ARDF競技の実施方法



1.総則

    1−1 目的

       この実施方法は、ARDF競技大会実施規程第2条の規定に基づき、連盟主催の地方及び全日本競技大会におけるARDF競技の実施方法を定めることを目的とする。なお、支部競技大会及び連盟の公認競技大会においては、この実施方法を準用するものとする。

    1−2 競技部門

       競技大会は、次の部門を設けるものとする。ただし、競技大会の開催日が1日の場合は、いずれかの1部門とすることができる。

        (1)3.5MHz帯部門
        (2)144MHz帯部門

    1−3 競技クラス

       各競技部門の競技クラスは、競技者(身体障害者の場合は、介護者を含む。以下同じ)の性別及び年齢により、次のクラスとする。

      女性(W) 男性(M) 年齢
      W19 M19  大会開催年の12月31日現在、19歳以下
      W21 M21  制限なし
      W35  大会開催年の 12月31日現在、35歳以上
      M40  大会開催年の12月31日現在、40歳以上
      W50 M50  大会開催年の12月31日現在、50歳以上
      M60  大会開催年の12月31日現在、60歳以上

        支部競技大会及び公認競技大会の場合は、必要に応じて上記クラスの細分化または統合することができる。

    1−4 競技地域

       競技地域は、森林地域であることが望ましい。なお、その高低差は200mを超えないこと。また、次のような場所は避けなければならない。

        (1)競技者の身体に害を与えるような危険な場所
        (2)通常の方向探知に支障のあるものがある場所

2.送信装置(TX)

    2−1 TXの設置場所

        (1)5個のTXは、それぞれ400m以上の間隔をもって設置する。スタートの地点に最も近いTXはスタート地点から750m以上のところに設置する。2−3(4)で定めるビーコンも第6番目のTXと考えて上記規定を適用することが望ましい。
        (2)スタート地点から全てのTXを経由してゴール地点までの距離は、5〜10kmとする。
        (3)(1)、(2)の距離は、3−3(2)に掲げる競技用地図上の直線距離とする。
        (4)TXのある場所には、誰もいないようにする。なお、審判員は、TXから十分離れた適当な場所に隠れていること。
        (5)各TXから2m以内に、ボール紙、プラスチック又は布等で作製した紅(オレンジを含む)白の三角柱を設置する。この柱には、探索証明用の記録器具を付けておく。また、TXの番号を表示する。

    2−2 TXの電波の周波数、電波の型式及び空中線電力

        (1)電波の周波数は、「アマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別」(以下アマチュアバンド使用区別という)に従って審判長が指定する。
        (2)電波の型式は、3.5MHz帯はA1A、144MHz帯はA2AまたはF2Aとする。
        (3)空中線電力は、3.5MHz帯は 3〜 5W、144MHz帯は 0.25〜1.5Wの範囲内とする。
        (4)TXのアンテナの指向性は、水平面で無指向性であって、偏波面は、3.5MHz帯で垂直偏波、144MHz帯で水平偏波であること。
        (5)TXの電波は、スタート地点において標準的な受信装置で受信できなければならない。

    2−3 TXの識別符号、電波の発射順序等

        (1)TXの電波は、同一周波数とする。
        (2)TXのモールス符号による識別符号(1分間45〜60字の速度)は、第1TXが「MOE」、第2TXが「MOI」、第3TXが「MOS」、第4TXが「MOH」及び第5TXが「MO5」とする。
        (3)TXの電波は、第1、第2、第3、第4及び第5TXの順序で繰り返して発射する。なお、各TXの送信時間は1分間とし、各TXの送信の切替時間の誤差は、5秒以内とする。
        (4)ゴール地区を明確にするため、ビーコン送信機(ビーコン)をゴール走行コースの入口に設置する。ビーコンの周波数は、TXとは異なった周波数とし、「アマチュアバンド使用区別」に従って審判長が指定する。ビーコンは、モールス符号による「MO」の連続送信(電波の型式、空中線電力及びアンテナの指向性と偏波面は、TXと同一とする)を行うものとする。
        (5)TX及びビーコンは、スタート地区において、全ての競技者の受信装置が保管されてから送信を開始する。TXは、競技者の最終グループの競技制限時間を超えた時点で送信を停止し、ビーコンは、全競技者がゴール地点に戻るまで送信する。

3.競技者の持参装置及び競技用配布物

    3−1 競技者の持参装置

        競技者は、次の物を持参する。

          (1)受信装置(アンテナを含む)
          (2)コンパス(方位磁石)
          (3)筆記用具

    3−2 受信装置の条件

       競技者の使用する受信機及びアンテナは、その方式及び型式に制限はない。ただし、受信機から副次的に発する電波は、受信機から10m離れた場所において、3.5MHz帯及び144MHz帯に混信を与えるものであってはならない。

