京都府京都市のノートルダム女学院中学高等学校で<br> 国際宇宙ステーションと交信に成功

京都府京都市のノートルダム女学院中学高等学校で
国際宇宙ステーションと交信に成功



▲念願の交信
 2021年12月9日に京都市のノートルダム女学院中学高等学校にて、ISSのRaja Chari宇宙飛行士と12名の中学・高校生が交信に成功しました。今回のスクールコンタクトでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、多くの困難を乗り越えての交信となりました。

◆AIRSSスクールコンタクトに向けて
 2020年の春、校長にARISSスクールコンタクトを紹介したところ大変興味を持たれ許可をいただきました。COVID-19の感染状況が不安な中、翌年8月実施の連絡がきてほっとしました。しかし、緊急事態宣言による学級閉鎖でオンライン授業が継続している状況下であったので、実際に生徒と接することもできず、わずかなチャンスを利用して交信生徒募集をかけました。その後急ピッチで放課後に学習会を開き、アマチュア無線、ISS、宇宙の生活、宇宙食体験、交信練習と矢継ぎ早に準備を進めていきました。
 宇宙について勉強し始めた頃は、生徒たちはイベントに対してあまり実感を持てていませんでしたが、宇宙での毛利衛さんの生活や過去の交信の様子をビデオで見ることで少しずつ「自分たちがやるんだ!」と実感したようです。特に宇宙食を食べる体験に興味を持って取り組んでいました。また、英語での交信ということで英語科の先生の指導もあり真剣な取り組みでした。

◆延期にめげずにトライ
 当日は、関西ARISSプロジェクトのメンバーがアンテナシステムのチェック、放送機材、音声機材の調整を入念におこないました。また、 今回はじめてYouTube Liveでの中継にも挑みました。
 いよいよISSが日本上空へと近づきます。NA1SSへ呼びかけましたが通じず、何度かトライしましたが交信可能な10分間が過ぎ去りました。落胆したものの、一人も交信が成立していないため次回のチャンスが望めます。また、ARISSスクールコンタクトにおいて無資格でも交信可能な年齢を超えていた高校生3名は、3アマに合格していましたが、従事者免許証が未着のため交信に参加できず、次なら参加できるということもあり、皆で再トライに望みを繋げました。
 数日後、NASAから9月に星出宇宙飛行士と交信という嬉しい情報が届き、生徒と共に新たな期待を胸にその日を待ちました。直前になり、NASAから交信可能の連絡が入りましたが、感染拡大のため実施不可という学校側の判断により再び延期に。落ち込んでいる間もなくNASAに再挑戦の連絡を入れ、ひたすらチャンスを待ちました。3回目の交信は12月との明るい知らせがあり、台風に備えて寝かせてあったNAGARAのアンテナを再設置しました。

▲YouTube Liveでの中継

▲関西ARISSプロジェクトのメンバー

◆いよいよ本番
 12月9日は天候も良く穏やかな日となりました。久しぶりの交信ということもあって楽しみな反面、特に初めて交信に挑戦する高校生たちは緊張していたようです。夕方に生徒が集まり、いよいよ交信に向けての準備が始まります。関西AIRSSプロジェクトのメンバーも今回こそはと念入りに機材チェックに取り組みます。

 17時33分直前になり「NA1SS,This is 8N3ND. Can you copy me over?」とISS 呼び出します。間髪を入れず「8N3ND,This is NA1SS」と、クリアな音声がRaja宇宙飛行士から返り、一人目の交信成功で生徒たちに笑顔が広がりました。

▲交信はスムーズに進んだ
 以降、生徒たちは自分の質問に自信を持って話しかけ、丁寧な答えが返ってきて無事12名全員の質問が終わりました。
 終了後、ほっとした生徒たちに交信の感想を聞くと、免許取得を経て交信に臨んだ高
校生のみならず、全員が貴重な体験を感謝する声に溢れていました。
 最後に、ナガラアンテナ、 関西ARISSプロジェクトメンバーの皆様に深く感謝の意を表します。


[レポート:田中 大(JO3DDD)]