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▲さようなら、昭和基地 ▲夏の海氷

 今回で第43次日本南極地域観測隊における8JIRLレポートの最終回となりました。
 前回のレポートから3カ月余りを経過し、とうとう我々43次隊の任務も無事終了の運びとなりました。12月下旬には我々の後を引き継ぐ44次隊も無事昭和基地入りし、束の間の南極の短い夏期間を慌ただしい建設作業や越冬業務の引き継ぎなどに追われて過ごし、2月1日をもって無事越冬交代を終えることができました。もちろん越冬隊におけるアマチュア無線係の引き継ぎも終え、現在我々は南極観測船「しらせ」にて帰国の途についています。

 昭和基地の夏は、次隊の到着と同時期に訪れます。前回のレポートでお伝えしたような寒さとは一変し、むしろ日本の冬の方が寒いと感じる日が続きます。太陽も沈まぬ白夜期ですので、どんどん気温も上昇し、暖かい時はプラス気温になることもしばしばでした。我々越冬隊員は、極端に寒い南極で越冬したせいもあるのか、風のない時などは防寒着を身にまとうどころか、半袖で外作業をおこなう光景も見られました。体が順応しているのであれば、日本帰国後に訪れる梅雨と夏をどのように乗り切るかを隊員同士笑い話しとして心配?しています。

 さて、8J1RLの運用ですが、この3カ月余りの期間、業務の合間を利用し、ラストスパートでQRVしようと計画していたところでしたが、なにしろコンディションが悪い状態が続き、どのバンドもワッチはすれどもノイズばかりの日が多く、思うようにサービスできなかったことが心残りとなりました。このような状況の中、若干コンディションが良かった14MHzのCWを主に、11月から通算200数10局へサービスすることができました。したがって我々43次越冬隊における8J1RLの総交信局数は1300局弱となりました。もっともっと多くの方との交信を望んでいたところでしたが、いた仕方ありません。

 すでにご承知のとおり、我々43次隊の後を引き継いだ44次隊では、隊員にアマチュア無線を運用される方も多く、昭和基地の「8J1RL」に加えて「ドームふじ観測拠点」において越冬期間中「8J1RF」の運用もおこなわれることになっています。きっと我々以上にアクティブなQRVが期待できますので、楽しみにワッチされてください。我々も日本から昭和基地やドームふじ観測拠点とQSOすることを楽しみに帰国します。

 最後に、この越冬期間をとおし、第43次日本南極地域観測隊員による8J1RLとQSOしていただいた各局、QSOしたくてもできなかった各局、そしてJARLにお礼を申し上げまして、レポートの最終回とします。本当に有り難うございました。


     第43次日本南極地域観測隊 氏家 宏之
  
接岸して帰途に向かう「しらせ」