須坂市立日野小学校で<br> 国際宇宙ステーションと交信に成功

長野県須坂市の須坂市立日野小学校で
国際宇宙ステーションと交信に成功


◆今回のミッションについて
 「カンナ・スクールコンタクト」は、広島で原爆が投下された1ヵ月後に爆心地に咲いた「カンナ」を通して世界中に平和を広めるカンナ・プロジェクトが主催しておこないました。須坂市立日野小学校はこのプロジェクトに2017年から参加。2019年の「カンナ子ども平和宇宙ミッション」では、同校で育てたカンナの種がロケットで打ち上げられ、5ヵ月間ISS(国際宇宙ステーション)に滞在しました。
 その締めくくりとして企画されたこのスクールコンタクトでは、20校を代表して日野小学校の4〜6年生の児童15人がRaja Chari宇宙飛行士に質問をしました(質問は20校から募りました)。宇宙との交信に、カンナ・プロジェクト次世代チームとして須坂市の無線資格者2名の高校生とその同級生たちが挑戦しました。

◆多くの皆さんの協力
 企画し始めたのは2年前。ARISSスクールコンタクトについて安田さん(7M3TJZ)の資料をはじめ、矢口さん(JH0WJF)、小柳さん(JH0TIS)、嘉部さん(JG0SXC)にアドバイスや機材の準備、コントロールオペレーターをお願いしました。アンテナ設営のサポート、他校20校へのライブ配信、音響、そして宇宙

▲アンテナの設置作業
  飛行士からの回答の翻訳、受付・案内までは高校生が担いました。
 中村さん(JR0QCP)、澤谷さん(JF0BPT)、古川さん(JJ0ACA)、今泉さん(JI0VWL)、並木さん(JH1PVJ)は、高校生への指導をしながらアンテナを設置してくれました。交信時には、アンテナ制御の不具合に備え、寒いなか屋根の上で待機してくれました。

◆コロナウイルスの影響
 いよいよ交信の気持ちが高まった9月。県内全域に感染警戒レベル5が発令され、全ての小学校の行事が中止・延期となった影響で交信相手の宇宙飛行士が日本人ではなくなり、質問を全て英語でおこなうことになりました。質問の内容は小学校レベルの英語ではなかったため、教頭先生が過去のスクールコンタクトを参考にして、子どもたちと放課後に猛特訓をしました。結果、子どもたち全員が質問内容を全て暗記して通信に望むことが出来ました。

◆交信当日(2021年12月3日)

▲交信中の様子
 予定時刻より数分早く呼び出しが開始され、4分後、Raja Chari宇宙飛行士から応答があり交信が開始しました。信号は強力でSメーターはいっぱいに振っており、場内にいた保護者は「こんなにはっきり聞こえるのか」と驚いていました。
 最初の質問「宇宙はどんなにおいがしますか?」の回答「キャンプファイヤーの煙の臭いがした」には驚

きました。練習の甲斐があり、誰一人質問内容を言い直すことなく無事15人全員が交信できました。

 子どもたちからは「Rajaさんへ質問した後に実感がわいてすごいことなんだなと思いました」「カンナのこと・宇宙のことをいっぱい知りました。無線で通信するまで、たくさんの人が用意してくれてとても嬉しかったです」等の感想がありました。
 子どもたちはどの子も自分に自信をつけ、体験から学び、この活動の価値を感じ取れたと思います。貴重な体験をした子どもたちが今後に役立ててくれることを願います。

 最後に、実施を引き受けてくれた須坂市立日野小学校の新井校長先生、塩澤教頭先生をはじめ教職員の皆様、児童の皆さん、夜の交信に送り出して下さったご家族、無線チーム、長野工業高等専門学校の皆さん、誰一人欠けても成功することはできませんでした。素晴らしい体験をさせていただき幸せです。今後、この学習を全校にどのように広めてくかを工夫したいと思います。


カンナ・スクールコンタクトチーム:
「カンナ・プロジェクト」橘凛保,「カンナ・プロジェクト次世代チーム須坂」代表 山岸翔梧(JJ0TYU)
[レポート:矢口 徳之(JH0WJF)]