    3−3 配布物

       競技者には、原則として次の物が配布される。

        (1)チェックカード又はその他の探索証明器具 TXを探索したときの探索証明を記録するもので耐水性を考慮してもの
        (2)競技用地図 2万5千分の1以上の縮尺の地図であって、競技地域の境界線、スタート、ビーコン送信機(ビーコン)、磁北、及び縮尺(またはスケール)が明示されているもの。なお、使用する地図は出来る限り耐水性のあるものが望ましく、1万分の1〜1万5千分の1の縮尺のオリエンテーリング用を使用することが最も望ましい。
        (3)ゼッケン 競技者の上半身の衣服の前後に付けて競技者を識別するもの。

4.スタート

    4−1 競技情報の掲示

       スタート地区では、次の情報を掲示する。

        (1)TX及びビーコンの周波数
        (2)競技制限時間(競技地域の地形を考慮し、100〜140分の範囲で審判長が決める)
        (3)競技用地図の地図記号の凡例
        (4)各競技者のスタート時刻
        (5)三角柱及び探索証明用の記録器具の見本
        (6)救護場所

    4−2 受信装置の保管

       スタート地区には、競技者の受信装置を保管する場所を設ける。
       各競技者は、全ての受信装置を審判員に指示された場所に置く。

    4−3 競技者の待機場所

       スタート地区には、競技者の受信装置を保管した後、スタート呼出しまでの間、競技者が待機する場所を設ける。

    4−4 受信装置等の引き渡し

      (1) 競技者はスタート15分前に呼出しを受けた後、各自の受信装置を取り、スタート地区の審判員が指示する場所で待機する。

      (2) スタート10分前に係員の指示で、地図配布ラインへと進み競技地図を受け取る。

      (3) スタート5分前に係員の合図で、スタートラインへと移動する。

    4−5 スタート走行コース

       スタートラインから競技地域まで50〜250mの長さの走行コースを設ける。
       競技者は、スタートの合図後、受信装置のスイッチを入れて走行コースを通りコースの出口からTXの探索を開始する。
       走行コースの出口は、スタートラインから見えないようにすることが望ましい。
       また、走行コースは、M21及びW19、21、35、50クラス用とM19、40、50及び60クラス用の2つを設けることが望ましい。

    4−6 スタートグループ及びスタート順

      (1)スタートグループの競技者の人選及び人数は、審判長が決める。スタートグループの編成は、各クラス1人が望ましい。
      (2)スタートグループのスタート順は、審判長が決める。
      (3)スタートグループは、5分毎にスタートさせる。各グループとも第1TXが送信を開始する1分前にスタートさせる。

5.TXの探索及びゴール

    5−1 競技クラス別のTXの探索個数

      各競技クラスの競技者は、次の個数のTXを探索する。

        (1)M21   5個
        (2)M19   第3TXを除く4個
        (3)M40   第5TXを除く4個
        (4)M50   第2TXを除く4個
        (5)M60   3個
        (6)W19   第2TXを除く4個
        (7)W21   第4TXを除く4個
        (8)W35   第1TXを除く4個
        (9)W50   3個

      各TXを探索する順序は、順不同でよい。

      M60及びW50は、審判長が指定する3個のTXを探索する。なお、競技クラスを細分化あるいは統合した場合については、審判長が当該クラスに適したTXを指定する。

    5−2 探索証明

       競技者は、TXを探索したときは、三角柱に付いている記録器具により自ら探索証明を記録する。ただし、チェックカードを用いる場合は、所定の箇所に探索証明を記録する。

    5−3 ビーコン電波

       ゴール地区に向かう競技者は、競技用地図とビーコン電波を利用する。

    5−4 ゴール走行コース

       ゴール地区には、ゴール走行コースを設ける。なお、ゴール走行コースの長さは50m以上、入口の幅は10m以内とし、最後の20mは直線が望ましい。ゴール走行コースの長さの上限は定めないが、全区間テープ等で走行コースを明示する。
       ゴール走行コースを通り、ゴールラインに到着した競技者の到着時刻を記録し、スタート時刻からの競技所要時間を算出する。あらかじめ、競技者自らが到着時刻を記録するように定められた場合は、所定の方法により競技者自らがこれを行うものとする。
       競技者は、ゴールラインを越えたら、その後の行動は、審判員の指示に従う。

    5−5 棄権

       競技者は、途中で競技を棄権した場合、必ず最寄りの審判員にその旨を申し出てチェックカードを手渡し、ゼッケンを速やかにはずす。その後の行動は、審判員の指示に従う。

6.審判員

    6−1 審判員の配置場所及び人数

       審判員の配置は、次の人数が望ましい。

    (1)スタート地区 2人以上
    (2)ゴール地区 3人以上
    (3)TX設置場所 1箇所につき1人以上
    (4)競技地域 5人以上

    6−2 審判員の識別

       審判員は、腕章又は記章等を付け、競技中、審判員であることが識別できるようにする。

7.表彰

    7−1 競技順位の決定方法

      (1)各競技クラスの競技者の順位は、TXの探索個数の多い者が上位となり、同数の場合は、競技所要時間の少ない者が上位となる。なお、指定されたTX以外のTXを探索しても探索個数には含まない。
      (2)各競技者の競技成績を基にしたJARLの支部対抗及び地方本部対抗等の団体表彰を行うことができる。この場合の順位の決定方法については、あらかじめ発表する。

