■学習研究社「大人の科学」シリーズ真空管ラジオVer.2が10月20日登場

 本年3月、10,000台の限定発売で、学習研究社から登場した「大人の科学」シリーズ真空管ラジオは、発売前から大いに話題を呼んで、発売直後、早々に完売してしまうほどの大人気を集めました。
 JARL会員の方々の中にも、前作の真空管ラジオを製作された方が多くいらっしゃると思います。

 学習研究社によれば、「真空管ラジオの購入者は、アマチュア無線家の方々もたいへん多かったようです。また、発売後早々に完売となってしまったことから、入手できないという声も数多くありました。当社ではそんなお客様の声にお応えすべく、真空管ラジオVer.2を製品化するための、真空管を探してきましたが、今回、良品を前回にも増して大量に入手することができました。前作は確保できた真空管の本数の関係で10,000台の限定発売でしたが、今回はさらに多くの数量の真空管をストックできましたので、新作のVer.2は大人の科学シリーズのキットの一つとして在庫を絶やすことなく、長期間の販売ができそうです」とのことです。

 真空管ラジオVer.2は9,800円。前作に比べると、若干価格がアップしていますが、これは真空管の調達コストが前作のものよりも上がったためだそうです。


▲キットの全部品。基本的には前作と同じ構成だが、改良された部品もある。


▲完成済みのプリント基板(部品面)


▲完成済みのプリント基板(パターン面)

■改良された点■

 Ver.2では、再生検波段の1K2以外の真空管が前作と異なるため、回路に修正が加えられています(写真左から1K2、1A2、2P3)。
 また増幅回路には、前作の購入者から要望の多かった5極接続の回路を採用しています。
 そのほか、次のような改良などもおこなわれました。

  • 底板を「紙」から「ファイバーボード」に変更
  • 足ゴムを追加して電池管特有のハウリング傾向を改善
  • マイクユニットを追加して音の増幅実験ができるようにした
  • トランスを大きくして、音量・音質の改善
  • バリコンの送りピッチを細かくして、チューニング性を改善
  • アンテナコイル用のリッツ線は1920年代に実際に使われていた淡い「緑色」のものを使用

▲真空管ラジオVer.2の回路図。使用する真空管が変更となったため回路の一部が修正されている(部品の値の表記などは省略しています)。

■製作してみよう■


▲本体にプリント基板をビス止めする。ツバ付きビスを使わないように注意!

▲スイッチやレバーなどを取り付ける

▲開閉式バリコンのベース側のアルミ板のフイルムは剥がさないように!

 製作は付属の組み立て使用説明書にしたがって進めます。

 まず、本体に7本のビスでプリント基板を取り付けます。
 基板を取り付ける際には、イヤホンジャックの突起と、ボリュームの突起が干渉して、なかなか所定の場所に収まらない場合がありますので慎重におこなってください。
 また、セットに付属の取り付けビスには通常のものと、ツバ付きのもの(4本)があります。プリント基板の取り付けにはツバ付きは使用しませんので、取り付け前によく見分けてください。

 基板の取り付けが終わったら、単二電池ボックス部の電池接点の取り付け、スイッチやレバーなどの取り付けをおこないます。
 チューニングノブの取り付けには、ツバ付きビスを使用します。

 次に開閉式バリコンの組み立てです。可動部とバリコンベース部には、アルミ板を貼り付けます。注意しなければならないのは、バリコンベース部に貼り付けるアルミ板のフイルムを剥がしてはいけないという点です。開閉式という構造上、電極間がショートしないようにする必要があるためです。

 バリコンの取り付けが完了したら、ホーンを組み立てます。ホーンは3つの部品を組み合わせて組み立てます。
 ラッパの先端部分は爪のかみ合わせで固定します。説明書の手順にしたがって組み立ててください。

●この作業が一番たいへん「アンテナコイルを作る」

 各部の組み立てが完了したら、いよいよアンテナ部分の組み立てです。
 支柱(4本)、コーナーパーツ(4個)を8個のリッツ線ガイドを使ってジョイントしてアンテナ線の巻き枠を作ります。組み立ての際は、8個のリッツ線ガイドの取り付けの向きが一定の方向になるようにします。
 枠の組み立てが終わったら、スタンド部品を取り付けます。
 スタンド部品の取り付けは、枠のコーナーのどこでもOKです。


