大阪府豊中市の豊中高等学校で<br> 国際宇宙ステーションと交信に成功

大阪府豊中市の豊中高等学校で
国際宇宙ステーションと交信に成功


◆AIRSSスクールコンタクトに向けて
 私たち関西ARISSスクールコンタクトチームは、関西や他エリアでおこなわれるARISSスクールコンタクトの実施とサポートを、日本で初めて特例で実施された平成14年8月2日のARISSスクールコンタクトから現在に至るまで実施してきました。
 私たちにとって令和4年3月21日(月)におこなわれた豊中高校のスクールコンタクトは、36例目のARISSスクールコンタクトとなります。

◆経緯
 令和元年に豊中高校の中川先生から豊中高校でARISSスクールコンタクトをおこないたいと連絡があり、スクールコンタクトについて話をしました。中川先生は以前JAXAに勤めておられ、ご本人もアマチュア無線の資格をお持ちのためスムーズに話が進み、早急に申請を出しました。
 無資格で交信をおこなえるのは小中学生に限定されているため、豊中高校の生徒たちはどのように交信をおこなうのか確認したところ、高校生が小学校の英語等をサポートし、交信は小学生がおこなうという方法をお考えでした。

◆事前準備・事前学習
 スクールコンタクトの実施に当たっては、中川先生を中心として、交信する小学生の募集から事前学習まですべて高校生たちがおこないました。
 私たちは臨時局「8J3THS」の免許の申請と当日の交信機材設営等をおこないました。
 事前学習は、小学生が日本語で質問を考え、それを高校生が英語に翻訳し発音等を小学生に教えるという学習内容でした。私たちは事前学習で体験局「8J3YAD」を学校に設置し、体験交信を通じて高校生・小学生にアマチュア無線の楽しさをレクチャーしました。


▲自分たちで作ったアンテナでISSからの電波を受信している高校生スタッフ
◆交信当日
 コントロールオペレーターを豊中高校OBの大阪府支部支部長JE3DBS蛭子さんにお願いし、3月21日(月)、交信当日を迎えました。
 子どもたちは、国際宇宙ステーションと交信をするアンテナの見学や最終リハーサルをこなし、交信時間を待ちました。何十回も交信を経験している私たちですが、国際宇宙ステーションを呼び出すときはいつも緊張がはしります。
 国際宇宙ステーションNA1SSのkayla Barronさん(KI5LAL)を呼び出し、応答がありました。その瞬間「全員交信できるか」という緊張や不安が生まれます。
 小学生たちの英語の発音は素晴らしく、事前学習の成果が表れます。予定通り約10分間で20名全員が無事に交信を終えた時、参加者から大きな拍手が沸き上がりました。

 小学生たちからは「宇宙飛行士と英語で話せて嬉しかった」「機会に触れて楽しかった」などの感想があり、素晴らしい体験ができたと大喜びしていました。高校生たちは「自分たちのミッションが成功したことで自信がついた」といった感想や「英語をもっと学ばなければいけないと思った」と反省などを述べていました。

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 今回交信したkayla Barronさんは女性宇宙飛行士であり、元米海軍の将校で潜水艦士官の方でした。将来は、月着陸を目指すアルテミス計画のチームに属され月面に立つ初めての女性になるかもしれません。
 後で知ったのですが、交信体験をした小学生や高校生の中でアマチュア無線の資格を取った子が数名出てきたのは私たちにとって喜びでした。


 事前学習と体験交信の内容は、豊中高校のHPに掲載されています。
▽大阪府立豊中高等学校(HP)
https://www.osaka-c.ed.jp/blog/toyonaka/toyo_koukai/2022/02/17-206981.html

[レポート:関西アリススクールコンタクトプロジェクトチーム 関西地方本部長 田中 透(JR3QHQ)]