■南極リポート(第2回) 『風と闘うアンテナ』

折れたアンテナ。西側から見た様子。管理棟の後ろに白く広がるのは南極大陸  日本のみなさん、こんにちは。
 3月6日に運用を開始して以来、21MHzを中心に電波を出しています。3月は延べ479局(内JAは454局)とQSOすることができました。どうもありがとうございました。毎回、たいへん多くの方に呼んでいただけるので、うれしい悲鳴を上げております。なかなかゆっくりとお話できずに申し訳ありませんが、できるだけたくさんの方とQSOできるようにがんばっておりますので、これからもよろしくお願い致します。

 こちらで日本との電波伝搬の目安としているのは、21.755MHzのラジオジャパンの海外向け放送です。この信号が強力かつ安定して聞こえるときが、21MHzで日本とQSOできるチャンスとなります。今の季節ですと日本時間の15時〜21時頃までが聞こえる時間帯ですが、おおよそ18時頃を中心とした前後1時間くらいがピークのようです。

風に耐えるアンテナ。45次隊まで使っていたWARCバンド用のアンテナ  今回は、南極の自然の厳しさを示すものとして、アンテナについて紹介いたします。いずれも45次隊まで使用していたものですが、2月の強風で壊れてしまったものです。46次隊では新しく建て直しています。折れたアンテナは、アルミパイプ製のアンテナブームは、マストクランプのUボルトのところでポッキリと折れていました。低温環境化では金属の柔軟性が失われていたのでしょうか。昭和基地では強い風は北東の方向から吹く場合がほとんどですので、ストレスが一部分に集中していたのかもしれません。風に耐えるアンテナは、アルミパイプがこんなにしなるのかと思うほどに変形しています。こんな時は、早く風が通り過ぎるのを待つしかありません。
【写真上:折れたアンテナ。西側から見た様子です。管理棟の後ろに白く広がるのは南極大陸です。下:風に耐えるアンテナ。45次隊まで使っていたWARCバンド用のアンテナです。46次隊で、別の場所に新設しました】


(第46次日本南極地域観測隊 小林正幸 JR1FVH 2005/4/3)



協力:国立極地研究所