    7−2 競技結果の発表

       競技クラス毎に、順位にしたがい競技者の氏名、ゼッケン番号、競技所要時間及び探索したTXの個数を掲示して発表する。なお、失格した競技者については、失格の理由を付記する。

    7−3 削除

    7−4 表彰

       表彰については、次のとおりとする。
      (1)全日本競技大会

        a.大会表彰 外国のアマチュア無線連盟等から派遣された外国人選手を除く参加者を対象とし、競技クラス毎に、参加者数を確定し、それぞれの参加者数に応じて競技成績の順位により次の順位までの者に賞状等を贈呈して表彰する。

        ア.競技参加者数が10人以下の場合・・・・・・・2位
        イ.競技参加者数が11人から20人の場合・・・・3位
        ウ.競技参加者数が21人から30人の場合・・・・4位
        エ.競技参加者数が31人以上の場合・・・・・・・6位

        b.特別賞 外国のアマチュア無線連盟等から派遣された外国人選手の参加があった場合は、特別賞を設けて外国人選手を表彰することができる。

      (2)地方競技大会

        a.大会表彰 競技クラス毎に、当該地方本部(二以上の地方本部区域を一の主催単位とする地方大会の場合は、その主催単位に含まれる地方本部区域毎)に住所を有する競技参加者を対象に、大会会長が7−4(1)に定める順位まで賞状等を贈呈して表彰する。
        b.総合賞 大会表彰の他に、全ての競技参加者を対象に表彰することができる。

      (3)支部競技大会
       適宜な方法によって表彰することができる。

    7−5 異議の申し立て

      (1)競技者は、競技の結果に対して異議がある場合、その結果の発表後10分以内に文書により審判長に申し立てることができる。
      (2)競技者は、(1)の判定結果に不服があるときは、5分以内に文書により裁定長に再異議を申し立てることができるが、この申し立てが最終となる。

8.注意事項

    (1)競技者は、フェアに行動し、いかなる場合も競技大会の主催者の指示に従わなければならない。
    (2)競技者は、自己の安全について、自ら責任を持たなければならない。
    (3)競技者は、自然を傷つけたり、また、耕作地や柵囲いの中に入ってはならない。
    (4)競技者は、TXに触れてはならない。
    (5)ゴールした競技者は、再び競技地域に立ち入ったり、他の競技者を援助してはならない。

9.失格事項

     競技者は、競技中、次のいずれかに該当したときは失格となる。

      (1)競技制限時間を超えたとき。
      (2)TXを全く探索できなかったとき。
      (3)他の者から援助を受け、又は他の競技者に援助、妨害を行ったとき。
      (4)自動車、自転車等の乗物を利用して探索したとき。ただし、あらかじめ審判長が認めたときはこの限りでない。
      (5)他人の所有物及び財産に損失又は損害を与えたとき。
      (6)電波の発射を行ったとき。
      (7)競技者間で対話をしたとき。
      (8)他の競技者に追従してTXを探索したとき。
      (9)配布された競技用地図以外の地図を使用したとき。
      (10)地図上に示されている立入り禁止地域に入ったとき。
      (11)主催者が定めた競技実施方法に従って競技を行わなかったとき。

10.その他

    10−1 この実施方法の改廃は、ARDF委員会の審議を経て連盟会長が行う。
    10−2 この実施方法は、平成元年4月1日から施行する。
    10−3 この改正実施方法は、平成3年4月1日から施行する。
    10−4 この改正実施方法は平成6年2月27日から施行する。
    改正7−2、7−3
    追加7−4

    10−5 この改正実施方法は平成7年1月25日から施行する。
    改正2−1

    10−6 この改正実施方法は平成10年2月23日から施行する。
    改正1−3、4−5、5−1

    10−7 この改正実施方法は平成10年11月20日から施行する。
    改正3−3、7−3、7−4、8
                        
    10−8 この改正実施方法は平成12年4月1日から適用する。
    改正4−4
    10−9 この改正実施方法は平成12年11月13日から施行する。
    改正 7−4(1)、7−4(2)
    削除 7−3

    10−10  この改正実施方法は平成17年4月1日から施行する。(平成16年11月10日改正)
    改正 1−3、3−3(2)、4−5、5−1、7−1(1)

    10−11  この改正実施方法は平成18年4月1日から施行する。(平成18年3月6日改正)
    改正 1−3、2−1(1)、2−1(5)、3−3(1)、4−1(5)、4−6(1)、5−2、5−4

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