▲アンテナの巻き枠を組み立てます。

▲コーナーにスタンドを取り付ける。

 そして、いよいよ枠にリッツ線を巻いていきます。アンテナ用リッツ線(長い方)をリッツ線ガイドに沿って、外側から順に線がたるまないように19周巻きます。
 この作業は、真空管ラジオの製作で一番面倒なところです。あわてず慎重におこないましょう。組み立て説明書の説明通りに巻いていれば、巻いた回数は特に数えなくてもちゃんと19周巻ける長さになっています。

 アンテナ用のリッツ線が巻き終わったら、再生用リッツ線(短い方)をその内側に2周巻きます。再生用のリッツ線もほぼ2周分の長さになっています。
 リッツ線のリードには、巻きはじめ、巻き終わりがはっきりわかるように、油性のペンなどで印しをつけておきます。


▲リッツ線を巻きます。

▲たるんだりしないように慎重に!

 リッツ線が巻き終わったら、本体にアンテナを取り付けます。

 アンテナの取り付けが終了したら配線です。プリント基板に配線済みのリード線は、あらかじめ被覆がむいてあります。被覆の先端は芯線をひねりながら取ります。

 ここで注意が必要なのは、説明書の配線説明図のリード線の引き出し場所が、実際の基板のリード線の位置と若干異なっている点です。3本の黒リード線、2本の白リード線の引き出し場所が図とは少し異なっています。
 電気回路にあまり詳しくない方は、長い方の黒リードを、バリコンとアンテナコイルのどちらに配線するかちょっと迷うかもしれませんが、この黒リード線は回路上では3本とも同じ点(0V)に接続されている線ですので、長い方の黒リードは、どちらか一方ずつに配線すればOKです。

 説明書では、所定の各線を巻き付けて、セロテープで絶縁固定するように説明がありますが、ハンダごてが使える方は、きちんとハンダ付けをしてから、ビニールテープなどで絶縁することをおすすめします。上級者の方は、引き出し済みのリード線を使わず、所定の配線を、直接基板にハンダ付けしてもいいでしょう。
 なお、バリコンはアルミ板への配線となり、ハンダ付けはできません。
 配線が完了したら、真空管を取り付けます。足が曲がっている場合には、付属のピンストレーナーで矯正しますが、力を入れすぎて足を折らないようにしましょう。
 また、3本の真空管は型番をよく確認して、差し間違いがないようにしましょう。文字がかすれて、型番が読みにくい場合は、真空管の底の部分に黒(1K2)、緑(1A2)、黄(2P3)のマークが付いているので、このマークで見分けます。


▲慎重に配線し、真空管を差し込んで、ホーンを取り付けたら完成です!



■いよいよ火入れ!■

 製作がすべて完了したら、組み立て説明書を見ながら配線の間違いなどがないか慎重に確認してください。

 大丈夫ならば電池を入れます。この真空管ラジオには、プレート電源に006P×5(直列接続で45V)、ヒータ電源に単二電池(1.5V)を使用します。
 006P電池は、本体中央の収納場所に5本セットしますが、電池の向きを間違えないように注意してください。
 また、電池メーカーによっては、電池本体にフィルムシーリングを施している場合があり、フィルムが邪魔をして、接点が電極に当たらないという事例がありました。このときは、電池のフイルムをすべて剥いでセットしたら正常に動作しました。万一、電源が入らない場合はまず疑ってみてください。

 電池をセットしたら電源を入れます。LEDのパイロットランプが点灯します。
 バリコンのツマミと、再生用のボリュームをゆっくり回してみて、何か発振音のようなものが聞こえてきたら合格です。
 再生式のラジオのチューニングは、バリコンと再生用ボリュームを微調整しておこないます。
 発振音が聞こえる場所を見つけたら、その音が聞こえなくなるまで少しボリュームを調整し、次にバリコンのツマミをゆっくり回して選局します。
 受信する周波数によっては、再生ボリュームをさらに微調整する必要がある場合があります。
 完成した真空管ラジオVer.2は、前作と比べて受信音量も心なしか大きくなったようです。増幅用の真空管の違いを含めて、5極接続とした回路の改良の成果でしょう。


チューニングはバリコンと再生ボリュームの調整でおこなう。






バリコンは閉じると周波数が低く、開くと高くなる。

【問い合わせ先】

(株)学習研究社(〒145-8502東京都大田区上池台4-40-5)

フリーコール:学研通販受注センター(電話0120-92-5555)

  • 販売に関するご質問は出版営業部(電話03-5434-1816)
  • 製品の内容に関する質問は、
    科学ソフト開発部大人の科学編集部(電話03-3726-6823)

大人の科学シリーズホームページ:http://www.gakken.co.jp/otonanokagaku/