■南極リポート(第10回) 『1,000交信を達成!』

 本当に暖かくなりました。日差しも強く雪の反射もあってサングラスが必需品です。暖かくなると同時に動物の活動も活発になり、昭和基地周辺でもペンギンやアザラシが見られるようになりました。基地周りの除雪も始まり、各地で重機が活躍しています。雪解けを早めるため雪の上に砂をまくのですが、1日でかなり溶けます。外で水の流れる音を久しぶりに聞きました。ジョギングもできます。20分ほど走ると汗をかきます。46次隊も日本を出発し、越冬も残り少なくなってきました。

 さて、今月の状況ですが、はじめはそれなりに日本が開けましたのでCWでの交信が出来ましたが、7日から始まった磁気嵐のため1週間ほど何も聞こえない日が続きました。ラジオジャパンはおろか近場の短波放送さえ聞こえず、入感するのは電離層内のプラズマの動きを監視するHFレーダのパルス電波等、昭和基地から出ている電波だけです。こうなってしまうとまさにお手上げで、毎日ノイズだけを聞いていました。

 この磁気嵐により日本でもオーロラが見えたそうですが、そのときは白夜寸前で夜中でもあまり暗くならず、見えていたらさぞ幻想的だったろうと隊員皆残念がっていました。極夜の頃はあれほど待ちこがれたお日様ですが、今度が逆に「夜」が待ち遠しいです。

 そして11月22日の日の出を最後に1日中太陽に照らされるようになりました。夜中に起きていると夜更かしがすぎて朝になっちゃった、と勘違いします。

 今月やっととりあえずの目標であった1,000交信を達成することができました。ただ、電波が日本までなかなか届いてくれず、もう日本とは交信できないかも、とちょっと弱気になっています。最近は昼間は各バンドとも何も聞こえず、夕食後の19時(0100JST)頃から電波を出すことが多いのですが、1日に交信できるのはせいぜい5局程度で、なかなか交信局数が伸びません。もう少し時間が取れるといいのですが、白夜になっても1日24時間であることは変わらないわけでして・・・
(第45次日本南極地域観測隊通信担当 藤本 2004/12/2)
 

▲ルンパ島のルッカリーにて。卵を暖めているアデリーペンギン

協力:国立極地研究所