハバン氏、およびHL1AQQリー氏が選出（全員再任）され、議長にはVK3KIオーエン氏が承認されました。事務局長にはJA1TRC岡氏が再任されました。また会計監事にJA1QIW鈴木氏の選任が承認されました。

　さらに各委員会の委員長等についても選任がおこなわれ、IARU MSコーディネータがVK3MVヤング氏に交代したほかはSTARS（開発途上国援助）にJA1DM海老沢氏、ARDFにJA1HQG有坂氏などこれまでの委員長が再任されました。

　なお、次回第15回の第3地域国際会議開催地については、インドネシアがバリ、ベトナムがホーチミン市を提案し、投票によりベトナムのホーチミン市に決まりました。
　このあと閉会式がおこなわれ、各国の代表からこの総会を主催したニュージーランドの連盟NZARTに感謝の言葉や盾などがおくられました。