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 ミッドウィンターを迎えて

 南日本のアマチュア局の皆さんこんにちは。
 南極の昭和基地は 5月31日から始まった極夜(太陽の出ない季節)のちょうど真ん中を 6月22日に迎えました。(日本は夏至ですが、南極は冬至です。)
 極夜が始まった頃は、お昼前後の時間帯は日本の夕方位の明るさだったので屋外での作業も可能でしたが、ミッドウィンターと呼ばれる 6月22日前後は本当に一日中真っ暗な世界となります。

 

▲オーロラとアンテナ

 南極では、5月末頃から太陽風による磁気嵐が原因で、日本とのオープンがあまりありませんでした。そんな時は、数日もすれば太陽活動が静かになり電離層が正常に戻るかと期待するのですが、ここ一ヶ月ばかり散発的に磁気嵐が発生しており安定した通信はほとんどありませんでした。それでも、非常に短い時間(長くて30分程度)日本のアマチュア局の電波が聞こえてくることがあります。しかし、聞こえたからと言ってもその局はハイパワー局なのかもしれませんし、高性能のアンテナを使っているのかもしれませんので、必ずしも伝搬状況が回復したのかはなかなか断定できません。
 こんな時はJARLで運用しているJA2IGYのビーコン電波が非常に役に立ちます。さすがに一日中ずっと聞こえる訳では無いのですが、電離層の状態が良い時には時間の経過に伴い高い周波数帯から低い周波数帯へと、段々ハッキリ聞こえてくるようになります。また、信号の強さによりJAとの交信はどの周波数帯にすべきか、またCWにしておくべきかSSBでも十分にQSOが可能なのかといった判断材料にもなり、JA2IGYの維持管理に携わっている皆様の日頃のご苦労に感謝しております。
 また、JA2IGYだけでなく世界各地から同一周波数でビーコン電波を発射していますので、世界規模で電波伝搬の状況が把握でき、インターネットによるWWW閲覧が利用できない現在の昭和基地の環境では、リアルタイムで知ることのできる唯一の情報源でもあります。



 さて、これから日本の夏から秋にかけては電波のコンディションが良くなるものと予想していますが、やはり14,000kmの距離がありますから、いつも日本からの電波が強力に受信できる訳でもなく、また観測用の無線局から発射される電波やブリザードに伴う静電気のノイズもあり、なかなかSSBでの運用は難しいのが実情です。
 8J1RLは引き続き、10MHz=CW 14/21MHz=RTTY,SSB,CW 18/24MHz=SSB,CWを中心に電波を出していきますが、できることなら3アマや更に上級の資格を取得してCWやハイパワーにチャレンジしてみたらいかがでしょうか。また、最近ではパソコンの普及によりRTTYも簡単に運用することができますので、ぜひSSBだけでなく色々なモードに挑戦してみてください。案外SSBより簡単に南極とQSOできるかもしれません。
【6月23日昭和基地発】

(第44次南極地域観測隊 芝崎)

Tnx 国立極地研究所